「イマドキ」の「イケてる」、「ホンモノの」自己啓発をウォッチできてる? 昔に流行った、たいして有効でもない理論をいまだに信じてる“周回遅れ”になってないよね!?w 〜若い自己啓発家が、古臭い古典的名著を批判して超えていく潮流〜
純文学でも音楽でもなんでもそうだと思うんですけど、「ガチな古典」確定したものは、何百年でも何千年でも時間が経ったところで世界じゅうで最高ランクの評価であり続けられますね。バケモノです。
一方、「当世の流行り」でしかなく、一世を風靡したけれども別の時代、国、民族etcから見るとたいしたことない評価で終わってしまうものがたくさんあります。
(そういえば私が初めて買ったシンセサイザーは、小室哲哉さんがプロデュースした機種でした←なぜここで想起した?)
そんな大層な話を持ち出さずとも、会社でも学校でもなんでもありますよね。
「先輩の言うことはもう、古いんスよ!今は通用しない!!」
と、後輩や若い世代が上の世代に反発して批判し、上の世代が良しとするものの反動みたいな価値観や理論を振りかざす。
単なる反発で、真逆の方向に突っ走ってみただけだと要はパチモンで、やがて消えていく(その下の世代からけちょんけちょんに批判されたりな)。
そういうワチャワチャした中で、たまさか、優れたものが突然変異のように誕生して残っていく。みたいな?
これは自己啓発の分野でも当然のように存在します。
「Suck(酷い、つまらない)じゃない人生指南」を謳うマーク・マンソン(Mark Manson)の自己啓発本が1300万部以上を売り上げる現代
マーク・マンソンはアメリカの(今となっては)実業家で、もともと自称ドン底の暮らしをしており、そこから這い上がったという「イマドキ」な経歴の売り方(売り方ってw)をする自己啓発家です。
あえて誤解を恐れずにいうなら、炎上マーケティングばりの煽情的なブログで若者を焚き付け、熱狂的なフォロワーを増やし、そこから情報商材としてのオンライン講座を高額で提供し……という、ネットでバズるインフルーエンサー(←この表現自体、早くも手垢にまみれた感がありますね)化していって今では大物、大御所ポジション……という路線。
(マーク・マンソン信奉者の皆さん、気に障ったらごめんなさい)
ちなみにマーク・マンソンのネット上でのアカウント各種はこちら。
(ツイッター/インスタグラム/YouTube)
いやでも、YouTubeの喋りがなんともいかにもバズるYouTuber!な、グイグイ惹きつける喋りとたたずまいだなぁ。売れる人、って感じ(浅い感想)。
マーク・マンソンの著作は、日本語訳されたものでいうと
があります。
この本には副題として「ポジティブ思考は役に立たない」と銘打たれており、まさに20世紀型の自己啓発を全否定するようなスタンスw。
本の冒頭でマーク・マンソンはいきなり、「人生ゲームのルールは変わった」と宣言し、自己啓発の古典的名著である
を、そこはかとなく&明確に、槍玉に挙げています。
デニス・ウェイトリーの「成功の心理学」に見る、20世紀型の「文句を言わずサボらず休まずどこまでも無限に努力して成功という栄冠を勝ち取る!」根性論が「ダサくてウザくて役に立たない」扱いされる21世紀の自己啓発
先ほど挙げた、デニス・ウェイトリー著の「成功の心理学」は、世界中で知られた古典的名著。
軍隊式の体育会系万歳な、
「つべこべ言わず、やれ!できるまで休むな!」
という教えです。
この本は、人によっては現代でも充分に、古典的名著としての力を持っていると思います。間違ってない、ガチな正論をそのまま言ってるからです。
ただ正直、正論すぎて真面目すぎてある意味では芸がないため、今となっては「だから何?w」と揶揄されるような位置づけにも若者からは見えるのかなぁ、と。で、マーク・マンソンから実際そう言われちゃうわけですね。
では、なんたって長きにわたって世界中で支持されている古典的ベストセラーを皮肉ってチャチャを入れる若造の自己啓発家は、ただ単に身の程知らずな愚か者だからこそ、優れた先人の教えのありがたみもわからずに貶しているのでしょうか?
私はそうは思いません。
「みんな」にとっての共通の「勝ち・成功」を全員が目指し、優れた人間だけがその栄冠を手にできていた20世紀。それを勝ち取れ!と悟す20世紀型の自己啓発。……じゃあ、そのモーレツに頑張って誰よりも優れることができた一握り“以外”の人はどうすりゃいいの?に応える21世紀型の自己啓発
20世紀といえば、学校の成績やスポーツ競技など、あらかじめ「みんな」の中で価値がある・役に立つとの評価が確立されたものについてだけ、能力の査定項目とされ、画一的な基準(それこそ学校のペーパーテストなど!)で全員を採点し、点数の序列がそのまま優等の序列とされていた時代です。
今となっては非常に牧歌的で香ばしい、懐かしいけど二度と戻りたいとは思わない時代ですよね(笑顔)。
で、あれよあれよという間にYouTuberという「職業」が登場し、「なにそれ?」と言われるようなマニアックな分野ででも、めちゃクソやりこんだ凄い人がすごいノウハウや技能を発揮しています。
そしてそれが大勢のフォロワーを持つに至り、それが収益としても社会的な影響力としても機能しています。
ひと昔以上前の価値観からアップデートできてない中高年がいう
「そんな役に立たないことなんかしてないで、ちゃんと(学校の)勉強しろ!」
は、今となっては誰もが気づくNG典型例なのではないでしょうか。
そういう人たちが言う「そんな役に立たないこと」としては、例えばビデオゲームや楽器演奏、趣味とされるいろんな諸々があるのだと思いますが、それをひたすら極めた人たちは今、カリスマYouTuberとして、下手げなテレビ芸能人より人気があり収入も多いわけです。
一方、「役に立つ」こととしてひたすら学校の勉強を頑張り、かといってガチな学者として博士号を取得してノーベル賞を目指すでもなく企業に媚びを売る程度の学位を修めたら就職。理不尽でも非効率的でもとにかく上の言うことをなんでもハイハイと従って思考停止し、そのくせ自分は正社員で会社に勤めているのだからやるべきことはやっている!という謎の慢心と自負が自己研鑽を怠り、45歳以降ともなればリストラでサヨウナラ。再就職先の目処が立てばいいですけどね(笑顔)。老後は年金で安泰ですか?
そう考えると自己啓発は、かつては「なんとなくモチベーションUPを焚き付ける(わりに結果を保証してはくれない無責任)チアリーダー」だったのかもしれませんけど、今となってはもっと実践的な、
不確定要素が多く変化が速くて激しい時代にうまくやる処世ノウハウとしての価値を求められている&それを提供できた自己啓発が支持される時代
になってきているのかもしれません。
そう、自己啓発というジャンル自体が指し示すもの、そこに求められるもの自体が時代とともに全く異なったものに変化していってるわけですね。
そりゃ、
「やる気を出せ!サボるな!どこまでも努力しろ!誰よりも優れた成績を叩き出せ!そうすれば優勝できる!選抜される!採用される!出世できる!そうすれば勝ち組だ!成功者だ!人生ウハウハで幸せいっぱいの豊かな生活を送れるぞ!」
一辺倒の自己啓発本は、単に古臭い役立たず扱いされるのも道理なのかも。
たとえばマーク・マンソンの本を読むと、ひと昔前のそういった「みんなが正しいと思っていた幻想が嘘だ(あるいは、もはや役に立たない)という“視点”をもたらしてくれる」示唆に富んでいることに気づくと思います。
「気づき」というと、これまた個人の中でテキトーにそういうことにしてなんとなく感動しただけで実は役に立たない精神的お遊び、と捉える人がいるかもしれません。
し、そういう人も(日本の自己啓発界隈を見ていると)少なくないように思いますが、イマドキの、本まで書いて人々にもたらす「気づき」は、そういう生ぬるいお茶濁しではない印象です。
また、今これからは評価経済社会といって、ある人の人気がそのまま社会的地位や財産獲得能力(ようするに『稼ぐ力』)に直結する時代。
かつてはサボり、遊びと言われたビデオゲームが、eスポーツと呼ばれて正式な大会が催され、世界的な大会で優勝すれば賞金は何億円!というプロとしての道が確立されたように、何がどれだけの価値を持つのかは、あらかじめ決まっているというよりは、みんなが「いいね!」と判断したことに後付けで価値が生じて高まっていくという図式です。
ということは、影響力を持つインフルーエンサーとしての自己啓発家が言っていることは、そのまま大勢のフォロワーの思考や価値観に影響を与えるわけですね?
ということは、フォロワーがいわば「金魚のフン」として、信奉するインフルーエンサーの言うことに半ば自主的洗脳として染まっていく傾向がある場合。そしてそれが大勢に渡り、強い傾向として現れてくればくるほど。
インフルーエンサーの言うことがすなわち、時代の「正義」として政治経済をも左右する
力を持つわけです。
その意味では、下手げに新聞を読んで「ちゃんと時事ネタをウォッチしているぞ」と安心・慢心しているだけの古い真面目さで終わっている(アップデートされていない)人よりも、
チャラくユルく、イマドキの人気あるインフルーエンサーの動画をダラダラぼけーっと見てるだけの人のほうが、これからの時代は生存していける確率は上がっていく
のかもしれません(そんなことない?)。
自己啓発を偏見で「変なもの、おかしな宗教、役に立たない無責任な焚き付け」と見なして放置すると、イマドキの本当に役に立つ自己啓発というか「時代の風」をウォッチできてない周回遅れな年寄りになってしまうのかも。(そんなことない?)
Amazon 「マーク・マンソン(Mark Manzon)」著者ページ
には、日本語に翻訳されていない英語での書籍が豊富にあります。
英語に抵抗ない方は、いろいろ読んでみると面白いかも?
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