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オレンジ色の満月から かすかな羽音を立てて 飛んで来る梟たち 街の灯かりが消えてゆく Round About Midnight まんまる地球に舞い降りた やがて夜明けを迎えたら 青い海と緑の島に誘われて 山茶花の小道の先の 蔦の葉っぱに覆われた 小さな館で羽根を休める 眼を凝らして見てごらん ここは不思議の館 梟たちが紡ぎ出す 夢のあぶくが漂っているよ 新月の夜が来れば 梟たちが樹々の葉陰から ぼくらを覗いては クスクス笑っているよ 耳を澄ませてごらん 星とい
🌳☘️ 森で弦楽器をつま弾いても 私は樹木の名前を知らないから 旋律は湖面の光に砕かれてしまう 山麓に歌声を響かせても 樹木が名前を告げてくれないから コトバは青空遠くへ飛び去ってしまう 樹木はいつだって 樹木だけれど 私は名前を 知りたいのです 🌱🍃 待ち焦がれた 七月の祝祭の日 恋人の胸に飛び込むように 私は森へと 一目散に駆けて行く 森では樹々のそこかしこで 夏の子ども達が忙しく水を運び 葉叢の奥の暗がりから こだま達が顔を覗かせている 私が呼びかける
― 詩人Y・Kに ― 海から吹いて来る 遠い夏の記憶のように ごく薄い水色から 真夜中の濃紺までの 星空よりも果てしない あなたのこころと ちょうど同じ 深さの海に 古の島は 霞を纏って浮かび あなたは 潮風が描く波紋のように かたちと色彩が舞う ことばの絨毯を織りあげる 潮の流れに乗って 月まで泳ぐ魚たち 海から生まれる いのちのきらめきに わたしは慄き 見惚れて 波がやわらかに 砂と戯れる浜辺で 銀河を漂う浮島のミラージ
ある初夏の日の朝、私は海岸沿いを走る列車のシートに座っていた。ふいに、窓から砂浜のぬるい風が吹き込んで来たと思ったら、私が飲み干した清涼飲料水のペットボトルの中にしゅるしゅる渦を巻きながら吸い込まれてゆく。その時、私はもう少しで喃語を喋りかけたが、ペットボトルの中で魚の鱗がキラッと光るのが見えたので、慌てて蓋をした。 ペットボトルは風船のように膨らんできた。天井に届くくらい大きくなると、終いにはパーン! 破裂した瞬間、あたりには何も見えなくなった。気が付いたら、列車は変