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よもやま語らいゼミ開催後記⑭「特技と言って良いかどうかの線引きはどこか?」

 よもやま語らいゼミとは東大生を対象に、あるテーマについて自由に話し合いをするイベントです。2月8日開催の今回は「特技と言って良いかどうかの線引きはどこか?」をテーマにして話し合い、運営の人も含めて6名の方々にご参加いただきました。今回もcoggleというコミュニケーションツールを活用しつつ、様々に話を膨らませることができました。その様子を簡単に紹介したいと思います。

 よゼミでは、最初に話題提供として、サポーターがテーマについて考えたことを簡単に話します。今回は、世の中ではどのようなことが特技だと捉えられているのか、「趣味」と「特技」の違い、また、「得意なこと」と「特技」の違いはなにか、そして、特技を意識的に作りたいと思うか、といった疑問が、サポーターの経験やインターネットの記事を元にして提示されました。

 はじめに、就活の際履歴書等で特技を聞かれるという場面に関して、特技=自己アピールとして求められているのでは、という意見がありました。すなわち、社会で「特技」が求められているとき、そこで言われている「特技」とは「会社で活かせそうなもの」であるのではないかという考えが聞かれました。

 仕事という部分に関連するかもしれませんが、特技か否かの線引きをする基準の一つとしてまず、「その行為でお金が稼げるか」というものが話題に上がりました。実際にある行為でお金を稼いでいるという参加者は、その経験からそれを特技として話せると語っていました。これに対し、「稼げる」を基準にしてしまったらハードルが上がりすぎてしまうと考える人もいました。小学校のクラスでピアノを弾いてくれるような子は特技をピアノと言えるのではないか、という意見も、その例として示されました。ほかにも、特技について話すときの聞き手の生活環境からして「当然」と感じられるようなことは、客観的にはすごいことでも聞き手の主観的には「特技」とまでは捉えにくいという意見があるなど、ある事柄に関してどれほど技量があれば特技といえるのかという点については、それを話す場面において話し手や聞き手が置かれている環境によって、かなり変動する可能性がみられました。

 話し手や聞き手の置かれた環境については他にも、周囲のライフスタイルとのズレがあるようなことは特技と言いやすくなるのではないか、という意見がありました。例えば、作曲ができるということは、曲作りをしている人たちの中では当たり前でも、曲を作ったことがない人から見れば特技そのものに見えます。また、お店に行けば基本的になんでも手に入る現代社会で、あえて狩猟や釣りをして食料を得たり、必要なものを手作りしたりすることができるというのも、特技といえるのではないかという話がありました。

 また、別の基準として出たのは、「わざわざ」感や「ちょっと無駄」な感じの物事が特技として扱われやすいのではないか、という意見です。例えば、義務教育で習う英語よりもフランス語などの第二外国語のほうが、また、「試験で記述問題の文字数を指定字数ぴったりに合わせられる」「車のナンバープレートを覚えられる」などの直接仕事には結びつかないような行為のほうが、特技らしく聞こえませんか?一つ前で書いた、周囲のライフスタイルとのズレが特技と言いやすい、という部分とも共通する事柄ですね。

 さらに、自分の特技を話す際に、「少し掘り下げて絞る」という考え方が有効であるという意見もあり、これには多くの参加者が納得していました。これは、例えば「ピアノが弾ける」よりも「譜面を覚えるのが早い」「人のリクエストに応えて弾ける」というように、ある部分について得意だと話すことで、より特技らしい印象が得られるというものです。しかも、特定の分野に絞ることで、より他者との差別化がしやすくなるだけでなく、謙虚さも表すことができるのではないかという話がありました。謙虚さを維持したまま自己アピールもできるというのは、日本社会では役立ちそうですね。

 「特技」と「スキル」の違いについても話題に上がりました。「Excelの入力が速い」のは特技でしょうか?スキルでしょうか? 「TOEIC®950点取れるくらいの英語力」は特技でしょうか?スキルでしょうか?語らいの中では、お金や仕事と直結しないものが「特技」っぽい、モノや人になんらかの作用・影響を起こせるものが「特技」っぽい、という意見が出ました。皆さんはこの2つの言葉にどのような違いを見出しますか?

 最後に「自分は特技になりそうだと思っていても、それを他者に特技だと言いやすいものと言いにくいものがある」という話がありました。例えば、サブカルチャーに関連した特技はなんとなく言いにくいというものです。これは、その分野について聞き手に伝わりにくいのではないかと考えるところから生じる感覚なのではないかという意見があり、自分の特技を話す場面であっても相手のことを考慮せざるをえないという、自己表現の難しさが感じられました。一方で、自分が特技だと思い、それを話したいと思うなら、深く考え過ぎずに話してしまっていいのでは、という意見もありました。自分のことを伝えるのだから自分の想いが一番大事という考え方も、たしかに重要かもしれません。

 さて、いかがでしたでしょうか?今回は特に、テーマ通り「特技と言って良いかどうかの線引き」をする基準について、複数の意見がみられました。「お金」、「周囲とのズレ」、「わざわざ感」、「少し掘り下げられた領域」など、どれも納得できるところがあるのではないでしょうか。私自身、これらの基準を踏まえると、自分の特技についても少し言いやすくなるような感覚がありました。ぜひ、皆さんも「特技」について身近な人と話してみてください。
 今回の開催報告はこのあたりで以上にしたいと思います。参加してくださった方々、ありがとうございました。次回は3月7日火曜日に「東大のいいところは?」というテーマで開催します!
 次回はついに本郷キャンパスでの対面開催となる予定です!ご興味がある学内の方、お時間が合えば、ぜひお気軽にご参加ください!

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