麻婆豆腐の謎
麻婆豆腐が好きだ。
麻婆豆腐といっても色んな味のものがある。
私が人生で1番初めに食べ、また、最も多く食べた麻婆豆腐は実家で母が作った麻婆豆腐だと思う。
そのため、基本的に私の中での麻婆豆腐の味は実家の麻婆豆腐の味ということになる。
大学生になり、一人暮らしを始めてたまに麻婆豆腐を自分で作ってみる。もちろん本格的にではなく豆腐と混ぜて煮るだけのやつだ。
なんか味が違う。
初めに作ってみたときは、分量通りに水を加え作ったはずなのに謎に水っぽくなってしまって全く美味しいと思えなかった。
次に作ったときは、前回の反省を活かして少し辛め(濃そう)のやつを選んだのだが辛すぎて話にならなかった。
そして今日、「今回は美味しい麻婆豆腐を作るぞ!」と混ぜて煮るだけのくせして私は自信たっぷりに渾身の麻婆豆腐を作った。
なぜ今回は自信満々かというと、水も油もいらないただソースと豆腐を混ぜるだけのタイプだからである。これで間違えるといったことはない。また、今回のためにいつもより少しお高めの豆腐まで用意したのだ。失敗するわけにはいかない。
結果。
なんか違う。
豆腐がありすぎて豆腐の味が強すぎる。
なんでいつもこうなるのだ。
一度母に麻婆豆腐の作り方について聞いてみたことがある。その時には、私が使っていたものと同じようなソースを使って作っていると話していた。
ではなぜだ。なぜこんなことになってしまうのだ。
私はまだ一度も美味しい麻婆豆腐を作ったことがない。また、理想の味にするために何を足せば(引けば)良いのかという考えも全く湧いてこない。
このまま自分の理想の麻婆豆腐を生み出せないまま人生を終えてしまうのだろうか。
いつか将来のお嫁さんが作ったとびきり美味しい麻婆豆腐が私のベスト麻婆豆腐を更新し、満足できる麻婆豆腐をたくさん食べたいものである。そして、その時には私自身で理想の麻婆豆腐を作ってみたいものだ。
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○年後の食卓
「やっぱりオメェの麻婆豆腐が1番だぜ!ガハハハ!」