いい夏をすごすのだ
アブラゼミが頑張っているところに、ヒグラシが優雅に声を響かせ、遠くから盆踊りの音楽がかすかに聞こえてくる。
まるで田舎のおばあちゃんちにいるみたいだけど、ここはれっきとした東京(のやや郊外)。
男の子が二人、浴衣を着たお母さんを両脇からエスコートしている。男の子たちはお揃いの粋な甚平を着ている。
小学生くらいのお兄ちゃんが、弟に「お母さん、きれいだろ」と言っている。弟くんは「そうだね!」とニコニコしている。お母さんはうれしそう。
君たち、きっといい男になるよ。
大学生らしきカップルが、青い色をしたアイスキャンディーをなめつつ、おしゃべりしながら、大股でさっさか歩いていく。
かっこいいと思った。
お父さんに駅のジューススタンドのジュースをせがむ女の子は、「どれがいい?」と言われても、なかなか決められない。
わかるよ、魅力的なラインナップだもんね!
それにしても、最近の男子学生の服装はラフすぎないかい?
Tシャツに短パンはまあいいんだよ。でも、それにスリッパみたいなサンダルを組み合わせちゃうと、近所のコンビニに行くようにしか見えないから!
せめてスニーカーをお履きなされ、ボーイズ。
ビルの電光掲示板に表示された「40」という数字はいったいなにを意味するのかしばらくわからなかったけど、いやまさかまさかと思ったけど、やっぱりそれはセ氏を表していると認めるまで20秒くらいかかってめまいがしたのは、一週間前のこと。
5月病ならぬ8月病になりやすいと自覚したのは、高校生のときだ。
暑さで肉体がへばるのに加え、夏って新しいことや不慣れなことを始めることが多いからだと思う。
夏休みのバイトとか、学校に行かない生活リズムとか、合宿とか。わたしの場合、「ひと夏の恋」は含まれていない。残念ながら。
そういえば去年の夏も気力体力がぐずぐずのがたがただった気がする。
今年の夏もまた新しいことが一つ始まるけど、そのせいで夏が嫌いになりませんように! な〜む。