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どうしたらいい…?わんちゃんがうっかりネギを食べてしまったら

◎獣医師執筆◎

人にとっては健康に良いとされるネギ。しかし、ネギがわんちゃんにとって危険な食べ物であることは、多くの飼い主様が知っての通りです。

わんちゃんがネギを食べてしまったらどうなってしまうの?
どうしてわんちゃんの体に悪いの?
もし食べてしまったらどうしたらいい?

今回はわんちゃんがネギを食べてはいけない理由と、万が一食べてしまった時の対処法をご説明いたします。

わんちゃんはなぜネギを食べてはいけない?

なぜネギはわんちゃんにとって危険なのでしょうか?それは、ネギの中に含まれるアリルプロピルジスルファイドという成分が原因です。

アリルプロピルジスルファイドはわんちゃんの赤血球のヘモグロビンを酸化させてしまうことで赤血球を破壊してしまいます。赤血球が破壊されると貧血や、血尿などの症状がみられます。その他にもフラつき、嘔吐、口の中や耳の中の色が白っぽくなる、などの変化がみられます。

よく覚えていただきたいのは、このような症状が誤食してすぐには現れにくい場合があるということ。個体差がありますが、貧血などの症状は24〜48時間後に起こってくることも多いです。誤食をしてしまった後、数時間様子を見て「いつもと様子も変わらないし大丈夫そうだな」と思っていると取り返しのつかないことになる可能性があります。くれぐれもご注意ください。

どのくらい食べると危険?

わんちゃんにとって危険なネギ。どのくらい摂取すると危険なのでしょうか?参考程度にしていただきたいのですが、中毒になってしまう量は、わんちゃんの体重1kgあたり5~10gとされています。しかしネギ中毒には個体差が大きく、これより少ない量だから大丈夫とは言えません

また、アリルプロピルジスルファイドは熱によって変性をすることがないため、ネギの入っていた鍋の汁やスープなどにも成分が溶け出します。そのため、ネギそのものを食べなくても中毒になってしまう可能性があります。

ネギだけじゃない!ネギ類には注意が必要

ネギや玉ねぎが食べさせていけないものとしてよく認識をされていますが、ネギ類は全て同じように中毒症状を起こす可能性があるとされています。ネギ類の中にはネギ・玉ねぎの他にニラニンニク生姜なども含まれます。うっかり与えてしまわないように注意をしましょう。

もしネギを食べてしまった場合はどうしたらいい?

万が一ネギを食べてしまった場合、まずはじめに食べた量と時間を確認した上で動物病院に連絡をします。食べてからあまり時間が経っていない場合、吐かせることができるかもしれません。食べたことがわかった時点で、真っ先に動物病院へ連絡をしましょう。

吐かせるときは、病院でお薬を使う必要があります。ネット上では吐かせる方法としてオキシドールを使ったり、食塩を使う方法が記載されていますが、どちらもわんちゃんに負担をかける方法なので、自己判断で行わずに動物病院へ相談をしましょう。

また、ネギを食べてから時間が経つと、わんちゃんは溶血性貧血という種類の貧血を起こしてしまうかもしれません。

【溶血性貧血とは】
溶血とは、赤血球が破壊された状態のことを言います。本来、肺から得た酸素を、赤血球が身体ぜんたいの細胞に運んでいるのですが…その役割を担っている赤血球が破壊されることで、酸素がうまく運ばれず、酸欠状態となってしまいます。

【主な症状】
●呼吸困難
●ぐったりしている
●食欲不振
●口内の粘膜が白っぽい
●おしっこが赤茶色(色が濃い) など…

アリルプロピルジスルファイドにより赤血球が壊されても、その後に赤血球が産生されれば貧血の数値は回復します。症状が軽度であれば、対処療法を行いながら様子を見ることとなります。もし重度の場合は命に関わることもあるため、場合によっては入院をして輸血が必要となることもあります。

うっかりネギ類を食べないように注意しよう

誤食をしてしまい動物病院にいらっしゃる患者さんのほとんどは「少し目を離した隙に食べられてしまった…」という場合が多いです。わんちゃんは、目を離したほんの一瞬でイタズラをしてしまいます。命を守るためにも、わんちゃんの届く範囲に人の食べるものを置かないようにしましょう。

飼い主様が食事をしているとわんちゃんが欲しがっておねだりをするので一口だけあげている…というご家庭も要注意。私たちが口にしている既製品には少量のネギ類が含まれていて、気付かずネギ中毒になっていることもあります。野菜ジュースや調味料の一部など、すぐにはネギ類とイメージが結びつかないようなものでも中毒になる可能性がありますので十分に注意が必要です。

わんちゃんが安全に過ごせるよう、飼い主様がきちんと気をつけてあげましょう。それが、お互いの幸せにつながります。

●ライター:いぬかい ゆうみ
獣医師の資格を保有
●編集:うしすけチーム

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