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Luis Castillo放出について考える

お疲れ様です。
今回はLuis Castilloは放出の対象になり得るのかという話題について触れていきます。


トレードの噂

マリナーズはコンテンド期にありますが、現状、内野手の陣容がショートのJ.P.Crawford以外は空白で、なにかしら補強が必要な状況にあります。
それでありながら、今季3Bを主に守り、fwar1.9を稼いだJosh Rojasにノンテンダーを突きつけねばならないほど財政が困窮しており、FA市場からまともな選手の獲得はあまり考えられない状況です。
そうなると、トレードでサラリーが安いかつ少なくともJosh Rojas以上の貢献ができる選手を確保するのが筋でしょうが、そんな選手をトレードで取るとなれば対価も安くは済まないでしょう。

そんな中でトレード候補として名前が上がったのが件のLuis Castilloという訳です。

Luis Castilloの概要

Castilloは22年のトレードデッドラインでマリナーズに加入。
加入以降はフロントラインスターターとしてマリナーズ投手陣を牽引する存在になりました。

レッズ時代からイニングイートに定評があり、2018年のローテーション定着以降、2020年以外全ての年で150イニング以上をクリアしています。
また、イニング数と同じほどの三振を奪う能力もあり、通算防御率も3.56とソリッドな成績をコンスタントに残せる投手と言えるでしょう。

契約としては、27年までは22.75MM、27年に180イニングをクリアすると28年に25MMのオプションが発生するものとなっています。

トレード候補に名前が挙がった訳

上記の記事にもある通りローテーション投手を対価にしてのトレードは「プランZ」、つまり優先度としては相当に低いと明言してはいます

とはいえ、Gilbert, Kirby, Miller.Wooとの交渉は受け付けないと言い切ったのに対して、Luis Castilloに関しては他4人とは温度差は感じられます。

やはり名前が挙がるにはそれなりの理由があるのでしょう。
Castilloが放出される原因について3つほど考えましたので、書き連ねて行きます。

4シームの劣化

もともと、Luis Castilloはチェンジアップを武器に活躍していましたが、2020年から指標が悪化。
変わりにCastilloが活路を見出したのが4シーム。
もともと低めのアングルで投げていたのを生かして、VAAの考えに基づいて高めに4シームを集めたところ空振りが急増。

VAAについて

https://youtu.be/LHYvrj89lTw?si=7GERTrrfHL1oEhBm


2018年 whiff%は19%
2019年 whiff%は27.8% (翌年は37.2%)

レッズ時代ではRun Valueなどの面から見るとあまり洗練されていなかったようですが、Paul SewaldやBryan WooなどVAAを生かす投球に造詣が深いマリナーズに入団したおかげか、Run Valueも改善。

入団以降は4シームの投球割合を増やし、昨年、今年共に投球割合は40%以上と見事にスタイルチェンジを成し遂げました。


しかし、今年はその4シームに暗雲が立ち込めています。
Run Value上は昨年とほぼ同じ水準で大幅なプラスを生み出していますが、4シーム自体のスタッツは徐々に悪化しつつあります。


みずぼらしいスタッツドカ貼り

4シームへの依存度を上げたCastilloにとって、スタッツの悪化は看過できる事態ではないでしょう。
直近3年で見せた活躍が色褪せない内にトレードを行うというのは不思議ではありません。


先発市場の高騰

今季の先発市場は昨年と比べるとかなり高く取引をされているという印象を受けます。


FA契約一覧 (23は基本fWAR2以上、24は基本1以上)
データ引用元(fangraphs)

通算成績までは考慮していませんが、概して高騰していると言えるでしょう。
(相変わらず切り取り方が作為的とか言わない)

 今年キャリアハイを残したとはいえ34歳の菊池選手が3年63MM、今季のCastilloのfWAR2.3に近い選手で言えばLuis Severinoが3年67MM、Nathan Eovadiが3年75MMとなっています。
 通算成績や直近3年の成績は今挙げた3人より同等かそれ以上であることを鑑みれば、現状のLuis Castilloの残りの契約3年68.25MMは割安と言っていいでしょう。

また、トレードでの獲得ですので、交渉次第で年俸負担の割合もある程度操作でき、ミドル、スモールマーケットの球団には大枚をはたいて獲得してくれる球団も出てくるでしょう。

お金がない

概要のところで述べましたが、マリナーズはお金がありません。
cot's baseball contractsによると、マリナーズの来季のペイロールは現在140MMほどとのこと。
そして、今年の予算は現状10〜15MMほどの増額にとどまるとされており、この予算で今季のJosh Rojas程度の貢献度を見込める選手を2.3人集めるのは無理でしょう。

また、マリナーズはLuis Castilloがそうであったように、比較的若い選手のエクステンションには前向きであり、今後Logan Gilbertや、Cal Raleighとのエクステンションのための資金を確保したい思惑もあるでしょう。

そうなると、遅かれ早かれCastillo放出の話題は避けて通れない道であり、そうであるならばトレードバリューのある内に放出してしまいたいという考えは間違いなく首脳陣の中にあるでしょう。


出して大丈夫なの?

変わりの弾はある

今のところはこの3名が有力なローテーション候補だと考えます。

現状のEmerson Hancockはコントロールを得た変わりに球速を遅くした藤浪のような感じですが、全体6位指名のポテンシャルとマリナーズの育成を信じたいところです。

Morales、Garciaに関してはイニング数と同程度の三振は取れていますし、制球も著しく破綻はしていません(Moralesに関してはいい方だと思います。)
2人ともAAAに到達はしていませんが、Kirby, Miller.Wooもデビュー前はAAからの飛び級でデビューしていますし、そこは障害になり得ないでしょう。(GilbertもAAA登板は1試合のみ)

それでも不安ならChris Flexenでも取ればいいでしょう。
24年のWARは1.3とFlankie Montasと同程度ですし、それでいてスペック的にはMontasと違って人気も出ないであろうことを考えれば、デプス要因としては最適ではないでしょうか


投手陣の健康維持がキツいかも

今年のマリナーズ先発陣はBryan Woo以外は目立った離脱もなく投げ抜きましたが、来年以降もその状態を維持することができるかは疑問符がつく状態です。

Bryan Wooはもともと怪我がちな選手でもありますし
Logan Gilbertはここ4年で704イニングを投げ、Geoge Kirbyも3年で511イニングを投げぬいていますので、来季もコンテンドを目指すのであれば、この2人の蓄積疲労が顕在化するリスクは考慮せねばなりません。

そうなると、頭数を確保する上でCastilloは残しておくのは間違いではないでしょう。

さらに気がかりなのがシーズン途中でのスコットサービス解任です。
(結構冗長なので読み飛ばしてもいいです。)

https://blogs.fangraphs.com/general-managers-address-the-highs-and-lows-of-starter-innings/?s=09

上記の記事によれば、マリナーズの投手起用はイニング制限などはなく、基本的に現場に裁量権が与えられているとのことです。

結構前のことになりますが、マリナーズが2021年にプレーオフ争いに参加していたにも関わらず、当時ハイレバレッジな場面で起用されていたリリーフKendall Gravemanをアストロズに放出し、現場が混乱したという出来事がありました。

この出来事が顕著ですが、ジェリーディポトがGMに就任した後のマリナーズは現場ではなくフロントが牽引して組織を動かすといった感じであり、その後もリリーフエースPaul SewaldをTDLで放出したり、大枚(当社比)叩いたRobbie Rayをサラリーダンプのため放出するなどしていたため、ある程度投手起用に対しても口を挟んでいたものだと思い込んでいましたが、投手起用が現場に委任されていたのは驚きでした。

このように投手が切り売りされていった状態でも直近3年で、先発陣の防御率は30チーム中2番目の3.67リリーフ陣は7番目の3.50と好成績を残していたサービス監督を解任したツケが回ってくる可能性もあるかもしれません。

とはいえ、投手コーチのPete Woodworth、投手戦略コーディネーターのTrent Blankは2025シーズンも続投のようなので、杞憂に終わることを願います 。

おわりに

長々と書いてきましたが、結局のところは出しても出さなくてもいいというのが答えなのかなという風に思います。
そもそも25年シーズンまでCastilloはトレード拒否権を持っていますので、結局のところはCastillo次第です。
私個人としては出してもいいよりです。

写真(https://x.com/Mariners/status/1702103928870195646?t=TCIfxF-HWFR30OQu1J3F0g&s=19)

参考
Fangraphs(https://www.fangraphs.com/)

Baseball Reference(https://www.baseball-reference.com/)

Baseball Savant(https://baseballsavant.mlb.com/)

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