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「ハヤブサ消防団」公開セミナーの感想

「公開セミナー 制作陣に聞く!~番組制作の現場から~」に参加してきました。直前に存在を知ったのですが、ハヤブサ消防団の制作陣であり演出家の常廣丈太さんのお話が聞けると言うことで大急ぎで申込みをしました。笑

「緊急取調室」の頃から常廣監督の作品は大好きなのですが、あまりインタビュー記事とかがなくて残念に思っていたので、今回はハヤブサ消防団の演出に関するお話をたくさん聞くことができて良かったです。

セミナーには、その常廣丈太監督、プロデューサーの飯田サヤカさんと小路美智子さん、美術デザインの加藤周一さん、そして遅れて3,4,6,7話の演出を担当された山本大輔監督が登壇されていました。

面白い話ばかりで、必死にメモを取っていたら膨大な量になってしまい、文章にまとめるのが大変だったので、各登壇者さんのお話を箇条書きでまとめていきます。

【常廣丈太監督(チーフディレクター 1,2,5,8,9話演出】

  • (直前に司会のペリー荻野さんがVIVANTに次ぐヒット作という話をされていた流れから)現場で生瀬勝久さんと、VIVANTと比べてうちはコスパがいいな~と話していた。

  • (居酒屋サンカクを再現したセットが岐阜の八百津町で公開されるという話の流れから)スタジオセットをそのまま岐阜に持って行くことはできないのでいろいろと試行錯誤をした。例えば、セットは柔らかいので移築にあたって改造が必要だったり、柱の木目は実はシールなのでそこも改良が必要だった。

  • 池井戸さんはもともとミステリーの方なので、日曜劇場の福澤監督✖池井戸潤さんでの世間のイメージとは違う作品にしたかった。

  • 原作が好きな人のことを考えて実写化しなくてはならないので、あまりいろんなアイデアを持ち込まずに、原作の第一印象を大事にして作っていた。

  • (劇中に小路プロデューサーが出演されているという話の流れから)初回の幼少期の回想シーンはもともとシルエットだけ撮るつもりだったのでスタッフの中から選んだ。しかし、撮影が押したためワンカットで撮らないといけなくなって(もともとは8カットくらいに分けて撮る予定だった)、それでも面白いシーンにしたくて、あの撮り方になった。具体的には『(ワンカットに全ての情報を詰め込むため)机の上にアルバムを全て並べて→カメラが外へ移動すると子供達が庭でヒーローごっこ(?)で遊んでいて→カメラがまた部屋の中に入ると、大和田獏さん演じる波川のおっちゃんが幼少期の太郎の小説を読んでいて→カメラが右に移動すると中村倫也さん演じる現在の太郎が座っていて→カメラがさっきまでアルバムが並んでいた机に移動すると、幼少期の太郎が小説を書いていてこちらに微笑みかけてくる』という流れでワンカット長回しの撮影をするために、子供太郎は庭で遊んだ後、大急ぎで家の中に入って着替えて作文を書いていたり、しかも桜を降らせる人も待機していたため現場はかなり慌ただしかった。小路プロデューサーは大和田さんの隣にいた。(ちなみにこのシーン、私はてっきり長回しに見せかけてカットを割っているものだと思っていたので、まさか演者さん方の速移動で成立しているシーンとは驚きました。大和田獏さんも大急ぎで椅子から立って移動されてたのかな~?笑)

  • 2話の大会シーンも朝からやっていたが、かなり押していて、終わったあと中村倫也さんと川口春奈さんが見つめ合うシーンはすでに夜だった。(設定上は昼なのに)真っ暗で演者さんの顔が見えず笑うしかなかった。結局編集でごまかした。

  • ロケ地に恵まれたため、スタジオセットで撮ったのはサンカクの店内だけだった。(ほぼ全てロケというのも驚きました。太郎の家も実際の民家だそうです)

  • 原作のモデルを大切にしつつ、群馬、栃木、あきる野など東京近辺で撮影していた。今年の群馬は暑かったので大変だった。

  • 詰所にある「燃えよ!隼」は監督のギャグだった。ツッコミ待ちだったけどあまりウケなかった。

  • (居酒屋サンカクの送迎車に関する美術の話から)田舎の人は車で飲みにきて送迎を頼むことが多いが、本作は飲んでるシーンが多いので店に送迎車があることにした。予算の都合で監督の移動車をサンカクの送迎車として装飾していたが、放送後はサンカクの車で都心から移動しようとすると、ついてくる人などが出てきて、以降はマグネットでサンカクのロゴは隠していた。

  • (SNSで狐の剥製が話題になっていたが)5話は川口さん演じる彩の過去を描き、太郎を信じさせる回だけど、狐の剥製が映り込むシーンだけは彩が嘘をついていることを暗に視聴者に伝えたかった。彩が本当の話をしている時と嘘をついているときで差別化するための演出。

  • 8話のラスト撮影中に、中村倫也さんに(本物の)蝶々がまとわりついて飛んでたので、最終回の山原展子(幽霊)の登場シーンで蝶々をCGで足した。(現場で撮影をしながら思いついたアイデアだったんですね。)

  • 最終回のアビゲイルの信者が円を作って皆既日食を眺めるシーンは真ん中の木から紐を通して均等な円になるようにした。

  • 1話の消火のシーンは岡部たかしさんが元気すぎて、走るのが速くてカメラマンは追いかけるのが大変だった(ワンカット長回し)。なので途中でホースをいじる仕草をしたりして減速してもらった。
    1話の消火のシーンをワンカットでやりたいと言ったらみんな3秒くらい黙った。

ここまでが常廣丈太監督のお話です(概ね)。書き疲れてしまったので、他の登壇者さんのお話はまたの機会にまとめたいと思います。(すみません)
常廣監督の作品は「dele」「緊急取調室」「BG」など記憶に残る演出の作品が多くて、もっといろんな作品の撮影秘話を知りたいなと思いました。

ところで、上記でチラッとふれた居酒屋サンカクのセットが岐阜県八百津町に建てられるという話、実は来月から見ることができるようなので、行けるかどうかは分かりませんが楽しみです。詳しい話は美術の加藤さんがされていたので次回まとめて書きたいと思います。


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