(オマケの「うつ病ドロンパ読本」2 逆悟り)

2021/12/11-2
(オマケの「うつ病ドロンパ読本」2 逆悟り)
説明をご理解戴く為にまず一つの映像を想像してみて戴けると助かります。
その映像とは
海の光景。
今海の上に居ます。光が差して風も爽やか。広々していていい気分。
ところがある日、突然何かに足を引っ張られて水面下に沈む羽目に。
訳も分らず身体はドンドン沈んでいきます。もがけばもがく程沈む速度が上がっていきます。
沈めば当然身体に掛かる水圧がドンドン増します。
それに逆らって何としても元の位置である水面上に戻ろうとすると心理的には水圧抵抗力は可逆的に増幅増大します。
それでも「何としてでも一刻も早く元の位置迄帰らねば」と言う気持ちは心理的水圧抵抗力に比例して嫌が上にもあがっていきます。
では此処で一体何が言いたいのか?
要するに「一刻も早く元に帰らねば」というのが重圧の元になっていると言う事です。
そして現代の精神科療法は「戻った先の前の状態が本当にその人にとって良い状態なのか否か」を抜きにして兎に角元に戻す事に専心している訳です。
しかし一向に回復しない。
自分の考えではそういった「なまじ淡い期待を抱かせる様なお為ごかし対症療法」は早々に諦め「人道的に如何なものか」と言われようと「出来る事なら一刻も早くどん底まで落ちた方が余程快癒の道が開ける」と思っています。
どん底まで行けば開き直りにはうってつけの環境が整っているからです。もう後がないので
「ええい、この際どうにでもなれ」
と言う気持ちに自然となれるからです。
途中段階での一時の気休めでしかない対症療法は却ってその目を塞いでチャンスを失わせ、あろう事か反対に苦しみを倍加させるだけです。
なので、治療の方向が正反対だと申し上げたのです。
しかし中には
「水中に沈みゆく中で水面に出て空気を吸おうとするのは生存本能上、至極当然の事ではないか」
と。
しかし思い出して戴きたいのは、是は喩え話で実際には海もその水面上も水面下も何処にも存在していない事です。
しかしうつ病患者の心象内では将に是に類した絵姿が幻影にも拘わらず目の前に実体として映っており現に惑わされてしまっているのです。
しかしそれは惑わされている「だけ」なのです。
偶然且つ自然な運びの開き直りによって実際には存在しない
「一刻も早く元に帰らねば。在るべき自分に戻らねば。期待される自分に復帰せねばならぬ」と思っているその「元」そのものがなくなれば幻影に過ぎない海も水面下も水圧も一瞬にして飛散霧消してしまうのです。
なので「一刻も早く地獄のどん底へ行け」と申し上げているのです。
地獄のどん底に行くには勇気がいるとお思いの方もお在りかと存知ますがそんなものは必要ありません。
自然な感情に任せてヤケクソになり開き直ればいいだけですから。
只、肝心な事は
「こんな筈とちゃぅ自分」
実は
「たいした奴、ちゃったわ」

「今思えばそうなる必要もゼロやったなぁ」
と正しく
「逆悟り」
する事でしょう。


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