鋏できつてしまつた / 川上日車 【著作権のおわった柳人の句をよもう!】
さあ、まずはみなさんご一緒に。せーの、
「「「「「なにをや!!!!!」」」」」
はい。分からない。まじで分からないのです。これが日車さん…。
これで一句が完結してるって、信じられる?
このなんとも言えない語りのテンション。
ついカッとなって、切ってはいけないものを切ってしまったのでしょうか…。
その上で、なんかもう既にどこか開き直っているようにも見える。それとも、もはやただただ茫然自失してしまっているのか…?
いずれにしても、泣いている気配も慌てている気配もない。悔いているわけでもなさそう。
語り手の語りからは感情が読み取れず、ただ行為が完了形(あるいは過去形)で語られているのみ。
まあ一応、「きつた」ではなく、“きつてしまつた”ではあるけれど…。でもどちらにしても、感情はあんまり見えてきません。
あと、これが包丁とか刀とか斧とか鎌とか…ではなく“鋏(はさみ)”であるところもニクい。
それこそ刀ならもう一大事確定ですが、“鋏”であることによって、なにか「鋏くらいなら一応、大丈夫かもしれない…」みたいなことも思えるからこそ、余計に「何がどう切られたのか」の想像の余地が無限に拡がっていく…。
そこにも、他の刃物と比較したときの、“鋏”ならではの軽みがあります。川柳たるゆえん。
ああ日車さん、あなた一体全体、なにを切ってしまわれたのですか…。
大切なものだったのですか?あなたや、僕にとって。
一応、句の音を無理矢理分節するなら、4-7なのかも知れないけど、それよりも一気にグサリと11音として刺される感じ。
やってしまったことへの深刻さが伝わりきらない不気味さ。