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ウトニューレトロ手帖

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九州の真ん中、熊本県宇土(うと)市。このまちに眠っているレトロ建築を掬い上げて魅力を再発見するnoteです。「懐かしさと新しさの交差点」という視点からまちおこしを考えていきます。
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#くらしごと

色ー”3つの黒”編

カラスのような黒。カブトムシのような黒。 同じ黒という名前だけれど、印象はまるで違う。 色の印象には名前だけでなく、その風合いがとても重要になってくる。 建築に使われる色も風合い、特に材質感がその印象を大きく左右する。 コールタール塗料の黒。渋墨塗料の黒。カラーガルバリウム鋼板の黒。 この小屋には3種類の異なる黒色が、外壁という同じ役割で存在する。 カラーガルバリウム鋼板というのは近年住宅の屋根や外壁で見られるようになった建材である。金属の板で貼られている部分は現代的で

愛着と出会う小屋

気づけばずっとそこにあった小屋。いつごろ建ったのかも定かではなく、おおよそ80歳くらいらしい。農作業小屋として建てられたこの建築には、はじめは馬がいたという。馬がトラクターに変わり、自動車が置かれ、そして今は家具を作る機械が所狭しと並んでいる。 受け継がれてきたこの小屋で、家具職人夫妻による冒険のような改修が今まさに行われているところ。 宇土市緑川地区。農業盛んな田園地帯のとある集落にその小屋はある。農家にはよく見られる何の変哲もない小屋。1階は出荷作業場所や米の乾燥部屋