研修のワークの枠を超えた正反合

今日は建設系企業さんの現場リーダーの方々を集めた研修会で講師・コーディネート役をやってきました。


また今回の研修は、1つの会社だけでなく、同業他社の複数社で集まってもらっての交流兼研修会。他社の目線に学ぶというところがテーマでした。

とてもうれしいことに、みなさん今日のやりとりのなかでいろんなことを気づいていただいたようなのですが、なかでも「他社の物の見方に学ぶ」とはこういうことなのか、と私のほうが勉強になったかもしれません。


というのも、今回、あるワークを研修の中でやってみたとき、ワークの枠組みを超えた答えを受講者さんたちが見つけられた瞬間があるのです。

まずワークの概要ながれはこんな感じ。

 ◇◆--

1.現業のお悩みにつながるテーマ設定

2.テーマの賛否にわかれて議論
 賛成側は賛成の理屈を通し、反対は反対の理論で押し返す

3.攻守(賛否の立場)を交代して、引き続き議論

 ◇◆--

ディベートをベースにしたこのワーク。
今の仕事に直結したテーマとして3つほど設定して実施したのだけど、驚いたのが次テーマ「若手を育てるのは、厳しくするがよいか、優しく接するがよいか」のときのこと。

議論は紛糾していったのだけど、お互いがお互いの主張をどこからか自然と認めはじめていったのですね。

そして最終的には、厳しさと優しさの双方が必要で、人によって異なるアプローチをとるべきだ、と勝手に納得してゆかれたのです。


もちろんこれじゃルールの逸脱してるし、ディベートでもなってないのだろうけど、なんかいいなと思ってそのまま導いていってたんです。んで思ったのが、これってまさに弁証法の正反合やん、と。テーゼとアンチテーゼからジンテーゼが導き出された瞬間に、感じられたんです。

どちらの会社のどの社員さんも同じ悩みをかかえておられるからこそ、主張を押し通すという条件で、無理矢理にでもどちらかの主張に寄って発言しているうちに、なんとなく「てか、こうするのがいいんじゃない?」的なものを見つけてゆかれた感じです。


もちろん出てきたジンテーゼ自体がどんなにすごいか、って言われても「ま、そんなもんかもね」という程度のものかもしれません。ただ、大切なのはこのジンテーゼを、もととなる正と反の相反する命題から自力でたどり着かれた、というプロセスにこそ意味があるように思うのです。

きっと僕から「~のようにやるといいっすよ」なんて伝えたところで、何も響かないだろうと思います。「何を言うかより誰が言うかのほうが影響力は大きい」なんて言われるけど、さらにいえば自らわかるほうがよっぽど理解は深まるんだろうな。
研修後、みなさんがキラキラした様子で、「互いの考えに触れることがこんなに学びになるなんて!」って言うて頂けたのは、とっても幸せだ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?