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まだ頬の紅い子どもの頃に 玩具のポストに投函した手紙は 頬の蒼い大人になれば 約束の樹にもたれ掛かって 恋人を心待ちにしている時にしか 配達されて来ないから 舞い落ちるイチョウの葉っぱを 一つ一つ数えながら ひとり手紙を待っていた僕は 淡いピンクの残像だけを残して コスモスの花が萎れていることに 気が付いたのでした 最後の葉っぱを見送った ケヤキは空に辿り着けなかった せめてあの雲に触れようと 枝先を尖らせて 精いっぱいに背伸びするけど どうしてそれが 僕の胸に突き刺
1 森林公園の広場に 熱気球が繋がれている カラフルなパターン模様に アルファベットのロゴマーク ビジュアル系の巨大坊主だ 家族連れの長い行列が ゴンドラの前から 私とみーちゃんのいるこちらへと続き 試乗の順番が来るのを待っている 子ども達は風船で遊んだり 追いかけっこをしたり 紙ヒコーキを飛ばしたり 風ぐるまを回して走ったり おとなしく待っていられない シャボン玉のひと群れが 青空に散らばって‥‥ 2 のるのいや! のるのいや! い! や!