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第137話 貧乏美容師 なぜ彼は金持ちになれないのか!? 20250120

転勤族であるがために、新天地でわたくしに合う美容室を探している。
カットの腕が良く、店員が陽キャではなく、リーズナブルで、できたらビジネス系の面白い話をしてくれる美容室。
そんなお店が理想であるが、なかなか見当たらないため、わたくしは美容室ジブシーになっている。

※美容室ジプシーとは、1ヵ所の美容室に定着せずにあちこちのサロンを渡り歩く人のことを指す言葉である。

そんなジプシー活動中に、似たような店舗経営をしているにも関わらず、一方は金持ち美容師、もう一方は貧乏美容師に出会った。
このことを金持ち美容師を中心に随筆にしたためている。

金持ち美容師が金持ちたる所以は、シンプルな原理を徹底しているからであった。
それは、「客単価を上げ、経費を最小化する。客数を増やしてはいけない。」である。

金持ち美容師はこの原則を守り、自分の給料として約100万円/月を得ている。
有り余るお金を、節税のため高級車を購入し、血統書付き高級ペット(お犬様)も保有している。

卵が先か、鶏が先かであるが、金持ち美容師は顧客も経営者や地主などの金持ちが多く、金持ちが金持ちを呼ぶ良いサイクルになっている。
そんな彼の最近の口癖は「もう十分稼いでいるから、自分が働かなくてもいい仕組みを作りたい」である。
もう彼はいち経営者から、投資家の思考に移行しているように感じた。

その一方で、金持ち美容師と似たような店舗経営をしているが、悲壮感ただよう貧乏美容師もいる。
なぜ貧乏美容師は貧乏のままなのか?
彼が金持ちになることはできるのか?
貧乏美容師について、フォーカスして随筆をしたためたい。

金持ち美容師と貧乏美容師が経営する店舗は以下の共通点がある。

共通点
①1人経営の個人店である
②集客はホットペーパーのみ(ルクルート(仮名)から搾取されていると愚痴ってました)
③1日の客数は4~8人で同じくらい
④業界歴20年前後、店舗経営10年前後で同じ
⑤店主の年齢40代後半ほどで同じ
⑥性格はやさしい感じで、やや口下手
⑦美容師としての技量は高い

この情報だと、ほとんど同じに見えてくる。
なのになぜ一方はお金持ち、もう一方は貧乏なのだろうか?

次に貧乏美容師について詳細を言及する。

貧乏美容師

見た目は、すごく良く言えば金子ノブアキ、悪く言えばお笑い芸人の見取り図の盛山である。

すごく良く言えば金子ノブアキ
悪く言えばお笑い芸人の見取り図の盛山

見た目だけ言えば、金持ち美容師よりも貧乏美容師の方がイケメンである。
ちなみに、金持ち美容師は、よく言えば中田英寿、悪く言えばお笑い芸人の完熟フレッシュのお父さんの見た目をしている。

ただ、金持ち美容師と大きく異なることを、入店した瞬間に貧乏美容師から感じた。
悲壮感である。

店内にはどんよりとした重たい悲壮感というオーラが充満していた。
ややデフォルメして表現すると、HUNTER×HUNTER キメラアント編でノヴァが感じた重たいオーラのような雰囲気である。

ズズズ…. 悲壮感のオーラ。

重いオーラーを感じながら、カットを受けつつ、ヒアリングしていると貧乏美容師が貧乏の所以がわかってきた。
わたくしが、貧乏美容師からヒアリングした店舗状況を説明しよう。

・店舗の立地:国道沿いから1本奥の雑居ビルの1室 立地はそこそこ。
・店舗家賃:10万円/月(相場どおり、他の雑居ビルの家賃もこれくらいらしい。雑居ビル投資したくなるほど地主は儲かってると思われる。)
・客単価:7千円(地域平均よりやや安い。カットのみを選ぶ顧客も多い。金持ち美容師の客単価半分)
・カラーリングやパーマ薬剤原価:3千円前後(問屋と交渉していない。たぶん言い値。)
・客層:メイン30代。女性と男性の比率は5:5。
・売り上げ:90万円前後
・店主の月収:30万円前後
・経費:家賃・光熱費・カラーリング剤などの薬剤購入費・ローン返済不明(たぶん借金あり)

ちなみに、金持ち美容師は、売上150万円、店主の月収100万円である。
なぜなら、客単価が貧乏美容師の2倍弱あり、薬剤の購入単価も2/3である。
客数はほぼ一緒だし、経費の絶対額もさほど変わらない。
客単価がダイレクトに経営を逼迫していると思われる。

詳細金額を示そう。

(わたくしの皮算用、妄想含む)
・平均客単価7千円ー薬剤原価3千円÷2(半数がカットのみと想定)=粗利5.5千円×客数8人=4万4千円・・土日の1日の粗利。
・平日が土日の半分の粗利(客数半減)だったとして、2万2千円。
・土日8日×4万4千円+平日16日(週1日休み)×2万2千円=35.2万円(土日)+35.2万円(平日)=月の粗利70.4万円


月の粗利70.4万円ー家賃10万ー光熱費3万ーホットペッパー広告20万円ー薬剤原価9.6万(顧客の半数はカットのみ想定)=30.8万円(店主の月収)
※ホットペッパー広告料が経営を逼迫

貧乏美容師の月収は30.8万円である。
これは額面であり、ここから各種税金を差っ引くと手取り25万円程度だろう。
普通のサラリーマンと同じじゃね?と思った皆様、甘い、彼は個人事業主であり、サラリーマンにあるボーナスはないのだ。
さらに、年金は国民年金であり、老後の蓄えも準備しなければ、老人になっても労働を強いられるはずだ。

年収400万以下の個人事業主である。
片や、金持ち父さんは年収1200万円以上であり、法人設立して運営しているかもしれない。
上記の皮算用から、すべては客単価に起因する利益率の差が、如実に表れているのだ。

貧乏美容師は、悲壮感漂っているが、決して美容師として腕がわるいわけではない。
やや口ベタであるが、わたくしはむしろその方が心地よい(ウェーイって感じの陽キャが苦手である)。

親切かつやさしいわたくしは、貧乏美容師にわかりやすく助言した。

わたくしの助言①「ホットペッパーの広告料がエグイっすね。自分のホームページつくるかSNSがんばって別の集客動線つくったらいいんじゃないっすかね?」
わたくしの助言②「わたくし素人っすけど、カラーリングやパーマ材の卸問屋に交渉したら安くなるんじゃないっすかね?またはネットで直接買うとか。」
わたくしの助言③「10年も同じ場所で経営されているのすごいっすね!たぶん大家さんに、もっと長くいたいから2,3割安くしてって交渉できますよ!」

この助言が成功すれば、理想論であるものの収益は以下のように改善されるかもしれない。

月の粗利70.4万円ー家賃7万(3割家賃値引き)ー光熱費3万ーホットペッパー広告0万円(自社サイトから集客)ー薬剤原価6.4万(金持ち美容師と同じ購入単価)=53.8万円(店主の月収)

この固定費削減ができた後に、顧客単価を上げる努力をすれば、貧乏美容師は金持ち美容師になるだろう。
例)カラー・パーマ初回半額券発行とか。白髪染めのスキルを極めて、高単価客層を流入されるとかが挙げられる。

この助言に対して、貧乏美容師はどう返答したと思いますか?

貧乏美容師助言①に対して「サイトを作る費用も馬鹿にできないし、労力かかるからな~。あとSNS苦手。」
貧乏美容師助言②に対して「いまの卸問屋さんとのご縁があるから取引やめるのは無理かな。」
貧乏美容師助言③に対して「大家さんと家賃の交渉なんてできないよ!追い出されたら大変だしね。」

いかがだろうか?
わたくしはこの返答を聞き、いかりや長介ばりにこう思った。

今の苦しい状況を打開しようという気概がない。
さらに、創意工夫する気力もない。
現状維持のみを思考している。
いや、何も考えていないゆえの現状維持という表現の方があっているかもしれない。

わたくし個人的に、貧乏美容師の人柄は好きである。
またカットに不満もない。
しかし、貧乏美容師が貧乏たる最大の理由は、上記の返答からわかるとおりの「貧乏マインド」である。

もし、常連として貧乏美容師のお店に通っていたら、その貧乏マインドが伝播して、わたくしの不動産賃貸事業も貧乏になりそうな感じがする。
よって、次回から金持ち美容師の金持ちマインドに触れながら、カットしてもらおうと思う。
このマインドは結構重要で、金持ちは金持ちを呼ぶのである。
ジョジョのスタンド使いが惹かれ会うように。

最後に、もう一度要約する。
貧乏美容師が貧乏である所以を説明した。
客単価が起因した低い利益率、高い経費が経営を圧迫しているから貧乏であると思われる。
しかし、現状を打破しようとしない、思考停止の貧乏マインドが最大の理由なのだ!

以上。
おわり。

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