「何かに踊らされてる?」令和の米騒動から“真の価値観”を考えた
「えーーーっ」
普段は冷静沈着な妻がこのような声を上げることは珍しい。
十中八九はソフトバンクホークスが点を取られたときだ。
ところが今回は事情が違った。
彼女が見ていたのはスマホではなく、生協のカタログである。
「とうとうお米の取り扱いが中止だって!」
米騒動の真相は
ニュースで「お米が店頭から消えた」という情報が流れはじめたのは、パリオリンピックが終わった頃からだろう。
こちら福岡県の片田舎ではそんな気配もなく「へー、都会は大変じゃのう」程度の認識だった。
高をくくっていたところ9月に入るとついにその影響があらわれた。
テレビや新聞紙、ネットニュースなどで「令和の米騒動」と報じているが、原因を特定するには至ってない。
価値観がブレブレ
「パラダイムシフト」とは発想の転換で価値観を大きく変えることをいう。
近年はカタカナで表現するケースが増えているが、個人的には肝心なことを煙に巻くように思えて好きではない。
インターネット環境を背景にした「スマホ」や「キャッシュレス決済」などもパラダイムシフトとされる。
それに対応するため「DX(デジタルトランスフォーメーション)」「サブスク(サブスクリプション)」「クラウド請求書」といった機能も出てきた。
果たしてその意味や実情を理解している国民はどれほどいるのか疑問だ。
「パラダイムシフト」によって価値観が急速に変化したため、人それぞれで差が生じたと言えるだろう。
従来の“価値観”とは
10年ほど前にノーベル平和賞を受賞したアフリカの女性、ワンガリ・マータイさんが日本で出会った「MOTTAINAI(もったいない)」精神を唱えた。
彼女は「私たちが呼吸する空気、飲み水、食べ物、すべてが自然からの預かり物です。これこそがMOTTAINAI精神の最も大切な価値なのです」と語っている。
宇野正一さん(元岡崎女子短大教授)が祖父から聞いた言葉「食べ物様には 仏がござる 拝んで食べなされ」は有名だ。
食事の時にこぼしたご飯粒は水で洗って食べるようにしつけられたという。
令和の米騒動を表面的に捉えると、原因は米不足と考えがちだ。しかし皆がお米に感謝する気持ちを持っていれば、このような事態をまねくこともなかっただろう。
お米に限ったことではない。未来のために必要なのは我々が真の価値観を持つことではないか。