【受験生必見】試験やテストでケアレスミスを防ぐテクニック!その④計算間違いを検算で防ぐ方法【試験対策】

本記事について

前回その③では、計算間違いを減らすための具体的なテクニックについて説明しました。

本記事では、計算間違いを減らすためのさらなる方法として、特に検算にスポットを当てて以下の3つについて説明します。

・情報量を減らして一部をチェックする
・Nの倍数の知識を利用する
・出題者の意図を読み取る

どの方法も数値計算の問題を解き終えた後で、見直しとして行うものになります。見直しをするための時間を確保する方法についてはその①を参考にしてみてください。
また、今回紹介する検算は、間違いを発見するためのヒントにはなりますが、いずれも正解であることを保証する方法ではありません。つまり、計算間違いに気付くために使うのであって、正しい答えを求めるために使うわけではないことに注意してください。

情報量を減らして一部をチェックする

情報量を減らすとは、簡単に計算できる形にしてしまう、ということです。簡単に計算して一部の内容だけをチェックして、それが間違っていたら計算間違いが起きていると判断するものです。
ここでは、以下の3つについて紹介します。

・概数で計算
・1の位だけ計算
・符号だけ確認

概数で計算

概数とはおおよその数のことです。正確な値を計算するのではなく、だいたいこのくらいという値で計算します。解答した値と、概数で計算した値が大きく異なっている場合、計算間違いが生じていると考えられます。

例えば次のような計算問題を下記のように解いたとします。

(1)40523×31=1256213
(2)198231+55555=753786
(3)31245×(1.0123-1.0111)=37.494

概数は四捨五入などにより、だいたいの数にして計算するので、人によって計算結果が変わってきます。例えば、109123という値を、だいたい、100000とする人もいれば、だいたい110000とする人もいます。大きく値が違わなければ何でも良いのです。
それでは、上記の問題を概数で計算する例とその解説をします。

(1)40000×30=1200000

解答は1256213でだいたい同じくらいの値になっているため、計算間違いは生じていないかもしれない、ということがわかります。「計算間違いは生じていない」と断定できるわけではない点に注意してください。

(2)200000+60000=260000

解答は753786であり、260000とは大きく異なる値をになっています。よって計算間違いが生じています。計算し直しましょう。

(3)30000×(1-1)=0

このように概数計算した人は間違いです。似た数値の差を扱っている場合、元の数値を概数にしてしまうと、差が無くなってしまいます。そのため、差を計算した上で概数を使って計算しましょう。似た数値の差を使って掛け算や割り算、累乗等の計算を行う場合はこの点を注意してください。

(3)30000×(0.001)=30

括弧の中の似た数値の差は0.0012となったので、ここでは0.001としました。簡単な計算なので0.0012のままにして36としても良いと思います。いずれにせよ、解答した37.494と近い値なので、計算間違いはしていないだろうと考えられます。

1の位だけ計算

この方法は整数による足し算、引き算、掛け算の時のみ有効な方法です。計算する数値の中に小数や分数等が含まれる場合は使えません。また、割り算についても、ある意味分数を扱っているのと同じですので使えません。
使い方としては、1の位の数字だけを抜き出して計算して求めた1の位と、解答した1の位とが一致しなければ間違いと見なす方法です。

例えば次のような計算問題を下記のように解いたとします。

(1)1234+5678+9012=15923
(2)24×37×61=54168
(3)6780-543×12=264

それでは、上記の問題を1の位だけ計算してその説明をします。

(1)4+8+2=14

よって、1の位は4ですが、解答した値の1の位は3になっています。この場合は計算間違いしているので、計算し直しましょう。

(2)4×7×1=28

よって、1の位は8で解答した値の1の位も8になっています。計算間違いはしていないだろうと考えられます。

(3)0-3×2=-6

符号がマイナスになった場合は正の数になるまで繰り返し10を足します。ここでは-6+10で1の位は4になります。解答した値も1の位が4で一致しています。よって、計算間違いはしていなさそうと考えられます。

符号だけ確認

この手法は、掛け算や割り算のみからなる計算の時に使える手法です。符号だけを考えて答えが正か負かを確認します。数値自体はしっかり確認するのに、符号をうっかり間違うミスはよく起こるので、特に負の数を何度も掛けたり割ったりする場合に用いるとミスが減ります。
方法は至って簡単です。掛けたり割ったりする時の「負の数」の個数を数えて、奇数なら負、偶数なら正になるので、解答した値の正負と合致するかを確認してください。

例を一つだけ示します。

-12×(-0.3)÷4×(-2.6)÷(-13/2)=-0.36

この例では負の数は4個なので正、解答した値は負になっているので、計算間違いをしています。符号は気にせずに数字だけで計算し直してみましょう。数字が正しければ符号を正にすれば正解になるはずです。

Nの倍数の知識を利用する

これは整数を扱った掛け算で主に用いる方法になります。見直しだけでなく素因数分解を行いたい時にもこの方法が使えるので、ぜひマスターしましょう。

ある数値が2の倍数であるか否かは、1の位が偶数であれば2の倍数、そうでなければ2の倍数ではない、と判断できます。
それと同じようなチェックを様々な数で行う方法があるので、それを用いて見直しをするということです。

3の倍数:各桁の数字の総和が3の倍数なら3の倍数。

例えば以下のように計算したとします。

1234×3=3602

3を掛けているので答えも3の倍数になっているかを確認します。3+6+0+2=11となり、3の倍数になっていません。よって計算間違いをしています。ちなみに答えは3702です。3+7+0+2=12となり、12は3の倍数です。または、12をさらに1+2=3として、3の倍数であるとしてもOKです。

以下では、計算問題の例は3の倍数の時と同様になるので、ある数値がNの倍数かどうかだけ、例を挙げて確認していきます。

4の倍数:下二桁(十の位と一の位)が4の倍数なら4の倍数。
123456789は4の倍数ではない。
なぜなら下二桁が89。これは4の倍数ではないため。
123456788は4の倍数。
なぜなら下二桁が88。これは4の倍数であるため。

5の倍数:1の位が0または5ならば5の倍数。
これは当たり前なので例は省略。

6の倍数:偶数かつ各桁の数字の総和が3の倍数なら6の倍数(つまり、2の倍数かつ3の倍数ということ)。
123456は6の倍数。
なぜなら偶数であり、1+2+3+4+5+6=21は3の倍数であるため。

7の倍数:1の位を2倍して、残った数値から引き算した値が7の倍数ならば7の倍数。
595は7の倍数。
5×2=10で、59-10=49。49は7の倍数であるため。
86415は7の倍数。
5×2=10で、8641-10=8631。1×2=2で、863-2=861。さらに、86-2=84。84は7の倍数であるため(さらに、8-(4×2)=0として、0となればこれも7の倍数としてよい)。

8の倍数:下二桁を2で割ったものが4の倍数なら8の倍数。
98765432は8の倍数。
32÷2=16で、16は4の倍数であるため。

9の倍数:各桁の数字の総和が9の倍数なら9の倍数。
これを言い換えると、各桁の数字を足して9になったものを消していって残ったものが9または0なら9の倍数。
例えば、53168426907は9の倍数ではない。
53168426907→531684267
531684267→684267
684267→6846
6846→6は9の倍数ではないため。

この他にも13の倍数の確認方法などもあるので、気になる人は調べてみてください。
これらの知識を習得して数字に強くなれば、問題を解く時のスピードも検算の計算スピードも高速化が期待できると思います。

九去法

整数の四則演算に使える方法です。先程の9の倍数の確認に用いたテクニックを使って、より幅広く検算を行うことのできる強力な手法になりますので、ここで紹介します。
紹介している他の手法と比べると若干計算量が多いと感じるかもしれませんが、慣れれば素早く計算でき、元の計算を行うのと比べるとかなり楽になるはずです。ぜひ、習得してみてください。

九去法の処理は次のようになります。
計算式の各数値において、和が9になるものを消していき、各桁の和を9で割った余りを残して左辺と右辺それぞれが一桁の値になるまで繰り返します。その結果、左辺と右辺の値が合致していなければ計算間違いであると判断します。

例題で確認しましょう。

1234+567×89-8765+432÷12=42958

各数値で、足して9となるものを取り出して削除していきます(9の倍数でもOKです)。
左辺は1234+567×89-8765+432÷12
→1+0×8-8+0÷12
12(は各桁の和)を9で割った余り3
→1+0×8-8+0÷3
→-7
負の数になった場合は9を足して正の数にする
→2
一方で右辺は42958→28
28は9で割ると余り1。
→1
よって、左辺が2、右辺が1なので、計算間違いが生じているとわかります。
ちなみに、右辺の正しい答えは42968です。これは計算すると2となり、左辺と合致します。
よって、正しい可能性が高いと言えます。九去法も、これまでと同様で正しいと断定することはできません。左辺と右辺が一致しても正しくない場合も存在します。

出題者の意図を読み取る

これは、物理や化学等の文章題における計算部分で使えることが多い方法になります。物理や化学の計算問題は、「適切に文章の意味を理解し、正しい公式を用いて結果の値を求められるかどうか」を問う出題になっていることが多いです。この時、多くの出題者はあなたが複雑な数値計算を間違えずに行えるかを知りたいわけではないのです。そのため、数値計算をする部分については、簡単に計算しやすい値を使って出題してくれることがしばしばあります。
そのため、数値計算をしている時に、かなり複雑な計算をしなくてはならなくなったのだとしたら、どこかで計算間違いをしていたり、公式を間違えていたりする可能性が高くなります。

具体例として物理の鉛直投げ上げ問題の例と解答を示します

問題
地上から鉛直上向きに初速4.9m/sでボールを投げた。ボールが最高点に到達するまでの時間を求めなさい。ただし、重力加速度は9.8m/s^2とする。
解答
最高点に達した時、ボールの速度は0m/sになっている。鉛直方向の速度の公式は、v=v0-gtであるから、初速v0で投げ上げて最高点に到達するまでの時間をt、重力加速度をgとして、vが0m/sになる時間を求める。
0=4.9-9.8t
t=4.9/9.8=0.5
答え 0.5秒

ここで注目してほしいのは、初速の4.9m/sです。一見複雑そうな値に見えますが、実は重力加速度9.8m/s^2の丁度半分の値であり、計算する時に計算しやすいように、出題者が意図して値を設定してあります。
ところが、計算をミスして、答えが0.4897959…となったとします。通常はこのような複雑な計算をさせる意味があまり無いので、どこかでミスしておかしな値になっているかも、と考えてみてください。

ただし、稀に、実際に使われている実用的な値を使うことを重要視したり、有効数字を考慮した計算を行えているかをチェックするために、計算が複雑になってしまう値のまま出題する人もいます。過去問等から出題者の傾向を予測して、計算しにくい値を出すタイプか、計算しやすい値に変更してくれるタイプかをある程度把握しておくと良いでしょう。

本記事のまとめ

・情報量を減らして一部をチェックする方法として、概数、1の位、符号だけで計算する方法について述べた
・Nの倍数の知識として、2から9までの整数倍の確認方法を示し、九去法を解説した
・出題者の意図を読み取り、計算しやすい値を入れてくれていないかチェックすると良い

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