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要するに大どんぐりに小どんぐり / 井上剣花坊 【著作権のおわった柳人の句をよもう!】

要するに大どんぐりに小どんぐり

井上剣花坊(1870-1934)

“要するに”と言ってるくせに、十音で済んでいるはずの諺「どんぐりの背(せい)くらべ」を、むしろ十七音に増やしてしまっているところがまず面白い。
“要するに”を抜いたって十二音だ。

ただ、「どんぐりの背くらべ」という諺は、じつは会話などの中で、それ単体でどーんと現れることはないような気がする。

「結局、あの二人ってどんぐりの背くらべだよね」とか「どうせあいつら、どんぐりの背くらべじゃん」…みたいな感じで言われることが多い印象。

対して、

“要するに大どんぐりに小どんぐり”

は、これをこのままの状態で相手にぶつける(!)ことが可能である。

まあ、「要するにどんぐりの背くらべ」も、言えないことはないが、弱い。それにやっぱりこの場合も、語尾に「じゃん。」とか「だよ」とか「ってことでしょ?」みたいな、断定の助動詞や終助詞が必要になる気がする。(一応、モノローグなら無くても自然だけど)

それにくらべてこの

“要するに大どんぐりに小どんぐり”

のなんと堂々たること!!
現実生活で、仁王立ちしながらこのまま言い捨ててやりたい句、まちがいなく上位入選。

とりあえず相手の言い分(陰口にしろ言い訳にしろ)を聞いた上で、こちらのターンが回ってきた瞬間に、この十七音を言ってしまいたい!


もちろんそんなことをしたら、次に陰口の標的になるのは間違いなく自分であろうが、こんなに気持ちのいい5-7-5を堂々と言い切っていいなら、陰口くらいその後でなんぼでも言わせとけばいい

…なんて、思えないところが小心者の自分なのだが、、、

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