プロが植木を掘る[Vol.1]掘取り編.芸術的な成型は経験の技.
樹木生産として普段から樹木を掘ることを生業として15年ほど
自分なりの堀り方をご紹介
1.樹木を掘る理由
そもそも樹木を掘る理由もいろいろ
お庭の木の場所を変えるために移植するとか
いらなくなった木々を引っこ抜くとか
鉢植えになった植物を鉢から取り出す事だってしないかもなのに
植えられている木を掘るってことは普通の人はしないかも
私たちは商品である植木を出荷するために掘ることが多い
樹木生産者にとって,木を掘るのは商品の仕上げ作業
とても大切に作業を行います
2.実際の掘り方
具体的には以下の動画をどうぞ
動画内で掘っている植木はナナミノキ
内田養樹園では,高さ4m以上の大きな植木を主に販売しています.
動画に出てくるものも,高さ4mの株立仕立て
3.10年以上育てて初めて商品に
タネをまいて大切に育てて,うちの生産方法だと10年以上かかっている商品
小さい苗を,ポットに植え根を作り
路地におろして幹を太くし
株立仕立てにするためにあえて切りぶかし
目的の規格になるまで,剪定,移植を繰り返します
地元の植木の仲卸さんに販売して,他のいろいろな樹木とともにトラックに積まれて,運ばれます.
20時間以上トラックに揺られることも
そんな中,根鉢が崩れないよう
鹿児島県の生産者はしっかり巻く技術を持っている農家さんが多いと思います.
最近では,元請け自体が樹木にかける金額を少なくすることが多くなってきてるように感じます.必然に樹木の単価も低くなりがち.根巻きも昔ほど資材を贅沢に使わず,最低限の巻き方になってきています.品質は落としたくないけど,コストダウンもしないといけない.10年前くらいなら,もっと太い紐で18周くらいは巻いていたかも.
コストダウンした後でも,根鉢は崩れないだろう.品質を落としては納品先に迷惑をかけてしまうし,仲卸業者さんからの信用も失ってしまう.でも生産者たちにとっては収入に直結する単価に対するコスト高.
目に見えない部分で生産者たちは必ずどこかでコストをダウンしたいと考える.それは多分目に見えない部分にじわりじわりと影響しているだろう
根巻きの大きさ
資材の選定
切れるはさみを使い続けることができるのか
剪定方法が簡易に
品質は落とさないでも単価は下がるという状況が続けば
最終的には生産量の減少へとつながるかもですね
本来なら,もっと完璧に根巻きもしたいなんて思ったりもしています
植木の生産者が減ってきているのも,儲けが少なくなってきているのが理由の一つなのかも.
うちの生産方法で10年間
10年の時間を値段換算することがなかなか難しい業界だと思うけど
うちらは10年という時間をどこかのお客様に届ける農家
商品として運ばれる植木は,どこかの現場で植えられて
植木から緑に変わり
緑から木陰を作る景観に変わっていくのだろう
世の中には作られた緑化が至るところにある
緑化をするためには,小さな緑から大きな緑までいろんな緑の材料が必要になってくるはず
これからも良い樹木生産を頑張ります
日向(ひなた)が影を作ります
木陰があると不思議と人は引き寄せられます
ひなたになったら外に出て散歩に行ってみて
大きな樹木の下で珈琲でも飲もう