【創業ストーリー】データベースと歩んだ34年間とこれからのユーソナー
はじめまして。ユーソナー株式会社、代表取締役会長の福富です。
創業34年を迎えるユーソナーですが、現在の社員数は約300名、大企業や官公庁を中心に1000社近くのクライアントを支援しております。
起業から10年生き残る会社が6%といわれる世の中で、当社は34年間、リーマンショック期を除いて、増収増益を続けてまいりました。
今回私からnoteを通じて皆さまにお伝えしたいのは、ユーソナーの創業から現在に至るまでの物語です。
時代の荒波に揉まれながら、生き残る道を模索し続け、何とか今日まで続けてくることができました。
少しでも皆さまの参考になるところがあれば幸いです。
① 創業期:顧客データ活用のはじまり
なぜ私が会社を立ち上げたのか。その経緯から、お話いたします。
私は起業を決意する前、カルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)というビデオレンタル会社に勤めていました。かの「TSUTAYA」を立ち上げた有名企業ですが、30年前は、データベースマーケティングに着手し始めた新進気鋭のベンチャー企業の1つ。
社長室長として働いていた私は、日々様々な課題に直面していました。
そのような中でも、はじめは10人しかいなかった社員が、50人、100人と増えていく様子を、誰よりも社長の近くで見ていた私は、いつか自分の会社を立ち上げたい。誰も見たことのないような面白い組織経営を成し遂げたい。そう思いました。
その時、事業として目を付けたのが、当時携わっていたデータベースマーケティングでした。当時はパソコンもなく、インターネット環境も普及していませんでしたがCCCではすでに、ビデオレンタル店『蔦屋』のバックヤードにワークステーションを設置し、レジには端末を設置していました。店舗ごとの顧客情報や商品発注履歴が本社に集まっており、そのデータベースのマーケティング活用を検討する事業を行っていました。
ただ、当時は若い男子中心に顧客層が限定されていたため上手く活用しきれなかったこともあり、自分の会社で成功させてみたかったのです。
こうして私は、勤めていたCCCをバブル絶頂期に退職。顧客データベースを利用したダイレクトマーケティング事業で起業しました。1990年9月10日、株式会社ランドスケイプ(ユーソナーの前身)の誕生です。
ランドスケイプの名には、「自社や市場の状況を俯瞰できる『景色』作りや、新しい『風景』の創造を、いわば舞台の主役(クライアント)を引き立てる『背景』の立場で支援していきたい」という思いが込められていました。
CCCでの経験もあり、データベースマーケティングが事業としてやっていけるのは間違いないという確信はあった。しかし、肝心の顧客データを持っていませんでした。
そこで思いついたのが、通信販売会社の顧客情報の入力作業です。当時の入力作業は単価の高い仕事でした。通販会社にとっては気になるコストです。そこで、作業費用を市場価格の半額に設定する見返りにデータの競合他社以外への2次利用を許可してもらいました。
つまり、様々な通販会社の個人情報を文字通りの手作業で集め、手に入れた個人情報をダイレクトマーケティングやテレマーケティングに活用してきたというのが、当社の初期の姿でした。
② 転換期①:個人データから法人データへ
2000年代になると、少しずつ個人情報を保護する流れが加速するほど、ダイレクトマーケティングが難しくなってきました。そこで今度は、扱うデータを個人情報から法人情報に切り替えることを模索していきます。しかし、法人情報の業界には既に、帝国データバンクや東京商工リサーチといった信用調査会社が君臨していました。
ここで私がとった戦略は、正面から挑まず、それらの会社が取り扱っていない、小さな規模の企業まで取り扱うことと、「事業所単位」でデータを集めることによる差別化です。
当時、明確な勝算があったわけではありません。個人情報は既に名寄せしても9500万件近く集めていたので、それに比べたら少ないだろうという程度です(笑)。データを扱う細かい仕事に慣れていたので、私たちならできるだろうとは思いました。
企業データベース構築は、厳しくて細かい、苦しい作業です。例えるなら「下水道」でしょうか。ただし下水道みたいな市場となると、競合はなかなか入ってきません。しかも、本物の下水道が都市生活に欠かせないように、法人情報データベースも企業活動に不可欠なインフラだから、ビジネスとしてとても強い。
法人情報の収集は電話帳から始めました。電話帳から収集した情報を基にして、住宅地図のビルに入っている社名情報とつなげて1件ずつ手入力で整えていきました。データが商品として売れるレベルに整うまでには5年を要しています。
それでも当初はクレームが多く、対応に追われていました。収益が出るようになるまでは一般消費者向けのダイレクトマーケティング事業で売り上げをつくり、赤字でも資金を投じ続けました。
当時の努力が実を結び、今では企業データベース「LBC」関連の売り上げが、全体のほとんどを占めています。
③ 苦境期:レッドオーシャンでの戦い
創業以来、なんとか順調に売上を伸ばし続けてきた当社ですが、存続の危機に見舞われる事態に陥ります。
2008年、リーマンショックの到来です。ご多分に漏れず、当社も大打撃を受けました。
各社からの情報投資がなくなり、利益はほぼゼロ、倒産まで秒読みというところまで追い詰められました。
この危機を何とか脱出できた要因は大きく4つ。
経費削減+オフィス縮小+生産性の面談+通販会社からの増資、です。
銀行からの借入も試みましたが、地銀一行を除いて、借入どころか返済を迫ってきました。。
ありとあらゆる手段を講じながら、何とか会社を存続させることができました。
2015年からは、企業データベース「LBC」によるサービス展開を進めるべく、クラウド型の法人顧客データ一元化ツールとして 「uSonar (ユーソナー)」を発売しました。ソナー (Sonar) は潜水艦の音波探知装置という意味で、 文字通り企業社会の水面下でデータを整備することで、営業やマーケティング先の探知を支援するツール、を目指しました。
uSonarを発売してみると、活動履歴やスケジュールが管理できる簡易SFA(営業支援システム)ツールが欲しいという希望が多く寄せられました。商談を進めていくと、それだけにとどまらず、案件管理、KPI管理、モバイル対応などもプラスしてほしい、と要求は増えていきました。
その結果、当社は本来データベースの会社であるにもかかわらず、本業でないところで競争しなくてはならなくなっていきました。
簡易SFAとなったuSonarの競合企業としては、SFAベンダーやマーケティング・オートメーション(MA)企業としてのセールスフォース(Salesforce)社、アドビ(Adobe)社、オラクル (Oracle)社などの世界的大企業でした。
当社は、競合企業との相見積もりに時間がかかったり、カスタマイズ要求が相次いだことに頭を悩ませました。カスタマイズに対応するため、開発からサービスを提供するまで2年もかかったケースもあります。また、販売のマンパワーも限られていました。
その結果、営業もエンジニアも、顧客対応で疲弊していました。
④ 転換期②:「非競」への転換
私は夏休みに山田英夫教授の『競争しない競争戦略』を読み、考えを改めました。
当社の戦略を根本から見直し、大手との直接競争を避ける「競争しない競争戦略」を採用することを決断。簡易SFA事業から撤退し、他社のSFAやMAシステムに自社のデータベースを提供する「レイヤー・マスター」に戦略転換したのです。
この決断には顧客や社内から大小さまざまな反発があったものの、結果的にはSFAやMA製品における名寄せの課題を解決し、強力な競合と戦わずにWIN-WINの関係を築くことができました。
特に、大手企業にとって名寄せや社名確認は手間のかかる作業であったため、当社のデータベースの価値が高く評価されました。また、提携したSFAベンダーが当社製品の営業もしてくれるようになりました。
当社ではこの戦略を「非競(ひきょう)」の戦略と呼んでいます。
非競とは、パートナー企業との共創を通じて両社が新たな価値を生み出すという考え方に基づいています。
結果、平均受注期間が7カ月から4カ月に短縮され、受注件数も大幅に増加。さらにカスタマイズが不要になることで、社内の工数も大幅に削減されました。これにより、当社は再び自社の強みであるデータベースに特化し、顧客からの信頼を取り戻すことができたのです。
当社はレッド・オーシャンでの戦いから再び自社のコア・コンピタンスに集中し、競争を避けながら成長を遂げているのだといえます。
ユーソナー広報追記:
「非競」についてより詳しく知りたい方は、↓こちらの記事もご参考ください。
⑤ 成長期:これからのユーソナー
「非競」後の当社は、順調な成長を続けています。
「LBC」を軸として、名刺管理ツールやクラウド型リードジェネレーション強化ツールをはじめとした、革新的なサービスを世に生み出し続けてきました。
多くの企業が業績不振に陥った2020年のコロナショック以降も、当社の勢いは衰えることなく増収増益を続けています。
2022年からはタクシーやテレビでのCM放映も開始しました。
ここに至るまでの道のりは長く、決して簡単なものではありませんでしたが、30年かけて培ってきた当社の強みである企業データベースは、どんな競合他社も参入できない唯一無二のものです。
当社は、これからも「非競」戦略をもとに、さらに大きな価値を社会に還元していけるよう、精進してまいります。
今後ともユーソナーをどうぞ宜しくお願いいたします。
※本記事は、広報担当者が代筆しています。
最後までお読みいただきありがとうございました!
ユーソナーや企業データベースについてもっと知りたいという方は、↓こちらもぜひご覧ください。
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