あたたかい白い息

寒さにかじかむ手に息を吹きかける。ほうっと白い息が浮かんで消えて、息の白さと同じ色の空を眺める。ほんのり薄日が差しているのに、雲からのぞく青空が少し見えてかと思ったら、すぐに白色に染まってしまう。冬の寒さの中で降り注ぐ日差しは、ちょっとした贈り物のように思える。

私は白い息が広がっていくのを見るのが好きです。雲に手をのばせば掴めるように、あまりにはっきりとした形を持つ息ならば、触れることができるのではないかと、小さい頃に何度も手をのばしました。

掴めようとしても手をのばしても、かき消えてしまうだけで決して手の内に残ることはありません。吐く息の白さで冬の寒さの推し量り、車のフロントに霜が降りているか、霜柱は立っているか、雨水がたまったバケツに氷が張ってないか確認しています。

吐く息が白い時、自分の息は温かいのだと。どんなに寒くても外の気温より自分の方があたたかい。まるで生きている証のような気がしていました。自分はあたたかい。だけど、もっと暖かい部屋に行かないと。すっかり凍えて風邪を引いてしまいます。

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