![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/172523019/rectangle_large_type_2_742a09f38a9aa4f9221844f809c03070.png?width=1200)
【ほぼ無料】アメリカで産んでも子どもの米国籍はもらえない?「出生地主義」廃止へ。現地報道と私見
こんにちは、うしさんです。
普段はミシガンのローカル情報やらアメリカ生活のことやら、noteでは読書メモも書き殴っています。
今回は、普段話さないことを書いてみようと思います。
この記事はほとんど無料で読めます。
最後のわたし個人の意見のみ、有料部分としています。
2025年1月、トランプ大統領が第47代アメリカ合衆国大統領に就任しました。
就任直後から数多の大統領令に署名し、ニュースで連日話題となっています。
中でもこちらの報道で大きく取り上げられているのが、「出生地主義」(birthright citizenship)の廃止の大統領令です。
わたしは駐在員のだんなうしに帯同し、2023年にアメリカで出産したので、息子こうしくんはこの「出生地主義」の考え方のもと、米国籍を取得しています。(日本国籍は「保留」状態)
今回の出生地主義の廃止は、非合法な移民はもちろん、親が合法的な一時滞在ビザでアメリカに滞在している場合も、生まれた子どもは米国籍を取得することができなくなることを意味します。
この大統領令が執行された場合、2025年2月19日以降に生まれた子どもが生得権として米国籍を取得できるのは、父母のどちらかが米国籍または永住権(LPRステータス、グリーンカード)を保持している場合に限られます。(*6)
駐在員の多くは「一時滞在ビザ」でアメリカに住んでいるので、わたしのようなケースで生まれた子どもはアメリカ国籍が取得できなくなります。
2025年1月30日現在、「『出生地主義廃止』の大統領令は、合衆国憲法に反している」として、22の州が訴えを起こし、ワシントン裁判所が1月23日から14日間の執行停止を決定しています。
(*1)
トランプ政権はこの決定に控訴し、最終的には最高裁判所で争われることが予想されています。
この一連の報道に際して、思うことがいろいろあったのでまとめてみることにしました。
状況は変化しているので、最新の正確な情報を知りたい方は政府機関の発表や他報道サイトを確認してください。
1. 出生地主義とは
出生による国籍の取得に関して、父母の国籍を問わず、子の出生地の国籍を与えるという主義。生地主義。
出生地主義(しゅっしょうちしゅぎ)を採用している国(アメリカ、カナダ、パキスタンなど)では、父母の国籍を問わず、その国で生まれたこどもはその国の国籍を与えられます。
過去にさかのぼると、イギリスやオーストラリアなどでも1980年代までは出生地主義をとっていたようです。(*3)
これに対し、日本は「血統主義」(けっとうしゅぎ)。
父母のどちらかが日本国籍を持つ場合、出生地に関わらず日本国籍が与えられます。
2. どう「違憲」なのか
『出生地主義廃止』の大統領令は、裁判所より合衆国憲法修正第14条(the Fourteenth Amendment to the Constitution)に反するとされています。
修正第14条の始まりの部分です。
“All persons born or naturalized in the United States, and subject to the jurisdiction thereof, are citizens of the United States and of the State wherein they reside. No State shall make or enforce any law which shall abridge the privileges or immunities of citizens of the United States; nor shall any State deprive any person of life, liberty, or property, without due process of law; nor deny to any person within its jurisdiction the equal protection of the laws.”
(拙訳)
米国で生まれたまたは帰化した者、かつ米国の管轄下にある者は米国および居住する州の市民である。いかなる州も米国市民としての特権と免除を制限すること、および法の権限によらずに人の生命、自由、財産を奪うこと、および米国の司法権の及ぶ者の法の下の平等な庇護を否定することを定めた法律を制定すること、施行することはできない。
条文の一文目の"subject to the jurisdiction thereof" の部分について、トランプ政権は「米国市民でない者は該当しない」として、父母が合法的な移民でも滞在ビザの場合はこの修正第14条の対象にならない、としています。
(引用部は「米国の管轄下にある者」と訳しましたが、日本語でも表現が難しい部分だと思います)
しかしCNNによると、例外を除き「米国の管轄下にある者」とは「物理的にアメリカ合衆国に居る者全て」を指すと考えられており、この考え方を追認する多くの最高裁判決があるとのことです。
ちなみにここでの例外は、外国の外交官の子どもです。(*4)
これまでの判決、憲法解釈からすると、「米国内にいる全ての人」は「米国の管轄下にある」とされるので、米国内で生まれた子どもには米国籍が与えられることになります。
今回の大統領令は、大統領権限で「米国の管轄下にある者」の解釈を変更し、生得市民権を与える範囲を限定することになります。
大統領は誰に米国市民権を与えるべきか、与えないべきかを決定する権限は持っていないとし、合衆国憲法修正第14条に反するというのが、今回訴えを起こした22州の主張です。(*5)
3. 賛成派、反対派の意見
ここからは、この「出生地主義の廃止」に対する賛成、反対の意見です。
テレビで見たり、参考にした記事についていたコメントから、簡単にまとめてみました。
出生地主義廃止に賛成の意見
「アメリカ国民の税金で、非合法移民の社会サービスが賄われているなんて受け入れられない」
「非合法移民の子どもにアメリカ国籍が与えられるのはおかしい」
「アメリカ国籍を取得するためだけに、一時滞在ビザで出産だけしに来るのはおかしい」
こんな意見がよく見られます。
出生地主義廃止に反対の意見
「Birthright Citizenshipは憲法に明記されており、アメリカの国としての根本的な考え方を揺るがす」
「これまでの大統領で、憲法に反する大統領令を発行したものなどいない」
「いまのアメリカ国民も、世代をさかのぼれば多くの人は移民なのに」
反対派の意見はこんな感じでした。
4. 私見
ここからは、この報道に際してのわたし個人の意見を書いていきます。
かなりセンシティブな内容なので、有料記事とさせていただきます。
以下の事項を遵守し、ご理解いただける方のみ、ご購入をお願いいたします。
・有料部分の引用はお断りさせていただきます。
・あくまで個人の意見です。
・正確な情報を知りたい方は、政府機関や他報道サイト等をご参照ください。
・この記事は読み手に何か特定の行動をとるよう促すものではありません。
・いろんなご意見があると思います。ですがコメント欄や他SNSでこの記事を引用、暗示しての誹謗中傷にあたる発言はお控えください。
・情報は執筆時の最新情報を参照することを心がけていますが、事態は流動的であることにご留意ください。
【ここまでの参考文献】
*1 Judge temporarily blocks Trump's birthright citizenship executive order, CBS News, updated on 2025/01/23, seen on 2025/01/24)
*2 出生地主義 , weblio辞書 (seen on 2025/01/30)
*3 Droit du sol , Wikipedia (seen on 2025/01/30)
*4 What the 14th Amendment says about birthright citizenship, CNN (updated on 2025/01/22, seen on 2025/01/30)
*5 What to know about the legal battle over Trump’s attempt to end birthright citizenship, PBS News (updated on 2025/01/24, seen on 2025/01/31)
*6 President Trump Issues Executive Order Limiting Birthright Citizenship, Ogletree Deakins (updated on 2025/01/21, seen on 2025/01/31)
ここから先は
¥ 300
応援いただけるとうれしいです🐮🤍 いただいたチップは使いみちをシェアさせていただきます〜