
「釧路市民がサンボマスターと生きた大切な夜」
2023年7月21日(金)・22日(土)・23日(日)の3日間、「くしろ霧フェスティバル2023」が開催されました。
毎年この時期に開催されている釧路市のお祭りイベントのひとつ、通称「霧フェス」。
初回開催は1985年とか。そんなに歴史あるイベントだったんですね。
私は、「お祭もマンネリ化してきてるっしょ…」と、ここ何年か夏のイベントをスルーしてきました。
霧フェスは「レーザーショー」という、霧の中をカラフルなレーザービームが突き抜ける演出が美しい、幻想的で近代的な?ショーが目玉イベントです。
けれどもわたしは今、あまり興味がわきませんでした。
「明日から霧フェス」
とある夜。
前職の先輩とLINEで近況報告をしていて、今年の霧フェスの開催が明日だということを知ります。
そのときは、例年同様行かないつもりでしたが、なんだか段々気になってきている自分がいました。
当日21日、金曜日。
仕事終わりにイオンシネマで映画を見て、
穏やかで優雅な週末のスタートを切るつもりでした。
でも昨日の夜から、やっぱりなんだかすごく霧フェスが気になる。
そして、ちょっと検索してみる。
あれ?釧路にしては珍しく(すみません)、ちゃんと特設サイトがある…。
え?「飛行機でお越しの方は」って、市外の人向けにもなってる…。
ゲストライブ「LINDBERG」「ホフディラン」「サンボマスター」etc.
そんなに釧路に来てくれるんだ…。
屋台、結構良いお店がいっぱい出てるな…。
「なんか、私の知ってる霧フェスじゃない!!!!」
金曜の昼も過ぎると、
今日の夜の過ごし方が、もともと
映画:霧フェス=8:2 くらいの意識だったのが
映画:霧フェス=4:6 と、じわじわと逆転しだします。
もう、知らぬ間に心は霧フェスに浸食されています。
友人を誘って、夕方から突入しました。
(急な誘いにもかかわらず、ありがとう)
知らぬ間に進化していた「KIRI FES」
学生の時に行った霧フェス(20年も前!)は、
ふらっと行ってぷらっと歩いて、屋台で食べて、という感じでしたが、
今は入場券制になっていました。
もう無料でもなければ、受付すら必要で、
しかも電子チケットで事前に手続しなければならない。
「手間だなあ」と思うどころか、釧路で電子チケットを取り入れている驚きと感動(すみません)と、「フェス」として有名なアーティストの音楽が聞けるんだから有料で当然だという思いでいっぱいに。
完全にもう霧フェス信者。
ルールに促されるままに手続きを進めます。
ちなみに、有料といっても1日500円。
ありがてぇ値段だよ。
仕事帰りでおなかが空いていたので、まずは屋台へ。
一昔前の、わたあめ、りんごあめ、たこやき、焼きそば、ベビーカステラの気配すらしません。
ラーメン、カレー、から揚げ、焼き鳥、チュロス、ワッフル、ロングポテト…
あれ。ちょっと待って。屋台すごいじゃん。どれも食べたいよ。
チョイスしたのは焼き鳥とからあげ。
肉ばっかり。1週間の疲労には肉が効くんです。
周りをみると、若者はみんなしてチュロス持って可愛いし、学生たちは皆オシャレに気合が入っているように見え、サラリーマンはニコニコとビールを飲んでいて、会場全体が活気に包まれています。
みんな非日常を楽しんでる感じで、この三日間だけこの地は、釧路のディズニーランドなんだと思いました。夢の国です。OFF感満載!
久々のイベントに目はキョロキョロ、口は屋台フードでもぐもぐしているうちに、サンボマスターさんのライブが始まります。
ステージ前は一気に人だかりに。

皆で一つになる力
私はサンボマスターさんの歌をあまり知りません。
おまけに、東京に18年も住んだことがありながら「フェス」というものを経験した記憶がありません。
この金曜日、予定していた映画鑑賞をバッサリ切り捨て霧フェス突入に変更したのには、理由がありました。
活気ある場所に行って、パワーを分けてほしい!!!
変な宗教じゃありません。
ただただ、平凡に過ごしている日々から、一瞬でも抜け出したかった。
人が多く集まる場所で、エネルギーを感じたかった。
サンボマスターさんは、テレビで見た独特なキャラクターの印象から、ライブの間だけでも別世界に連れて行ってくれるような気がして、とてもワクワクしました。
予習として見たWikipedia情報ですが、サンボマスターさんは(以下抜粋)
「ライブでは曲間に山口の語りが多く入れられ、その時の想いをそのまま伝えるため、本来の歌詞やリズムなどをそっちのけにして語り続けることも」とあります。
その通りでした(笑)
ぼーっと見ていると「サボんじゃねえぞ。サボんじゃねえぞ」と怒られ、「もしかしてアンコールは声出さない協会のかたですか?」と問われ、聞く側の私たちも真剣さを要します!
ですが…
「アノー、サッキハコウフンシチャッテ、ナマイキナクチキイテ スミマセンデシタ」
ギター&ボーカルの山口隆さんが、ぼそっと申し訳なさそうに謝る。
ギャップが大きすぎるだろ!
ライブは知らない曲があるとつまらない。
霧フェスに来る前はそう思っていました。
でも、ライブでの歌の良さもさることながら、
こうした語りが相まって、あっという間にライブ時間が過ぎ去っていきます。
会場は岸壁のそばにあって、その日はたまたま大きな船も泊まっていました。
船から船員さんたちも、手拍子しながら私たちと一緒にライブを楽しんでいたのも、なんだか良い光景です。
ライブの前には、バリ島、マニラにならび、世界三大夕日のひとつと言われている釧路の夕日も、会場から眺めることができました。
海に船、夕日と、最高のロケーションに身を置きながら、私たちが楽しんだ霧フェスは、不思議な一体感に包まれていたのでした。

生きるということ
サンボマスターさんのライブで印象的だったのは、「生きぬくぞ」という力強くもあたたかいメッセージでした。
「ロックンロールしに来たんじゃねえぞ。一緒にライブを楽しみに来たんじゃねえぞ。俺たちはお前らにこれを伝えに来たんだからな。『生まれてきてくれてありがとなぁ!』」
「お前らの顔全員覚えたからな。次会うときまで、いいか、ぜってえ死ぬんじゃねえぞ。ぜってぇ死ぬんじゃねえぞ。辛いときもある。苦しいときもある。その時は、俺らのこと、俺らの歌、今日のこと思い出せ。ぜってぇ死ぬんじゃねえぞ」
コロナ禍のピークをを抜け出した今、マスク無し・声出しOKで大人数が集まれるようになりました。
そんな喜びを味わい、久しぶりに制限のないステージを楽しむライブになるとばかり思っていました。
「死にたい」願望はなかったものの、生きているだけでも十分なのだと励ましてもらえたライブ。
生きていると毎日毎日、いろんなことがあります。
仕事や健康や人間関係で大変な日もあれば、何もない平凡な日もあります。
その1日1日の積み重ねは、死ぬまでの自分に大切なピースなのだと思います。
家にこもっているよりも、「とりあえず行ってみるか」精神で外出してみると、意外と気づきがあったりパワーをもらえたりします。
人の集まるところにはエネルギーがある。
ライブで音に乗れない私ですが、この日は気づけば手を挙げてノリノリ。
行ってみて初めて楽しめることもあります。
東京と違って、なかなかアーティストのライブが見られない釧路で、こんな機会に立ち会えるのはとてもありがたいことです。
霧フェスの運営の方、わざわざ釧路に来てくれたアーティストの皆さんに感謝です。
目玉の「レーザーショー」は、DJの音楽とともに放たれる様々なレーザー演出で、ライブに劣らずこちらも圧巻の迫力です。
音を感じながらゆっくりお酒を飲んだり、仲間と盛り上がるには最高の時間だったと思います。

釧路の霧フェスは、じわじわと進化を遂げていたんだな…
もう来年の夏が楽しみになりました。
◆おまけ1
釧路の観客あるある?
ライブに行ったことが少ないのでわかりませんが、こんな光景って田舎地域ならではなのかな?と思いましたが、どうなんでしょう?
「撮影NGと言われたので、撮影せずにライブに集中」
⇒なんだかんだでケータイで撮るんでしょ?と思ったら、周り誰も撮ってない。ルール厳守。えらくない?
「ただただ突っ立って真剣に聞いている」
⇒おぉぉ…テレビに出ている人が目の前にいる…!という驚き。
どうやって音にのったらいいのかわからない。当人は真剣に聞いて楽しんでいるが、演者からはノリが悪い、つまらないのかなと思われていやしまいか。
◆おまけ2
『ヒューマニティ!』という名曲
仕事に行く前、最初の10分だけ見ている朝の番組『ラヴィット!』。
オープニングテーマはサンボマスターさんの『ヒューマニティ!』。
前から気になっていてライブで生で聞くことができました。
やっぱり良い曲で、改めてじっくり聞きたいなと思ってMVを見てみました。
「人の一生」をなぞっているだけなのに、どうしてこんなにやさしく、あたたかいのだろう。
何気ない日常の中で「誰かのため」に生きている描写が、端々に感じられるからなのかもしれません。
顔は花、体は人をモチーフにした、絵画タッチで描かれているMV。
ライブ中の山口さんの煽りはきついですが(笑)、伝えてくるメッセージのぬくもりが半端じゃない。
ぜひ一度見てほしいです。
#humanity (ヒューマニティ)は、人間、人間性、人間らしさ、思いやり、慈悲心 という意味があります。
◆サンボマスター『ヒューマニティ!』(YouTube)