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妻曰く「乾燥うどんはガス会社の陰謀」
「ガス展」というイベントをご存知だろうか。日本各地で年に1回くらい行われる、ガス会社が主催するガス関係の機器を展示販売するイベントだ。でも別にガス機器を購入するために行くものではなく、ガスの明細と一緒に投函されるチラシを持って行くと、参加賞の抽選に参加することができ、当たると様々な景品がもらえるので、ほとんどの人はこれを目的にして参加しているようだ。
しかしこれ、妻に言わせるとガス会社の陰謀らしい。
ガス展への準備
ぼくの住む京都市内のガス展は、いつも大丸京都店で行われることが多い。毎年必ず参加していて、妻はしっかりものなので、ガス展が近づくと、我が家と実家、そのたもろもろのチラシを集め、万全の体制で参加する。
ガス展に行ったらすることは簡単で、すぐに抽選コーナーに行って、チラシを渡し、その数だけガラガラを回したり、スクラッチを削ったりするだけである。
必ず当たる乾燥うどん
商品はいろいろあったと思うが、基本的に当たるのは「乾燥うどん」である。いわゆる商店街の福引でティッシュが当たるくらいの勢いで、大阪ガスのガス展は乾燥うどんがよく当たる。
つまり、持って行ったチラシの数だけ乾燥うどんになるのだ。
前回行った時も、持って行ったエコバックが乾燥うどんで満タンになり、うどんが好きのぼくは嬉しく
「うどんいっぱいもらえたなあ」
と、大丸のエスカレーターを降りながら妻に話しかけたのだが、妻は、冷静な表情で返してきた。
「これは大阪ガスの陰謀や」
「え。。」
凍りついたぼくを横目に妻は続けた。
「このうどん、よお見てみ。『太麺 強腰うどん』ってかいてあるやろ。これ、何分ゆでなあかんと思う。普通のうどんと比べてまあ倍はかかるわな。ということは、そのあいだずーーーっとガスつけとかなあかんねん」
「つまりあの人らは、私らにガスをいっぱい使わないと食べられへんもんをただでくれているわけや。つまりはこれはガス会社の陰謀や」
驚きの解説に、あやうくエスカレーターの降り口でこけそうになった。
陰謀と抽選欲
なるほど、確かに『強腰うどん』はあまりスーパーで日常的に選ぶ銘柄とは言えない。ただでもらったように見せかけて、実は自分の商品を必ず使わせる、大阪ガスもなかなかの策士である。そして、それに気づく妻はなかなかのものである。
しかし、それが分かってたんなら
「そもそもなんでチラシいっぱい集めてたん」
と思ったが、怖くて聞けなかった。