《1/fゆらぎ》を測定してみました
1/fゆらぎと呼ばれるゆらぎがあります。自然界には必ずある不規則な動き・リズム・波長のことで、風や波をイメージしてみるとわかりやすいでしょう。今回は、リラックス効果があるといわれる1/fゆらぎを測定してみたのでご紹介します。
1/fゆらぎとは?
1/fゆらぎとは、風や波など自然界には必ずある不規則な動き・リズム・波長で、私たち生き物の身体から発せられる心拍、呼吸、脳波、発汗などの”信号”にも含まれています。
1/fゆらぎの研究者である物理学者の武者利光(むしゃ・としみつ)さんは、神経系を構成する細胞であるニューロンが発する電気信号の発射間隔を調べ、その間隔が1/fゆらぎをしていることを発見しました。
このゆらぎは、メトロノームでピッとピッと測ったようなものではなく、私たちには不規則とも思えるような自然本来のリズムです。寄せては返す波の周期が一定でないのを想像してみるとわかりやすいでしょう。1/fゆらぎを感じ取ると脳内がα波の状態になり、精神が安定したり、活力が湧いたり、快適さ、心地よさを感じるのだそうです。以上のことから、リラックス効果があると言われています。
不思議な体験
少し不思議なことを言いますが、私は昔、風に揺れる葉の動きがひとつの楽曲のように調和しているのを体験したことがあります。面白いことを言いますよね笑
大きな公園の中を歩いていたんです。通勤途中にあった公園で、もしかしたらベンチでコーヒーでも飲んでから出勤しようとしていたかもしれません。ちょっとした森のような木々の深い公園でした。
大きな木が風に吹かれて、枝葉が揺れる様子を眺めていたのですが、その揺れが完璧に調和していて驚いたのでした。どういうことかというと、葉Aが揺れた〇拍後に葉Bが揺れて、葉Bの〇拍手後に葉Cは〇〇な動きをして……という具合に、その時はなぜか葉っぱの動きを解読できたんです笑
その様子はまるで、”木”という譜面で”葉”が音符となって”風”が奏でているようでした。動きやリズムがまるで音楽のようで、テレパシーのように表現が伝わってくるのです。ひらめきや気づきを「はい!はい!そういうことね!はい、わかりますよ!」と心の中で木に喋りかけていました。
あの不思議な体験は、自然界にある不規則なゆらぎは、実は私たちの理解を超えた次元では”意味のある動き”で、神様くらいの高い視点に立てば、もしかしたらひとつの楽曲になっているかもしれないと、私に教えているかのようでした。風に揺れる葉の動きひとつにも法則がある。私の中に密かな奇跡が生まれました。
1/fゆらぎの測定
さて、自然界には必ずあり、私たち生き物の身体から発せられる心拍、呼吸、脳波、発汗などの”信号”にも含まれている1/fゆらぎ。実は自分で測定することができます。奈良県でソフトウェアの開発・Webサイトの運営をしているArt Studio まほろば様による開発の ゆらぎアナライザー を使います。
λ(ラムダ)という波長を表す数値が【1】に近いほど、適度に不規則なゆらぎがあるとされ、λ =0.9~1.1の間だと1/fゆらぎがあると判断されます。
ということで、私自身が歌ってみた曲とピアノ曲を実際に測定して分析してみました。大変興味深かったのが、どんな表現・歌唱をするかによって数値が微妙に変わってくるということです。マスタリング処理をすることでも変化がありました。
分析してみて面白い結果だった例を3つご紹介します。各結果の詳細については次の「解析結果の見方」以降で説明させていただきます。
解析結果の見方
その前に解析結果の見方についてご説明します。まずは、λの値はゆらぎの程度を表す目安となります。ゆらぎアナライザーを開発したArt Studio まほろば様のホームページにもあるように「λの値が1に近いからといって1/fゆらぎを持っていると断定するのはあまりに早計すぎます」とのことです。
とはいえ実際に解析してみると、数値が【1】から遠ざかるほど解析図の形も崩れてくるので、私はけっこう精度が高いのでは?と感じております。
それから1/fゆらぎの有無で、歌声や音色の良し悪しを決めつけないことは注意して欲しいなと思っております。世の中にはいろんな良い声・良い音があるので、数字で線引きしてジャッジするような音楽の愛し方はしないで欲しいと願うのです。
例えば、私のYouTubeでよく聞かれている「蘇州夜曲」は多くの方に良いと言っていただいておりますが、計測してみるとλ=0.871と、λ =0.9~1.1の間には入っておりません。でも皆さん良いと感じてくれたわけです。
数字はあくまで裏付けや根拠の目安に使っていただくのがよろしいかと思います。私も1/fゆらぎを計測できた曲には「1/fゆらぎが含まれます」と数値と一緒に明記して、歌を聞いていただくきっかけ程度に使っています。
表現することにしろ、歌うことにしろ、その良さは総合的なものです。1/fゆらぎがあるから良い、悪いではなく、ご自身の感性を大切に気にし過ぎることなく音楽を愛していただけたら嬉しいです。
解析その① 支那の夜(λ=0.900)
この歌はすごく興味深かったです。最初、 λ=0.900と1/ゆらぎが計測されたのはオケの問題かと思ったんです。というのもこの曲には波音、ピアノ、ガムラン、楊琴(ヨーキン)、篳篥(ひちりき)、尺八などが使われています。
しかし念のため以下の2パターンでも測定してみたら、そういうわけではなさそうだとわかりました。
面白いですよね。ボーカルのみ音源のほうが高い数値だなんて。耳馴染みのよい良質な音源を作ったら1/fゆらぎがなくなってしまったわけです。
とはいえ、マスタリング処理をしていない音源がどんな風に聞こえるか?わかる人には、処理しないわけにはいかないと思います。1/fゆらぎを念頭においた処理が必要なのかもしれません
解析その② 純正律で歌う You Raise Me Up(λ=0.948)
(バグなのか?再生ボタンが出てこない場合は画像クリックで聞けます)
純正律で歌った「You Raise Me Up」は λ=0.948とかなり1に近く、1/fゆらぎを含んでおりました。この曲は面白いことに、純正律のオケを使用したことが要因で1/fゆらぎが含まれたかもしれません。
といいますのも、こちらの場合もボーカルのみ(エフェクトなし)でも測定してみましたら今度は λ=0.759と1/fゆらぎを計測することはできなかったのです。
ちなみに純正律の設定は、Cubaseのプロジェクト設定をReference(Pure 3/5)にして、すべての楽器に適応させています。使用楽器はピアノ、バイオリン、アイリッシュフルート、アイリッシュハープ、オーケストラハープです。
1/fゆらぎは、条件によって微妙に変動してくるというのがわかってきました。
解析その③ 風に流して New age Version(λ=0.928)
歌声の入っていないピアノBGM(インスト)です。こちらがユニークなのはソルフェジオ周波数(528Hz)を薄く流している点です。また風や雨、鳥の声を混ぜています。こういうのも何か要因となって数値が高めなのかもしれません。
実はこのピアノ、誰かの心を癒し、元気になって欲しいと作曲しました。音楽理論だけに頼らず、作曲者自らが何度も演奏を重ねて、優しさと心地よさを追求した楽曲です。そのため、癒し効果の高い結果となり嬉しく思います。
まとめ
測定してみて思ったのが、意外とλ=0.9~1.1の間にいかないんですよね。同じ人間の声でも、条件によって数値が変わるようです。私の場合は0.7~1.0が多かったです。1を超えるものが少なかったのも興味深かったです。
条件については、楽曲によって変動しているわでもなさそうなんです。音域でもなく、倍音というわけでもなく、ほんとに「心地よさ」という感じがします。ただその感覚的ともいえる「心地よさ」も、いくつかの条件が当てはまったときに1/fゆらぎが測定できるのではないかな?と私は感じました。
難しいなと思うのが、質の良い音源にしようとあれこれいじると、音の良い成分も減ってしまい、1/fゆらぎも消えてしまうことになり兼ねないというのとです。今はAIアシスタント機能もあり私も使いますが、結局は自分の耳と感性で良いと判断して、ギリギリを攻めて音を整えていくというのがいいのでしょうね。
その他、1/fゆらぎが含まれている動画は、私のYouTubeチャンネルの再生リストでご紹介しております。ぜひ聞き比べてみてください。チャンネル登録もどうぞよろしくお願い致します。
また埼玉県(新座・志木)&オンラインで自然の法則を理解した喉によいボイストレーニングを教えています。発声研究者のフレデリック・フースラーが提唱するフースラーメソードを使って、人間が持つ本来の「声」を引き出し、声量・響き・密度などの音色の質を底上げします。
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