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獣医師さん直伝◎簡単にできるわんちゃんのデンタルケアについて
◎獣医師執筆◎
人の口と同じように、わんちゃんの口の中にはたくさんの細菌が潜んでいます。毎日のデンタルケアは、口臭を抑えたり、歯周病を防ぐだけではなく身体の色々な臓器を細菌から守ってくれます。私たち人間にとって当たり前のデンタルケアをわんちゃんにとっても当たり前のものにしていきたいですよね。今回の記事では、ぜひ毎日の習慣にしていただきたい簡単デンタルケアの方法について紹介いたします!
まずは基本の歯磨きを練習してみよう!
デンタルケアとして最も効果的なのは、歯磨きです!私たちも、毎日していますよね。一方でわんちゃんは歯磨きに対して抵抗を抱くことが多く、習慣化するのが難しいとも言われています。
しかし、きちんとステップを踏んでいくことで、抵抗感をなくすことができます!ぜひ以下の手順で、歯磨きを習得できるよう実践してみてください◎
①お口を触ろう
まずはわんちゃんのお口を触るところから始めましょう。始めはお口の周りを触っていき、慣れてきたら歯や歯肉を触っていきます。触らせてくれたら沢山褒めてあげましょう。
②歯磨きジェルを舐めてみよう
わんちゃん用の歯磨きジェルを指にとってわんちゃんの歯や歯肉に塗ってみましょう。歯磨きジェルにはチキン味やビーフ味など、わんちゃんの好む美味しい味がついているものがあります。わんちゃんが好きな味を探してみましょう。
③ガーゼや歯磨きシートを使って歯を磨いてみましょう
抵抗なく指で触れるようになったら指にガーゼや歯磨きシートを巻いて優しく歯や歯肉を撫でます。強くこすって血が出てしまわないように注意をしましょう。
④歯ブラシを使った歯磨きにチャレンジしよう!
いよいよ歯ブラシを使って歯磨きをしてみましょう。わんちゃんの歯ブラシには色々なサイズがありますので、わんちゃんにあったものを使いましょう。最初のうちはすべての歯ができなくても大丈夫です。褒めながら行うことで徐々にできるようにしましょう。
デンタルケアの仕方は色々ある!
歯石や歯垢がつかないようにしたり歯周病を予防するという点では、歯ブラシでの歯磨きが最も効率的な方法です。しかし、歯ブラシに抵抗のあるわんちゃんはとても多く、挫折してしまう飼い主様も少なくありません。
そんな方に朗報です!近年のデンタルケアには、歯磨きの他にもデンタルガムや液体のデンタルケアなどさまざまな方法があるんです!無理に歯磨きだけをしようとせず、毎日の生活に組み入れられることから楽しく行っていきましょう。
●デンタルガムを使ってみよう!
わんちゃんが抵抗なく“ご褒美感覚”で始められるデンタルケアの方法の一つです。デンタルガムはわんちゃんのサイズに合わせて1日1本食べさせてあげましょう。最初は、ゆっくり噛みながら食べられているかを観察します。噛まずに飲み込んでしまう場合や、口の片側のみを使って噛んでいる場合は、飼い主様が手に持って両側で噛むことができるように補助すると良いでしょう!
ひと昔前までは、デンタルケアと名乗った単なる“おやつ”も多かったようです。しかし最近のデンタルガム製品の中には、成分がかなり工夫されていているものも増えてきました!ちなみに筆者が勤務している病院では、VOHC認定商品と書かれた商品の活用をオススメしています◎VOHCとは米国獣医口腔衛生協議会の略称で、アメリカの獣医歯科医師、歯科学研究者で構成された犬猫用のオーラルケア製品の効果を第三者の立場で審査する機関です。デンタルガムを選ぶ際に、ぜひとも参考にしてみてくださいね!
●液体のデンタルケアも有効!
実は、いつもの飲み水に加えるだけでケアができる液体のデンタルケア商品もあります。効果は限定的なので、他のデンタルケアと合わせて行うことがオススメです。
においに敏感な子は、水の中のかすかな匂いを感じ取り飲まなくなってしまう子もいますので、わんちゃんがちゃんと飲めているか確認しながら与えてみましょう。手軽で挑戦しやすいので、ぜひ試してみてくださいね◎
アキレス腱や豚の耳には注意して!
わんちゃんの歯を綺麗にするために、アキレス腱や豚の耳など強力な硬さのあるおやつを与えることは、危険が伴うため注意が必要です。わんちゃんの歯は人のように噛み砕く事に特化しておらず、食べ物を切り裂くようにできているため、切り裂けないほど硬いものを無理に噛もうとすると歯が折れてしまうことがあります。
歯が折れてしまった場合、神経や血管が表に出でしまい、痛みが生じるだけでなく感染症のリスクもあります…。そのため、デンタルケアとしてあまりにも硬いものは与えないように注意しましょう。
キッチンバサミで切れる程度の硬さのおやつは、わんちゃんの歯を傷つけず、むしろ歯石取りに有効とされています◎わんちゃんのお口の大きさに合うようカットしながら与えてあげるといいでしょう。
デンタルケアを習慣化して健康を守ろう
わんちゃんが歯磨きに慣れるのには、ある程度時間がかかります。しかし、いったん慣れてしまえば抵抗なく歯磨きをさせてくれることが多いです。歯磨きはパピーの頃から練習することが肝心と言われていすが、実際は何歳からでも始められる習慣です!焦らず少しずつ、歯磨きの練習をしてみましょう。
わんちゃんの歯周病は歯だけの問題ではなく、心臓や腎臓、肺に細菌がめぐりさまざまな病気になる可能性もあります。デンタルケアを毎日の習慣にして、わんちゃんの健康を守ってあげましょう。
●ライター:いぬかい ゆうみ
獣医師の資格を保有
●編集:うしすけチーム