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エッセイのようななにか

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適当に書きなぐっています。書いてすぐ投稿しているわけではないので、情報は古い場合があります。
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#気持ちの言語化

輪ゴムを落とした

ある日、本屋でバイトをしていた。昼から夜までのフルタイム。ちょっと残業つき。 売場から撤収した本をバックルームに持ち込み、本の束をまとめようと輪ゴムを一本手に取ったときである。 あっ。 輪ゴムを一本、落とした。 その瞬間、胸の奥で何かがぷつんと切れたような気がした。いや、確かにぷつんと言った。聞こえた。すべてがどうでもよくなり、続けてえも言われぬ不思議な感覚の流体が胸から鼻腔のほうにあがってきて、溢れてしまった。出てくるというよりは、みるみる水位が上がってきて、溢れて