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Bluetooth開発を担当するソフトウェア2課のエンジニアに話をききました

組み込み設計から完成品開発までこなすモノづくり企業ユー・エス・イー(USE Inc.)。エンジニアにインタビューし、エンジニアの魅力や、エンジニアとしての仕事の流儀、今後の展望などをお届けします。


オーディオ関連の開発を長く手がけてきたUSE Inc.が今取り組むのは、Bluetooth開発。Bluetooth開発を担当するソフトウェア開発2課に在籍するエンジニア二名にお話をききました。

K.S.
エンジニア歴20年
USE歴20年

Y.T.
エンジニア歴4.5年
USE歴2.5年

Bluetooth以外にも幅広い開発歴を持つエンジニア

―それぞれエンジニア歴とUSE歴を教えていただけますか?

Y.T.:私はエンジニア歴4.5年、USE歴は現在2.5年です。前職は医療専門の検査機器メーカーのエンジニアでした。機器のテストがメイン業務になってしまっていたので、エンジニアとして幅を広げるために転職しました。

転職活動の際には、「実際に開発業務に携われる」「自分自身が愛着を持って開発できるような身近なものを開発している」という2点を軸にしていて、双方満たせそうなUSE Inc.に入社しました。

K.S.:私はエンジニア歴・USE歴共に20年で、昨年末には勤続20年で表彰されました。もともと工学系大学出身で、大学3年の時エンジニアとしての方向性を考えるためにインターンシップに参加してみることにしました。組み込み開発という言葉に惹かれUSE Inc.のインターンシップに参加した中で、初めて組み込み開発に触れました。2週間ほどの間にCDのTOC情報(※1)を読み込んで音楽CDかデータCDかを判別する処理について教えていただいたのを覚えています。

就活の際には何社か面接も受けたのですが、組み込み開発を専門している企業は数少ないこともわかりUSE Inc.に入社を決めました
※1:テーブル・オブ・コンテンツの略。ディスクの内容に関する情報が書き込まれている。

―K.S.さんは生え抜きのUSEエンジニアなのですね。入社してからどんな開発をしてきたのか教えていただけますか?

K.S.:入社した当時は、USE Inc.は国内オーディオメーカーの車載アフターオーディオをメインに開発していたので、まずはそこから関わりました。毎年新モデルが出ていた時期で、新しい機能が加わったり、機構が変わったり……、CDチェンジャーやMD機能も今思い出すととても懐かしいです。

その後、客先常駐という形でメーカー純正カーオーディオの開発やデジタルラジオ、車のメーター開発も経験しました。今はまた本社に戻り、国内オーディオメーカーのBluetoothイヤホンやヘッドホン開発と、国内玩具メーカーのおもちゃ開発、国内教材メーカーの教具開発に携わっています。Bluetooth関連の開発に携わるようになったのは本社に戻ってきてからで、ここ3~4年のことです。

―Y.T.さん、入社後の開発歴を教えてください。

Y.T.:私はまず国内玩具メーカーのおもちゃ開発に途中参加しました。半年くらい先輩のお手伝いをしながら流れを把握して、その後若手メンバーでそのプロジェクトを引き継ぐことになり、PL(プロジェクトリーダー)を担当することになりました。

―入社半年でPLをされたのですか?

Y.T.:そうなんですよ。プロジェクトを引き継ぐことになったメンバーが2021年4月入社で、私が同年1月入社だったことと、前職でエンジニア経験があったからという流れだったと思います。実際は先輩であるK.S.さんや上司にかなりフォローしていただきました。

その後は、国内オーディオメーカーのイヤホン関連のバグの洗い出しなどに少し携わってから、今のBluetoothスピーカー開発 ですね。要件定義から設計の中間のようなことをやっています。


 Bluetooth開発といっても、実開発やコンサル業務など経験によって異なる担当業務

―お二人とも国内オーディオメーカーの開発に携わっているとのことですが、部署の皆さんで同じものを開発されているのでしょうか?

Y.T.:今このメーカーさんの開発に携わっているのは私を含め4名で、K.S.さん含め3名はBluetoothイヤホン、私だけBluetoothスピーカーの開発をしています。

―Y.T.さんお1人での担当なんですね。

Y.T.:もともと別の人も一緒にアサインされていたのですが、社内の事情で減員となり 、結局私が一人でやることになりました。先ほどのPL業務と同じように上司には知識面でサポートしていただいていますが、実働部隊は私一人になりますね。

―実際どんな風に業務を進めているのでしょうか?

Y.T.:今回の開発製品はスマホなどとの新たな連携機能も多い、従来とは少し違った位置づけのものです。まずは先行製品を調べるところから始めますが、参考にできる部分が非常に少なく苦労しています。ただ、全く同じ機能はほぼありませんが、先行製品にもデータの処理方法など参考にできる部分があるので、集めた情報をもとに処理過程で矛盾が起きないかを自分で考えます。

また先行商品の情報を持っている他機器の担当の方にどんなリスクが考えられるかを確認するといったコミュニケーションも必要になります。最初は不安もありましたが、今は良いコミュニケーションの形がとれるようになっていて、客先でもだいぶ顔と名前を憶えていただいている状態になりました。

―お一人で業務を進めているということは、もともとBluetoothの知識は豊富だったのですか?

Y.T.:いえ、エンジニアとしての開発知識は全くなかったですね。もちろんイヤホンなど製品としては使っていましたが、音楽の通信経路とスマホ操作を反映する通信経路のプロファイルが違う事も、開発を始めてから知ったくらいです。知識がある状態でBluetooth製品のパッケージを見ると、そういったプロファイル情報もきちんと書いてあることがわかりますね。先輩方に教えていただいたり、開発中に疑問に思った点やつまずいた点を調べたりして実践の中で知識をつけていっています。

―これまでベテランエンジニアにインタビューしてきた中でも、皆さん実践の中で知識を付けていったとおっしゃっていました。Y.T.さんは客先に行っている回数も他の方より多いですよね。

Y.T.:そうですね、私の場合は客先の方がやりやすい仕事もあり今は週2回、忙しい時はそれ以上行っています。他機器担当の方とは直接話した方が早いですし、バグの様子を実際に見せながら説明した方が伝わりやすいといったこともあります。通信環境が同じ方が再現性もあるんですよね。このメーカーさんの開発は今後も続くので、行ったり来たりの状況がこれから先も続くと思います。

―K.S.さんは今担当している開発も多いですが、メインはBluetooth関連の開発なのでしょうか?

K.S.:そうですね、基本的にはソフトウェア の実開発が多いのですが、最近始まった業務で『開発のテクニカルサポート』というのがあります。

USE Inc.がBluetoothモジュールのチップベンダーとパートナーシップ契約をしていることと、Bluetoothの製品開発実績があることから新しく始まった業務です。独自技術を元にオーディオ機器ブランドを立ち上げたスタートアップ企業からチップベンダー経由で依頼がありました。

テクニカルサポート契約というのはUSE Inc.にとっても初めての業務でしたが、サポートした製品がBluetooth接続のヘッドホンなので、USE Inc.としても社内ノウハウや強みを活かせる業務でしたね。自分自身にとっても、自分の知識や経験の振り返りが出来ました。

―具体的にどのようなサポートをしたのでしょうか?

K.S.:主に製品仕様作成と不具合解析です。製品仕様作成では、メーカーさんの「こういった特徴を持った製品を作る」という目的に対して、希望の製品が実現できる仕様書作成のお手伝いをしました。仕様書の大項目をUSE Inc.で作成して、詳細はメーカーさんで記載するという流れだったのですが、これまで業務上で使用してきた仕様書の構成を思い出したり、どの様な記載内容だと開発者が確認する際分かりやすいかを考えたりしながら作成しました。

不具合解析では、先方で開発したものが意図通りに動かない箇所やその原因をUSE Inc.で分析し、再度先方で修正。最終的に想定していた製品の機能が実現できているかを確認したという感じです。

今回の業務が好評だったこともありテクニカルサポートの継続受注が決まりました。こういった実績・経験を活かした開発サポート業務は今後増えていくような気がします。

開発業務に以外に社内で取り組むプロジェクト

―お二人とも課の開発以外に、社内の活動も参加されていますよね。Y.T.さんは昨年社内のR&Dに参加していたと聞きました。

Y.T.:はい、USE開発のBLEモジュールの販促アイテムとしてBLEインカムを作りました。二輪用インカムとして開発しましたが、仕様上バイクでの使用は難しいことが途中でわかるなどかなり難航しましたね。失敗も多かったんですが、モノづくりに1から関われたことは良い経験になったと思っています。同じエンジニアといってもPCに向かって行う開発と、はんだ付けやオシロスコープでの波形観測など実際に手を使ってモノを作っていく開発 では全く違うこともわかりましたし、難しいからこその面白さも実感することができました。

私はバイクが趣味でバイク関連製品の開発も希望しているので、今回学んだことを糧にバイク用インカムなど開発してみたいですね。正直バイク関連の開発であれば、今あるものを作り直すでも、ないものを生み出すでも何でも良いから関わってみたいと思っています。

―K.S.さんは前回に引き続き、CMMI(※2) Level3の公式アプレイザル(更新)を主導されると聞いております。

K.S.:はい、そうです。前回2022年のアプレイザル時に指摘されて作った資料や帳票も多いのですが、それらを使用している背景や目的を知っている人が主導する方がスムーズなんですよね。そこは前回弱い部分でもあったので、反省を活かすという意味でも前回も関わった私が主導で行うことになりました。今回もLevel3の更新なので、前回よりプロジェクト改善と売上の関係を見える化して、関係者全員で認識するという点は進めようと考えています。そのためにも管理職全体でCMMIに対する理解を深めたいので、今まで実施していなかった外部講習参加も取り入れる予定です。

今USE Inc.が持っているCMMI Level3とは会社としてプロジェクト管理ができているということを第三者機関から認証されている状態です。国際的な認証機関のためCMMI認証を取得していることで中国工場との契約の際に話が早く進む、問合せが来るなどのメリットも大きく、USE Inc.としてCMMIは重視しています。2025年にスムーズに更新できるよう準備していきたいです。

※2 企業におけるプロジェクトマネジメント能力を一定の基準で評価するための指標。プロセス成熟度をレベル1~5の5段階で評価する。Capability Maturity Model Integrationの略。

若手エンジニアと20年のキャリアエンジニア、それぞれの未来

―最後にお二人の今後の展望をお聞きできますか?

Y.T.:ソフトウェア2課としてLEオーディオ(※3)に力を入れていくという方針があるので、自分の趣味であるバイク関連製品にもこのLEオーディオを活用できないかなと考えています。無線通信に強いエンジニアになりたいと考えていて、今はBluetooth関連の開発をしているので、BLEやLEオーディオの開発も経験したいです。
※3  Bluetooth LEを使用した従来とは異なる形で音声伝送を行う規格で、低電力で高品質なオーディオ再生を実現する。

―無線に興味があるのですね。

Y.T.:そうです。無線通信はなぜか魅力的なんですよね。世代的にもいろいろなものが有線から無線に変わっていくタイミングで、「これも無線で使えるようになったのか!」と思うことが多かったせいかもしれません。その上で実際に開発してみて面白いと感じていますし、無線通信を使って趣味をもっと楽しんだり、今はまだない便利なものが作れるんじゃないかと思っています。

K.S.:20年前入社当時はオーディオ開発やおもちゃ開発に興味があってエンジニアになったのですが、USE Inc.に在籍する中でその希望を叶えることができました。今後はエンジニアとしての開発業務に加えて開発する人をサポートすることにも興味が向いています。現在やっているSEPG(※4)や来年のCMMIも同じで、エンジニアとしての経験がある上でプロジェクトをまとめていくことや、新しく始まった開発コンサルのような業務の経験も積んでいきたいです。

あと、今会社としてモジュール拡販に力を入れていこうという中で、営業窓口の打診を受けています。営業といっても飛び込みでお客様を開拓してくるものではなく、「こんな製品を作りたい」といった問い合わせがあったことに対しての窓口という形なので、やってみようと思っています。

20年前エンジニアという仕事を選んだ時には、あまり人と話をせず自分一人で完結する仕事としてこの仕事を考えていました。ひたすらPCに向かっているプログラマーに近いイメージですね。ですがエンジニアとして開発に携わる中で、契約先に説明する場面も多かったですし、客先でコミュニケーションをとりながら仕事をしていくこともありましたし、自分一人で完結する仕事はほとんどありませんでした。

この20年でエンジニアとして自分の幅も広がり、営業窓口の打診にもYESと言えたんだと思います。また別の勉強も必要なので、それはそれで大変になるかもしれませんが……、経験を活かしながら新しい事にもチャレンジしてみようと思っています。
※4 品質面や業務効率面での組織目標達成を目的に、組織のプロセスを企画・構築し、改善するグループ。Software Engineering Process Group の略称。

Y.T.:私はエンジニアのスペシャリスト志向なんですが、「こんな製品を作りたい」という希望に対して、今ある技術や知識を活用して、システム的にどう実現していくかを考えるのがスペシャリストだと思っています。モノづくりのすべてのフェーズに関わっていて様々な角度から提案できるUSE Inc.にはそういうエンジニアの活躍の場がありますよね。理想とするエンジニアになるために経験を積んでいきたいと思っています。

―それは頼もしいですね。Y.T.さんの思い描いているエンジニア像はUSE Inc.には絶対的に必要で、かつそれができるエンジニアさんは少数派だと思うので、ぜひ頑張ってください。K.S.さんのこの20年の変化も興味深いですね。同じように『人と話をしない』という理由でエンジニアを選択された方も多いと思うので、続けていく中で幅が広がってきた実例で、参考になる方も多そうです。

お二人ともお忙しい中ありがとうございました。

編集後記

Bluetooth関連や組み込み開発など様々なメーカーからの依頼を受けている課のお二人。年齢もキャリアも異なりますが、業務の中で技術を磨き、エンジニアとしての幅を広げていることがよくわかりました。USE Inc.では10年前より行っているUSE開発のモジュール拡販。今回新モジュールを作成し、さらに拡販に力を入れていくので、窓口業務も製品打診も増えていきそうです。

USE Inc.では、モノづくりに関わりたいエンジニアを募集しています。PCに向かうだけではない、モノづくりを極めたい方はお問合せお待ちしています。

インタビュー実施:2024年8月
Interview & Text 渡部美里

USE Inc. お問合せ先
https://www.use-inc.co.jp/contact/

USE Inc. 採用情報 
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vol.1 歴37年のエンジニアが若手に求める3つのスキル
vol.2 子どもの頃からの夢を叶えた生粋のエンジニアが薦める”興味を広げる”勉強法
vol.3 日本のモノづくりを支えてきたエンジニアが語る35年のエンジニア人生
vol.4 技術が代名詞になるほど専門性の高いエンジニアになる方法とは?
Vol.5 エンジニアとしての『プロフェッショナル』を極める
vol.6 エンジニアとして覚悟を決めた時
vol.7 技術もマネジメントも「伝える」「伝わる」エンジニア
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