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おかん、ドラクエを始める

パズルゲームのランカーだったりするおかん。
その熱量があるなら長編もいけるのでは? と思い、コンシューマーゲームを紹介してみることにした。

幾多の動物を飼ってきた獣使いのおかんに『人喰いの大鷲トリコ』を薦めたら、「ハイエナみたいでグロい」とのこと。
「それでいい。一緒に苦難を乗り越えていくことによって愛情が芽生える、それこそがこのゲームの真骨頂なんだ」とオレのプレゼンテーションも熱を帯びたが、結局「グロい」の一点張りで却下となった。

このまま引き下がることはできない。

ならば……とゴリゴリの理系であるおかんに『ドラゴンクエストV 天空の花嫁』を推してみる。
「全ては計算だ。体力、魔力、攻撃、防御、その一切を数字で管理する。自らの方程式で状況を打開せよ」と力説したところ、「おもしろそう」と腰を上げた──否、剣を取った。

ドラクエは国民的RPG。憂いなしだった。

ところが、だ。
おかんは頭を抱えている。
ホイミが覚えられずに悪戦苦闘している。

主人公はホイミを覚えているのだが、おかんがホイミを覚えられないのだ。

魔法の概念がない。
彼女にとってそこはまさしく異世界なのであった。
強き心は、時を超えることができるだろうか──。

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