組織と時代を変える「越境学習者たち」の闘い ーCULTIBASE Schoolとは何か
昨年12月から今年2月の3ヶ月間、株式会社MIMIGURIが運営する「CULTIBASE School」第1期が開講されました。
CULTIBASE Schoolは、組織を“人とチーム”の「学習」の力で変革するためのマネジメントの最新理論と実践技術を身に着けるオンライン対話型学習プログラムです。
▼CULTIBASE Schoolの詳細はこちら!
ぼくは3つのコースの全てで、プログラムを設計・進行し、受講生のみなさんの学びをともにする「ラーニングファシリテーター」の役割を務めました。
問いかけの作法実践1dayコースは、書籍『問いかけの作法』の理論をもとに実践ワークを行う事前学習+1dayプログラムのコースです。実際に日々の1on1や定例ミーティングの質の具体的な課題発見や改善ができるようになることを目指します。
ファシリテーション型マネジメントコースは、日々の1on1や定例ミーティングを通じてメンバーのポテンシャルを最大限引き出す「ファシリテーション型マネジメント」を身につけることを目指す3ヶ月のコースです。
組織デザインコースは、自社組織の組織変革や制度開発に向けての具体的な課題発見や実行ができるようになるための、実践的な「組織デザインの技術」を身につけることを目指す3ヶ月のコースです。
今日は第1期のコース活動をふりかえりながら、CULTIBASE Schoolに対してぼく自身が感じているポテンシャルについて書いていきたいと思います。
先に結論づけるなら、組織を変えるために格闘する「越境学習者」の新たなホームコミュニティになりえる可能性を感じました。この3ヶ月の間で、Schoolの各コースが多様な業種の人々が混じり合う「越境学習コミュニティ」となっていくのを目撃していったのです。
CULTIBASE Schoolが生み出した「越境学習コミュニティ」とは?
はじめに「越境学習」について説明をさせてください。
「越境学習」とは「個人にとってのホームとアウェイの境界を往還することによる学び」を指します。つまり、居心地がいいが刺激がたりない「ホーム」と、居心地は悪いが刺激に満ちている「アウェイ」を行き来する経験です。
アウェイに行って葛藤し、ホームに帰って葛藤する。この2度の葛藤を通じて人や組織が変容していくプロセスに、越境学習の特徴があります。この概念については『越境学習入門 組織を強くする「冒険人材」の育て方』(石山恒貴・伊達洋駆)に非常にわかりやすく、おもしろく描かれています。
CULTIBASE Schoolは受講生のみなさんにとっての「アウェイ」として冒険に来ていただく場所です。そして「ホーム」を変えていくための葛藤を分かち合うコミュニティでもあります。
「Cultivate the Creativity(創造性の土壌を耕す)」をパーパスとするMIMIGURIによって運営されているため、プログラムの隅々までその思想が行き渡っています。マネジメントも人事も、個々人の創造性と企業のパーパスをむすびつけるものとして捉え直していきます。その捉え直しに、まずは葛藤が生まれます。
また、受講生はさまざまな業種・職能の方が集います。所属される組織規模はもちろん、フリーランスの方もいらっしゃいます。そのようなコミュニティのなかで対話を通じてワークを実施していただくため、前提が異なるためにいつもと異なる言葉づかいをしなければなりません。そこにも、新たな葛藤が生まれます。
そのようにして「アウェイ」で出会ったみなさんが、3ヶ月の対話を通して次第に「ホーム」を変えようと葛藤する越境学習仲間のコミュニティになっていきました。
ではここから、ファシリテーション型マネジメントコースと、組織デザインコースについて紹介をさせてください。
上か、下か、鎧を脱ぐか!?ファシリテーション型マネジメントコース
ファシリテーション型マネジメントコースは、様々な組織規模のミドルマネージャーを対象としているコースです。
課長や係長、あるいはプロジェクト/プロダクトマネージャーなどさまざまなかたちでリーダーシップを発揮されている方々にご参加いただいていました。
ミドルマネージャーは、チームの事業目標を達成させると同時に、メンバー個々人のキャリアに寄り添い、成長を促進させようと葛藤する。「トップの意向も重要だが、ボトムの思いも大事にしたい。長期目標も考えなければならないが、短期のリソース管理が喫緊の課題だ!」というようなマネジメントのパラドックスに向き合うことが「ファシリテーション型マネジメント」の課題になります。
受講生のみなさんとプログラムを進める中で「マネージャーの鎧」という言葉が何度も語られていたことが印象に残っています。
鎧を脱ぎ、自分らしいリーダーシップを発揮していくための生々しい葛藤が語られていたことが印象的でした。
自身の成長⇆メンバーの成長、トップの意向⇆ボトムの意向⇆自分の意向を、対話によって擦り合わせていくための心構えと術を学ぶコースになっていました。
組織の構造と文化をつくって語る!組織デザインコース
組織デザインコースはさながら「組織をプロトタイピングする」ように、手を動かさなきゃわからない、組織デザインのダイナミクスを擬似体験できるコースでした。
「どんな組織をつくりたいか」「どんな組織にしたくないか」その願いをもとに組織図、役割・能力定義の作り方を学んでいきます。さらに、事業戦略にも目配せしながら、3カ年の組織戦略を描き、経営会議を想定したプレゼンテーションをしていただきます。
組織図をつくり、役割と能力を定義するだけでなく、事業にどのような影響を与えられるのか、そのためにどんな組織文化を、どのようにして育んでいくのかを考えていきます。
最後の発表を終えたあと、みなさんから「組織デザイン」という概念への捉え方がかわった様子が語られていました。
こうして、「アウェイ」のなかで対話をし、異なる前提を分かち合いながら、「こんな組織を作りたい」と個々人の思いを語ることで組織改革をドライブさせていくイメージが分かち合われていきました。
人事を中心とする組織戦略の構築方法を、仕組みだけでなく文化やリーダーシップの観点からも学んでいくコースになっていたと感じます。
第1期に受講いただいた井上玲さんが体験記を書いてくださっていますので、ぜひお読みください。
いたわりあい、ひらめきあう、越境学習の場
このように、CULTIBASE Schoolの学習体験は、異なる業種や役職の人たちと対話をしながら「アウェイ」に冒険するように参加する経験になっていました。
そして、これから自分が関わる「ホーム」の仕組みや文化を変えていこうと格闘する実践者たちのコミュニティとして、関わりは持続していきます。
印象的だったのは、回が進むごとにコミュニティとしての共通言語が生まれていき、アウェイであったはずの場所にホームのような居心地の良さがうまれていたように見えたことでした。
マネジメントにしても、組織デザインにしても、自組織でいかに実践するかが大切です。しかし、このスクールで学んだことは、これまでの自分の組織にはなかった考え方です。新しい考え方で組織・チームを変革しようともがくなかで、「伝わらない」「反発された」「仲間になってもらえない」というように傷つくこともあるでしょう。
マネジメントや組織デザインは、人の認識や関係性との「闘い」です。そうした厄介な問題との「闘い」であるがゆえの「傷つき」を、いたわりあう場が必要だとぼくは思っています。
しかし、ここでのいたわりあいは単に「つらいよね」「たいへんだよね」と傷を舐め合う場ではなく、「こうするとうまくいったよ」「こう考えたら面白くコトが動いたよ」といった「ひらめき」を交換する場であってほしいと思っています。
ぼくはこのCULTIBASE Schoolが、ホームの組織での厄介な問題との闘いのなかで傷つき、孤独を感じる「越境学習者」たちが集い、いたわりあいながら、実践のためのひらめきや技を、まとまらないまま交換する場になってほしいと願っています。
時代の潮目を変える闘いのすべとして
そもそも、人と働くことがツラミにしかならない組織はたくさんありますよね。そんな労働環境のなかで健康を損ない、ツラミの螺旋を降りる人もたくさんいます。そして、その状況が貧困のような格差を生み出し、分断を生み出していると言えるでしょう。
うちには4歳の娘と2歳の息子がいます。かれらが大人になり働くときには、「人と働くことがつらい社会」が過去のものになっていてほしいと願っています。MIMIGURIおよびCULTIBASE Schoolが取り組んでいるのは、そんな時代の潮目を変える闘いです。
その闘いのすべとして、ファシリテーション型マネジメントや組織デザインなどの知を共に編み出し、使っていきたいと思うのです。
第2期募集中!3月15日(水)まで
そんなCULTIBASE Schoolの第2期が4月よりスタートします。ご興味をお持ちいただけた方は、ぜひ下記のリンクをご参照ください。
また、悩んでいらっしゃる方のために30分のオンライン個別相談会を実施しています。ぜひともお気軽に申し込みください。
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