かわいい柴犬の話ではなく、生き物が死んでしまうお話です
すごくどうでもいい話なんですが、実家で柴犬を飼っているんですよ。
本日、そのしばわんこが何か茶色い塊のにおいをかいだり、前脚でちょんちょんしたりしているのを発見して、え、ちょっと待って、ゴキブリ!? ゴキブリとか食べないで!
と思ってよく見たら、それはセミの幼虫でした。
これこれ、しばわんこよ、無益な殺生をするでない……というわけで救出し、手近な木にくっつけてあげたらのそのそと登っていって
一時間ほど経ってから様子を見に戻ったら、半分抜け出してもぞもぞ動いていました。
おおお、すごいぞ、がんばれ。私はここで見守っている……と言いたいんだけど、蚊がな。ここ、めっちゃ蚊が多いんだな。この短期間で、既に二匹ほど撃破してるんだよ。
たしか君らって、完全に抜け出した後もしばらくぶら下がって体乾かしてるよね? しばらく経ったらまた見に来るよ。
というわけでしばらく経ってから戻ってみたら、枝には抜け殻だけが残っていました。
……なんかちょっと気が早すぎない?
まさかと思って地面を見たら、いました。真っ白いセミが。
全身に赤黒い小さな粒……アリが群がった姿で。
助けようにも脱皮直後のセミは柔らかく、たぶん人間が摘まんだら潰れてしまう。
もぞもぞと動いている脚の前に指を差し出して、さあここにつかまるんだとやるけれど、あまりにも弱い。
私が知っているセミは、もっとがっしり指にしがみついてきたのに。
それでも何とか指につかまったセミを持ち上げたけれど、体にはアリが何匹もまとわりついていて、セミを傷つけずにこれを取り除く術はなし。
そして柔らかい羽はもうぐちゃぐちゃになっていて、乾いたところで飛べるようになるかどうか。
指を伝ってくるアリを払いながら、ああこれが自然の営みか、余計なことをしてしまったのかな。セミくん、私にできるのはここまでだ、あとは自分の力で生きておくれ。
ていうか、しばわんこかな。しばわんこが変なちょっかいかけたせいで、しがみついてる体力がなくなっちゃったのかな。だとしたらごめん、実家のしばわんこがごめん。
そんなことを考えながら、セミを葉っぱの上に乗せてその場を後にしました。
そして先ほどもう一度見に行ったら
そこにはセミの姿もアリの姿もなく、ただ抜け殻だけが静かに木の枝にぶら下がっていました。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。 小難しい話からアホな話まで、気の向くままに書いてます。 「スキ」を押すと、これまでの記事のエッセンスやどうでもいいネタがランダムで表示されます。