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わんちゃんがえずくけど吐かない原因って?受診が必要な状態とは?

◎獣医師執筆◎

わんちゃんは人と比べ吐きやすい動物です。なぜなら、人と違い4足歩行のため消化管が地面に対し平行になっていて重力に逆らう必要がないからです。

そんな吐きやすいわんちゃんですが、何かを吐きたそうにえずくことがあります。1日に何回も続く場合、何らかの病気のサインかもしれません。

今回はわんちゃんがえずく原因3つと、病院へ行くべき状態、さらには受診時に獣医師さんに伝えるべきポイントについて解説していきます。

「えずく」ってどんな状態?

えずくとは、地面に口を向けて「オエッ!」「ガッ!」と音を立てて何かを吐こうとする動作をいいます。つまり、吐き気を催している状態のことを指します。

ここで食べ物などを吐いてくれればわかるのですが、しきりにえずく動作をするだけで、わんちゃんが何も吐かない(または吐けない)ことがあります。

えずいているのではなく、咳の可能性も

実は、わんちゃんの咳はえずく動作と似ており、「カッ」「ガッ」という音でおこなわれます。肺・気管・心臓の疾患があるとき、よく見られます。

えずいているのか、はたまた咳をしているのか判別がつかない場合は、動画を撮ってかかりつけの先生に見せるといいでしょう。

えずくのはなぜ?考えられる2つの原因

えずく動作をしているものの吐かない、または吐けないとき、考えられる原因は主に2つあります。

【原因①】胃拡張・捻転症候群


胃拡張・捻転症候群とは、胃がねじれることにより臓器や周囲組織の血行障害をおこす病気です。ジャーマン・シェパードやグレート・デーンなどの大型犬に多く、吐きたいけど吐けないという症状を示すのが特徴です。食後すぐに運動をした場合にも起きやすいです。

胃拡張・捻転症候群は、病態が急激に悪化しやすいだけでなく、最悪の場合わんちゃんの命に危険が及ぶ恐ろしい病気です。早急な内科・外科処置が必要となります。

【原因②】誤食によるのどの詰まり


おもちゃや異物の誤食によるのどの詰まりでも、わんちゃんはえずくことがあります。えずく前にジャーキーなどのおやつを丸呑みしていた、遊んでいたおもちゃが見当たらないなどの場合は誤食をしている可能性が高いでしょう。

わんちゃんの誤食は非常に多く、異物が詰まった場合、内視鏡または外科手術による摘出が必要となります。人でも餅をのどに詰まらせて救急車で病院に緊急搬送されるように、動物も誤食によるのどの詰まりは緊急を要します

1回えずく程度の場合は様子見を

えずいていたけど1回だけでその後はケロッとしていて食欲・元気ともに問題ない場合は一旦様子を見てみましょう。ただし、病気じゃないと確定したわけではありません。またえずく症状が出ないか、気をつけて観察しましょう。

こんなときはすぐ病院へ!

もし、わんちゃんの様子が以下の3つに当てはまる場合は、様子見をせず、早めに病院へ連れていきましょう。

●何回もえずく
●食欲がない
●元気がなくぐったりしている

冒頭でも話しましたが、わんちゃんは比較的吐きやすい動物です。ところが、1日に何回もえずく動作をしている場合は正常ではない可能性があります

えずく以外に、食欲の低下がみられる場合も注意が必要です。先ほどお話した胃拡張・捻転症候群の疑いがあります。元気がなくぐったりしている場合もかなり緊急を要する状態です。すぐに病院へ連れていきましょう。

病院の先生に伝えるポイント

動物病院にわんちゃんを連れていったら、以下のことを聞かれる場合があります。診断をスムーズに行ってもらうために、あらかじめ確認しておきましょう。

  • えずくのはいつから?


まず、いつからえずく動作が見られるようになったのか聞かれます。例えば食後すぐなのか、お散歩してからなのかなど、思い当たることがあれば具体的に先生に説明しましょう。

  • 誤食歴


わんちゃんに過去におもちゃなどの異物を誤食したことがないか聞かれることがあります。いつも遊んでいるおもちゃが見当たらないなど、心当たりがあれば先生に伝えましょう。

  • 動画で様子を撮影しておくとスムーズ


一瞬だけの場合はうまく撮影できない場合もありますが、もしわんちゃんのえずいている動作に違和感をおぼえた場合は、スマートフォンで動画を撮っておきましょう。獣医師さんがスムーズに診察できるでしょう。

1回えずく程度でケロッとしているようなら、さほど問題はないかもしれません。一方で、わんちゃんが何回もえずく症状を示している場合、何らかの病気を患っている可能性があります。

えずく症状を示す病気は緊急を要する疾患ばかりです。動物病院で先生に診てもらう際に、慌ててしまってうまく説明できない飼い主様も多くいらっしゃいます。診察をスムーズにするためにも、わんちゃんを日々きちんと観察しておくことが大切です。

処置が遅れると、最悪の場合命に関わってしまうこともあるので、おかしいと思ったらすぐにかかりつけの病院に連れていきましょう。

●ライター:ゆうパパ
獣医師の資格を保有
●編集:うしすけチーム

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