アイスラッガー ――画像しりとりはじめました (#22)
(#21)永久の愛→「あい」→アイスラッガー
なんだか得体のしれないモノが落ちていたので、
映ったものの名称が出てくるスマホのアプリをかざして見てみた。
「私は強打者です」
……余計、わからなくなった。
スラッガー【slugger】は、野球用語で「打球を遠くへ飛ばすことができる長距離打者」を意味し、日本語では「強打者」なんて言い方をされることが多い言葉。
ただ、この日本語の「強打者」と英語の「スラッガー」とはビミョーに意味合いが違っているように感じる。
「強打者」の定義は、わりとザックリだ。
「野球で、よく長打を放つ打者。猛打者。スラッガー。」(日本語大辞典)
ただ、「強打者」という日本語が醸し出すイメージは、「長打、特にホームランをガンガンかっ飛ばす、味方にすれば頼りがいがあり、敵方にとっては脅威となる打者」である。
一方、英語の「slugger」は、
"a baseball player who hits the ball a very long way" (ロングマン英英辞書)
である。即ち「打球を遠くへ飛ばす能力がある選手」である。長打力があるという点では「強打者」とカブるが、こちらも強打者同様に「いつ打つか」「どの程度打つか」という点には一切関知していないというトコがミソ。
つまり、打率.200前後で三振率もベラボーに高い、ただ、時折バットに当たればたいていホームラン、なんてバッターも、立派な「スラッガー」ということだ。
ただ、この「三振かホームランか」というバッターが「強打者」か?…て言われると、肌感覚としてはとってもビミョーである。
むしろ、日本語の「強打者」のイメージに近い英語は、
「クラッチヒッター(clutch hitter)」かもしれない。
「クラッチ」は「しっかりと掴む」という意味の単語であり、そこから転じて野球をはじめとするスポーツ用語としては「チャンスをモノにする」という意味で使われる。
得点圏でのヒットを日本では「タイムリーヒット」と言うが、これは日本人お得意の (笑) 和製英語であり、アメリカでは「クラッチヒット」もしくは単に「クラッチ」と呼ぶ。
即ち、クラッチヒッターは、「チャンスの場面で頼りになる打者、勝負強い打者」という意味であり、単純に「打球が遠くに飛ぶ打者」よりも、よほど「強打者」のイメージに近いと言えるだろう。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
漢字のイメージと実像がいささかズレる野球用語には「長打率」というものもある。
長打率とは、「塁打数÷打数」で求められる指標であり、意味としては
「打者がその打撃によって獲得できる1打数当たりの塁打数の期待値」
である。
パッと見、
なんのこっちゃ?(・_・)?
という感想しか出てこないような分かりづらい日本語だ。
「長打率」っていうくらいなんだから、
要するに「どのくらいの確率で長打を打てるか」ってことでしょ、
そう言いたくなるのだが、これがまたビミョーにちがうから厄介なのだ。
というのも、この長打率の計算に使用される塁打数は
「ヒット+二塁打×2+三塁打×3+本塁打×4」で算出される。
即ち、シングルヒットも入ってくるので、極端な話、長打を一切打たず、シングルヒットだけ量産したとしても、そこそこ高い長打率になるのである。
具体例として、今シーズン、現時点でパ・リーグ首位打者の松本剛と、同じチームの未完の大器 (かもしれない) 清宮幸太郎を比較してみる。
見てのとおり、長打率という指標では、
アベレージヒッターの松本剛も
ホームランバッターの清宮幸太郎も
ほぼ同じということになってしまうのだ。
そこで、その選手の純粋な長打力を求める指標として「IsoP」というものが編み出された。
IsoPは、Isolated Powerの略で、具体的には
「(2塁打×1+3塁打×2+本塁打×3)÷打数」で求められる。
長打率とは違い、単打を評価の対象としていないため、その打者の純粋な長打力を評価できるのが最大の特徴だ。
この指標で見れば、下記のとおり、松本剛と清宮幸太郎の打者としての特徴をはっきりと差別化して見ることができる。
ちなみに、この両者、クラッチヒッターとしての要素の点でも、好対照なので、ついでにご紹介しておこう。
クラッチヒッター要素を見る上で最も重要な得点圏打率は次のとおり。
松本…56打数26安打 打率 .464
清宮…68打数11安打 打率 .162
通常の打率でもリーグトップの高打率を誇る松本剛だが、得点圏になると、その打率がさらにハネ上がり、ほぼ2回に1回はヒットを打つ状態。まさに典型的なクラッチヒッターといえよう。
一方、通常打率も.226と低いのに、得点圏打率はさらに下がってしまう、それでいてチームトップの11本塁打に加え、リーグでも高いIsoPを記録している清宮幸太郎は、典型的な (強打者ではなく) スラッガーといえるのかもしれない。
ちなみに、清宮幸太郎の得点圏打数68は、野村佑希の72に次ぐチーム2番目の多さである。
肌感覚としても、毎試合毎試合、清宮んトコにやたらチャンスが回ってくるなあ……という印象が強い。
それだけ多くのチャンスが回ってくるのに、チャンスをモノにするよりつぶされる機会の方が圧倒的に多いのだから、彼の「チャンス弱さ」がより一層際立って見えてしまうのも、また紛うことなき事実。
頑張れ、清宮幸太郎\(^o^)/♪
最後に、スマホをかざしたり撮影したりして、その映ったものの名称だったりその他詳細な情報が瞬時にして得られる便利アプリについては、こちらをご覧くださりませませ。👇
便利な世の中になったものだ。
このアプリで自撮りしたら、なんて表示されるのだろう?
「箸にも棒にもかからぬ何か」
とか表示されたら、さすがに萎えるな(*´Д`)
明日も、なるべく多くの人がチャンスを生かせる一日でありますよう🍀
■ おまけ
今回の画像しりとり列車 (22両目) の前の車両です。タイトル「永久の愛」と右下のネタ画像で、なにこれ?て引っかかりを覚えた方がおられましたら、時間が許すような時にでも、覗いてみてやってください。