はじめに - 非進学校からの東大受験体験記Ⅳ発行にあたって
この合格体験記を手に取って頂き、ありがとうございます。本体験記の発行元であるUTFRという団体で共同代表を務めております、東大理科二類2年のナオキです。
この合格体験記は、オンライン開催の2020年駒場祭向けに作成されたものになります。「東大合格体験記」と聞けばなんとなく想像していただけるかとは思いますが、東大生が自身の受験を振り返ってああだこうだと様々な自分語りを繰り広げるあれです。まあたくさんありますよね。そんな世に溢れる東大合格体験記なのですが、この団体でこれに類するモノを作るのはなんと4度目になります。ここからは、そんなものをわざわざ4度も作っている団体、UTFRってなんなんだ、という話から始め、この合格体験記はよくある「有名高校出身東大受験生の自分語り集」と何が違うのかというお話を続け、最後に私自身の様々な考えを多少加えて本体験記の「まえがき」とさせて頂きます。
私たちUTFRは、「東大内における非進学校(※)」から東大に進学した学生から構成される団体でして、現在70名以上のメンバーを有しております。主な活動は「自分たちと似た境遇の高校生/受験生を支援する」ことで、具体的には学祭での合格体験記の出版・沖縄県石垣島に赴いての教育支援活動等を行っています。そのような活動を通して、昨年『東大合格生のノートは必ず美しい』で有名な太田あやさんのご協力の下、一般書籍『非進学校出身東大生が高校時代にしてたこと』を小学館様より出版させて頂きました。
それだけでなく、「必然的に知り合いの少ない状態で東大に入学してくる東大生のコミュニティ」としても機能し、定期的に(2020年の状況では厳しく、今年はまだ一回も行っていませんが)飲み会を開催したり、勉強会を行ったりしている、そんな団体です。
(※)
同年の東大合格者1名、地方旧帝大合格者10名未満、を一つの目安としております。それ進学校じゃん!!という方はこのnoteをどうぞ。まあ東大在学中の先輩同期後輩がほぼいない、みたいなレベルを想定していただければ70%くらい合っていると思います。高校創立以来唯一の東大合格者、なんて学生も少なからず在籍していますが。
なんとなく分かっていただけますかね。私たちのことを詳しく知りたい方は、ググって頂ければnoteの記事やHP・Twitter等が出てきますので、ご覧になってください。
はい。それでなにゆえ私たちがこんなものを作っているかと言いますと、先ほどの活動内容とモロ被りしますが、「同じような境遇の高校生/受験生の役に立ちたい」というのがまず第一にあります。先ほど「非進学校」というワードが出てきたことからお分かりかもしれませんが、私たちは高校の先輩等の身近な知り合いに東大合格者がいない中東大受験をしてきておりまして、その過程で多くのメンバーがそれなりに苦労をしています。そんな状況の中、先に東大に入学できた自分達の経験を何かしらの形で世に送り出すことで、それが過去の我々に重なるような未来の後輩たちにとっての有益なものとなればこの上なく嬉しいのです。これが私たちの体験記執筆への1つのモチベーションであり、またそのための記述が多く為されていることが、世に溢れる東大合格体験記と差別化できるポイントにもなっています。
しかし、執筆の動機も、他の合格体験記との差異も、これだけではありません。多くのメンバーが「有益な情報となれば…」と思っていることは確かです。しかしながら中には「有益な情報をひたすら並べた合格体験記」とは程遠い記事を執筆している者もいます。なぜこのようなことが起きるかと言いますと、これもやはり我々の属性によるものでして、「自分の人生でリアルに経験した1つのドラマ」的なものとして自らの受験体験を吐露しているという性質が比較的強いからでしょう。私達は「小学校4年くらいからSAPIXに通い、都内の有名中高一貫校に進み、中高とそれなりに遊びつつ高2あたりから友達と一緒に鉄緑会で受験勉強を進め、無事東大に現役合格する」的な、「多く東大生が経験した東大受験」は経験していません。仲間やロールモデルの存在しない受験体験から生まれる葛藤、そしてそこから、そんな葛藤から工夫や戦略が生まれるストーリー…。そのような要素が、まあ割と強めに出ているのではないかなと思います。これも本体験記が他の体験記と違う点の1つです。そしてさらに言えば、執筆の動機として、執筆者自身がそんな苦悩を文章として吐き出して、自分の体験と折り合いをつけようとしている側面もあるのではないかと思います(それを明言している執筆者もいます)。
さて、長くなってきました。そしてごちゃごちゃしてきましたね。もうそろそろ終わりにします。
この合格体験記Ⅳですが、まず、なんと言っても受験生向けに有益な情報は多く掲載されていると思います。継続してお読み頂いている方向けの情報になりますが、今回の執筆者8名は全員が初執筆です。全てが新情報という訳ですね。また今までの体験記Ⅰ~Ⅲに比べると、執筆者自体は少ないものの価値ある情報が非常に多いように思います(そのため500円という執筆者の多い第Ⅲ弾と変わらない値段設定にしました)。例えば希少な「高専からの編入学合格」「法学部への推薦入学」についてそれぞれ1名が語ってくれていますし、他にも多くの高校生がロールモデルとできそうな「非進学校からの一般受験合格」の例が精緻に記述されています。塾を全く使わなかった者もいれば、知る人ぞ知る「鉄緑会のオンライン指導」を用いて受験を突破した者もいます。中には中高と勉学を極め、数々の科学オリンピックに出場し、その後仮面浪人を経て理科三類に合格した猛者もいます。まあそんな感じで、受験に役立つ読み物として読んで頂くことができると思います。そしてそれだけでなく、先ほど述べたような「自身の受験を通しての思索」、いわば「受験をテーマとしたリアルなエッセイ」的側面も強いため、その意味ではどんな人でも楽しめると思います。
例年同様、執筆内容はほぼ完全に執筆者に任せてあります。誤字脱字や日本語の修正以外はほぼ原文をそのまま掲載させて頂きました。各記事は完全に独立していますので、(一応初めから読んでいくと良いかなという順番で並べてはいますが、)興味の惹かれる記事から自由に読んでいただいて問題ありません。
最後になりますが、この場を借りてこの体験記執筆に関わってくれた全てのUTFRメンバーに対する感謝を述べさせて頂きます。ありがとうございました。そして何よりもこの体験記を購入して頂いた方、さらに言えばこの分かりづらい前書きをここまで読んで頂いた方には感謝しきれません。ありがとうございます。それでは本文をお楽しみください。
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非進学校からの東大受験体験記Ⅳ
UTFRによる「非進学校からの東大合格体験記」第4弾。初執筆のメンバーによる完全新作を8本収録。
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