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【マジカルバケーション】マサラティ村の話【GBA】

※2023年11月9日に別のブログに書いたものを再掲しています。

 闇のプレーンにあるマサラティ村はヴォークス族が暮らす村。村から少し外れたところにある1軒の家に暮らしているヴォークスの青年、メースくん。彼の家に訪れたのは同じ種族の女性、シナモンちゃん。
「今日はチーズケーキも持ってきたのよ。すごく気に入ってたでしょ?また焼いたの」
 シナモンちゃんの言葉にメースくんは困り顔。どうやら彼のご両親はウーズ熱という病気で亡くなったようで、そのウーズ熱というのはマサラティ村では『悪魔がかかる病』といわれ、メースくんのご両親は悪魔、そしてその息子であるメースくんも悪魔だと村から追い出されたようです。
「ボクの両親は悪魔だからウーズ熱にやられたんだって。みんな言ってるよ……。ボクも悪魔なんだよ……」
 弱気なメースくんにシナモンちゃんは喝を入れます。恐らく主人公たちがここに来る前から、シナモンちゃんは村から追われたメースくんにあれこれ世話を焼いているのでしょう。
「メース、私の気持ち わかってるでしょ?それなのに、どうしてそんな私をためすようなこと聞くの!?信じてくれないの!?」
 そう言ってシナモンちゃんはお家を飛び出してしまいました。

 村に入ると、シナモンちゃんはリーダーの娘さんであることを知ります。悪魔であるメースくんとこっそり会っていることも、彼と関わるなという村の掟を破って他の人たちの反感(リーダーの娘だから、ルールは守らなくても良いのか?)をかっていることも。
……リーダーであるジンジャーの「この村が、闇のプレーンの中でも平安を保っていられるのは、私がいい仕事をしているからだ」て台詞にイラッときたよね。村の人たちが言うならまだしも自分で言っちゃうんだ???村人を悪魔と呼んで阻害するのがいい仕事?????すでに腹が立っている。

 リーダーから「オマエたちも、この平和を存分に楽しむがよい。ただし、沼の真ん中の氷の島へは行かぬことじゃ。先々代も、その前のリーダーもあそこで命を落とした。氷の島にあるジェラ風穴。そこにはとんでもない魔物がおるからの」と言われ、ああ恐らく次はここに行かなきゃならないんだろうなと(笑)。

 案の定、宿屋の主人から「メースちゃんの両親が死んだのは村の者のせい」「メースちゃんの目を正面から見れる大人は一人もいない」と聞かされる主人公一行。
 実はメースくんのご両親がかかったウーズ熱はアイスシードという、沼の真ん中にある氷の島の洞窟に咲くグラッシュの花が実らせる実で簡単に治せるのだそう。しかもそれはマサラティ村の者なら皆知っていること。
 氷の洞窟。恐らくリーダーが言っていた、先々代も、その前のリーダーも命を落としたというジェラ風穴のことでしょう。そんなところ、誰も行こうとしないのは当然です。
 誰にも、それを取りに行く度胸がなかった。そのためにウーズ熱を大昔の、アイスシードを見つける前に言われていた『悪魔の熱』だの『呪いの熱』と言い騒いで、メースくんとご両親を村八分にした。
 メースくんもそのことをわかっていた様子。村の人を責めるなというのが彼の父親の最後の言葉だったそうです。自分のために危険を冒してジェラ風穴のアイスシードを取ってきて欲しいなんて言えませんから。

「村の人にわかってもらうために大切なのは、言葉ではなく、ボクが何をするかなんです」
 そうメースくんが言った翌日、彼がリーダーの家すなわちシナモンちゃんのところに行くと、見張り役の男性から彼女がウーズ熱にかかったと聞かされます。
……もちろんこれは嘘。恐らくリーダーがシナモンちゃんに家から出るのを禁じているのでしょう。だって本当にウーズ熱なら悪魔の熱なんでしょ?呪いの熱なんでしょ?リーダー一家もメースくん一家みたいに村から出て行かなくちゃおかしいじゃない????

 シナモンちゃんがウーズ熱と知ったメースくんはひとり迷うことなくジェラ風穴へと向かいます。主人公たちも彼を追うと、アイスシードのついたグラッシュの花を手にしたまま、メースくんは気を失っていました。
……これ、なんでだかわからないのよね。寒さなのか空腹なのか、ここにいたへイルクラブ(ボス)に遭遇してびっくりしたのか。でもメースくんそんなこと言ってなかったし。もしかしてアイスシードを見つけて急いで戻ろうとした際に滑って転んで頭を売って気絶してたとか?

 村に戻るとメースくんはシナモンちゃんのお家の前で門番と揉めていました。アイスシードをすりつぶしてシナモンちゃんに飲ませてほしいと訴えます。
「いや、いかん!そんなもので熱はなおらん!ウーズ熱にかかったのは、オマエみたいな悪魔とこそこそ会ったりしたせいだ」
「ボクは悪魔じゃない!!」
「シナモン様をたぶらかしておいて 何をエラそうに!オマエはその実をダシにして シナモン様に会いたいだけではないか!見え透いているぞ!」
……いやーナイわこの門番。かなりサツイが芽生える(笑)
 最終的に門番はメースくんに、村を出ていくと約束するなら言う通りシナモンちゃんにアイスシードを飲ませると詰め寄ります。
 悩みに悩んでメースくんはシナモンちゃんのために村を出る約束をして、その場を立ち去りました。
「ハッ。バカなヤツ」
「ようやくやっかい者が片付いたよ」
 そう言って主人公たちに、これはくれてやるぞ、とたった今メースくんから受け取ったアイスシードを寄越したのでした。
……こ、こいつ~~~~~~!!!!!!!なんて汚れ切ったやつなの!?むかつく!!!!!ガナッシュくんがいたら絶対に闇魔法で一撃だったのに!!!!!

 怒りをこらえてリーダーのお家に入るとなにも知らない元気なシナモンちゃんの姿が。
「あら、おひさしぶり。近頃、お父様が家から出してくれなくて……」
 やっぱり彼女がウーズ熱というのは、メースくんを追い払うための嘘だったようです。カフェオレくんの「ナニモ シラナインデヤンノ。ノンキナモンダゼ ベイベー」という言葉にシナモンちゃんは父親に駆け寄ります。
「私もくわしくは知らされていない。ただひとつだけ言えるのは、メースという男は、ほかの誰より勇気を持っていたってことだ……。すまない……。こんな父親でゆるしてくれ……」
……詳しくは知らされていないっていうのは本当なのかしら。どいつもこいつもクズすぎる。
 シナモンちゃんも私と同じ気持ちなのでしょう。そんな説明じゃ、なにもわかんないっ!!とお家を飛び出してしまいました。
「しかたがないんだ……。私だって、つらいさ……。見てのとおり、この村の男たちはメースやシナモンほどに、心が大人になりきっていない。メースがこの村にいても、何も良いことはないだろう。
旅の人……シナモンはきっと、村外れのメースの家に向かったはず。もし、あの娘が、メースの後を追うと言い出したら、これをわたしてくれ……これを売って装備をととのえるよう、伝えておいてほしい」
 そう言って渡されたキャムティ金貨10枚を主人公たちが受け取ります。
……メースがこの村にいても何も良いことはないだなんて、自分の都合のいいように娘を厄介払いしただけじゃない?娘より村を、リーダーという地位をとるんだねこの人は……人じゃなくて犬の種族なんだけどさ……。

 メースくんの住んでいるお家に行くとすでに彼の姿はなく、シナモンちゃんがひとりたたずんでいました。先ほどの父親の説明ではなにもわからなかった彼女に主人公たちが事実をすべて伝えます。
 ジンジャーさんから受け取ったキャムティ金貨10枚を受け取ったシナモンちゃんはメースくんを探す旅に出る決意を固めます。
 ひとりじゃ危険だと誰かと行くよう提案する主人公たちですが、シナモンちゃんは首を横に振りました。
「メースが私のために命をかけてくれたように……私も彼をさがすために命をかけてみる。私は彼に……んーん、彼だけじゃなくて、マサラティ村の人にも本音を全部ぶつけていきたいの。彼は悪魔なんかじゃないって、全身全霊をかけて言いたいの」
 そう言ってメースくんの家をあとにするのでした。

……なんかもう、完全に大人たちがくずなんだけど、でも自分が村の大人の立場ならやっぱりジェラ風穴には行けないだろうな、とは思う。でも、だからといってあんなふうに村八分にしたりはしない……と言い切れる自信もない。

 このゲームの村ごとのエピソードに続きがあるのかはまだわからないんだけど、シナモンちゃんとメースくんはどこかで無事に再会できて、マサラティではないどこかの村でふたり幸せに暮らせるといいな。

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