【ボイトレ】「うたうこと」について読み解いてみた Part 1【前段:本についての説明】
本ブログは以下の2冊について取り扱い、私の理解をシェアするものです。
・1冊目
フレデリック・フースラー、イヴォンヌ・ロッド・マーリング著
須永義雄、大熊文子訳
『うたうこと 発声器官の肉体的特質 歌声のひみつを解くかぎ』
・2冊目
移川澄也著
『Singing/Singen/うたうこと F・フースラーは「歌声」を’どの様に’書いているか』
本日は前段としてこの2冊の本について簡単に説明します。
見たことない方にもどのような本なのか、概要を理解していただくためです。
ズバリ本の内容について触れるのは次回以降とします。
1冊目は邦訳本です。
1965年に出版された英語版『Singing』、その後に加筆修正が加えられて同年に出版されたドイツ語版『Singen』、このドイツ語版の邦訳です。
英語版とドイツ語版、両方が原著と呼ばれます。
この邦訳の初版は1987年、2024年の現在から遡って37年前の本です。
2冊目は上記の英語版、ドイツ語版、邦訳版の3冊を資料として書かれた本で、これらの本の内容、解釈について深掘りして解説している本です。
原著の表現を元として著者が読み取った「フースラーが原著で言おうとしていること」と「訳者が解釈した邦訳の内容」の違いについて触れています。
こちらの初版は2018年、こちらは6年前と比較的最近の本となります。
本のタイトルをいちいち読み上げていては長ったらしくなってしまいますので、以降は分かりやすくするため以下の書き方で統一していきたいと思います。
・『Singing The physical nature of the vocal organ. A guide to the Unlocking of the Singing Voice.』
→英語版
・『Singen Die physische Natur des Stimmorgans. Anleitung zur Ausbildung Der Singstimme』
→ドイツ語版
・『うたうこと 発声器官の肉体的特質 歌声のひみつを解くかぎ』
→邦訳版
・『Singing/Singen/うたうこと F・フースラーは「歌声」を’どの様に’書いているか』
→解説版
本の内容としては声、歌について取り扱っており、その訓練について触れている内容ではありますが、「パッと読んでわかる!歌が上手くなる簡単な方法!」という感覚で読める本ではなく、ふわっと「歌上手くなりたいなー」と思って手に取った方はおそらく「????」となることでしょう。
しかし、解説版によると
とあります。
つまりはこの本には具体的な訓練方法が書いてあるということですね。
この続きを含めてここに引用してしまうと、非常に長くなる+結局わかりやすくない!となってしまうので、私の理解であえて3点で簡単に表現します。
(本ブログは語弊を恐れずこのようにガンガンやっていきたいと思います…。)
①一目でわかるようには書かれていないが、訓練をする上でのヒントは随所ににあり、読み手が実践を通じて訓練方法を見出す。
②訓練方法よりもその背後にある’法則となるもの’を教えてもらう方がよい、この本にはそれが書いてある。
③日本声楽発声学会40年史の王武雄氏の「F・フースラーの弟子として」でフースラー自身が「この本の内容に沿ってレッスンをしている」と記載されているので、間違いなく訓練方法が記載された’実践の書’だ。
要約:この本は理論が述べられているものではなく、訓練方法を伝えてくれる本である。
私の意見としては、たとえ訓練方法を教えてくれていても、「初心者の方が本の内容を理解するだけで自分一人で訓練できるか」と聞かれるとそれは難しいと考えます。
一人で本を読んでいたとして、本に書かれた内容から実際の音を想像して発声することが難しかったり、たとえ声を出したとしてもそれが果たして書かれた内容に沿ったものであるか、それは自分の想像の域を出ませんし、適切な第三者と訓練を進めることが近道となると思います。
しかし、初心者の方でも本の内容を理解していくことで訓練上の理解の助けになることは間違いありませんし、発声を教える立場の方、ボイストレーナーの方にも有益な内容となると考えていますので、お付き合い頂けますと幸いです。
次回からは本の内容について触れていきたいと思いますので、よろしくお願い致します。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?