「学ぶはまねぶ」全てに通じる真理|UNIDOLを考察【さりしの間】
「アイドルになりたいんです」
これまでに何度聞いただろう。この言葉。
目の前の彼女はいたって真剣な表情をしている。
私も適当に受け答えするわけにはいかない。
何しろ大将と女将さんにとって可愛いお孫さんなのだから。
大橋ひみこちゃん、16歳、高校1年生
先日、この店でご飯を食べていたところ女将さんから相談された。
「莉乃ちゃん。うちの孫娘が一度会いというんだよ。なんとかお願いできないかねぇ」
いつもお世話になっている女将さんから頭をさげられて断る選択肢はない。二つ返事で引き受けた。
アイドルコピーダンスの日
お孫さんがアイドル志望だということも聞いており、話しの内容は察しがつく。
さりしの間に私とお孫さんと大将と女将さんが座卓を囲むように座る。
いつもと違う顔が並ぶと妙な空気を感じた。
「初めまして。指原莉乃です。さっしーて呼んでね」
場を和ませようと思い、まずは私から明るくあいさつした。
「大橋ひみこです。ひみこって呼んでください」
「きょうはお会いできて嬉しいです」
大将と女将さんは黙ってわたしたちのやりとりを聞いていた。
「あの・・・わたし・・・」
「なに?」
早速本題に入りそうな予感だ。
「アイドルになりたいんです」
「そうなんだ。わかった。私も元アイドルとしてなにかアドバイスできるかも」
「よかったね、ひみこちゃん」
女将さんが相好を崩せば、大将は何度もうなずく。
実はそのつもりで準備してきたのよね。
私は心の中でガッツポーズすると話を先に進めた。
「『アイドルコピーダンスの日』って知ってる?」
突然聞かれて言葉に詰まるひみこちゃん。
「UNIDOLだったら知ってます。AKB48や乃木坂46の振付を踊るチームも多いですよね」
ひみこちゃんはそう返しながらイマイチ納得してない表情を見せた。
「でも、わたしはUNIDOLに出たいわけではないんです」
そう来ると思った。
「まあ聞いてちょうだい。いくらわたしでもあなたをAKBに入れる力なんてないんだから。順番に考えなくちゃ」
「はい。わかりました。お願いします」
少しきつめに言い過ぎたかと思ったが、彼女が姿勢を正したのを見て安心した。思ったより見込みがありそうだ。
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