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仕事休んで、どうして名画座に惹かれるのか?を一日考えてた
このところ、休みの日に仕事したりといったことが続いたので、有休休暇を取りました。
「平日の一日を、好きに過ごして良いよ!」という時間を自分にプレゼント。
早稲田松竹で『きみの色』(山田尚子監督)と、『化け猫あんずちゃん』(久野遥子 · 山下敦弘監督)を観てきました。
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久しぶりに観たアニメ映画(秋に旅先の盛岡で、プリキュアの映画を観たけど)は、とても面白く、恥ずかしいけど泣けました。
物語が悲しいとかではなくて、なんでしょう?何もなさないまま、ここまできてしまった後悔とか?(うまく言えないのですが、映画に限らず、物語に夢中になってしまうと現実に引き戻された時に、ものすごく落ち込みます)
が、今回はここで私のつたない感想を書くより、どうして私が名画座が好きなのか?ということについて考えてみたいと思います。
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名画座の魅力を語る前に、映画館で映画を観る魅力について考える
私の考える名画座の魅力について考えてみたところ、「映画館で映画を観ることの楽しさ」が、まず前提にあって、その先に「名画座で映画を観る楽しさ」があります。
なので、私の感じている映画館で観る映画の魅力を先に整理して、その上で名画座の魅力について書いてみようと思います。
映画館で映画を観る魅力には、大きく「没頭しやすい」と「共感しやすい」の2つがあります。
映画館で映画を観ると没頭しやすい
映画館で映画を観るとどうして没頭しやすいのかな?と考えると、さらに次の3つに分けることができると思います。
大きなスクリーンと音響効果で、迫力がある
途中で邪魔されることなく、集中して映画を楽しめる
同じ目的、志を持った人が周りに人がいる
1の「大きなスクリーンと音響効果で、迫力がある」というのは、そのまんまですね。
家のテレビで観たり、パソコンやタブレット、スマホで観るのも悪くはないですが、やはり映画館の施設にはかないません。
個人的には、椅子も重要かなと思っています。
2の「途中で邪魔されることなく、集中して映画を楽しめる」というのも私にとっては大事です。
スマホは切っているので、電話やメール、LINEなんかを気にすることもありません。
映画を観ている間、少なくとも2時間くらいはデジタルデバイスから距離を置くことで、デトックス効果があるかもしれませんね。
また、「暇なんだったら掃除してよ!」とか「冷蔵庫の中、何にもないけど。買い物いつ行くの?」とか、映画を楽しんでいる途中で不機嫌な声をかけられることもありません。周囲を警戒したり、びくびくしないで映画を鑑賞できるって、幸せですよね。
そして、3つめ、「同じ目的、志を持った人」の存在です。
私だけでなく周りの人たちも全員、言うなれば「映画を楽しむ」という同じ目的、志を持って集まっています。
家で観るのではなく、わざわざ映画館にまで足を運ぶ人たち。何か共通点があるのかもしれません。そんな人たちによって醸成される雰囲気も、物語に集中しやすくさせているのかもしれません。
映画館で映画を観ると共感しやすい
「誰にも邪魔されないから集中しやすい」といったことを書いておいて、矛盾に感じるかもしれませんが、共感しやすいというのも、映画館で映画を観ることの魅力だと思います。
映画の物語の中に没頭しながら、ふと我に返ると同じ空間にほかの人がいて、一緒に笑ったり泣いたりしているって、すごくないですか?
先述のように、同じ目的、志を持った人たちが集っているので、どこかに共通点やら似たようなところがあるのかもしれませんが、それでも話したことも、そもそもこれまで会ったこともないような人と、一瞬でも気持ちを共有できるって、すごく贅沢な瞬間だなって思ったりします。
これまでも、これからも一緒に話すことはないでしょうし、映画館を出たら、ほとんどの人ともう、二度と同じ空間に集うこともないと思います。
でも、顔も名前も知らないまま、心の中で、勝手に友達認定させていただいています。
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名画座の魅力
さて、映画館で映画を観る魅力について整理がついたので、続いて、名画座の魅力について書いてみましょう。
名画座の魅力
コスパが良い
上映作品が選び抜かれている
自分一人では出会えなかった作品に出会える
それぞれの映画館の特色が出ている
ほかにも、たくさんあると思いますが、大きく分けるとざっとこんな感じでしょうか?
ひとつずつ見ていきましょう。
名画座のコスパは神レベル
名画座のコスパはものすごく良いと思います。
一般的に2本立てで上映されているので、映画1本で計算すると、普通の映画館で映画を観る半分くらいの値段で映画を楽しむことができます。
時間で換算すると言うともっとすごいことになります。
1,500円で映画2本、4時間楽しめると仮定すると、1分につき約6.25円で快楽を得られるのです。
平日、ひとりカラオケで30分うたっても、1ドリンクとか頼まないといけなくて合計700円くらいします。1分で換算すると、23.3円。
ラーメン食べたら待ち時間も入れて15分くらいで1,000円消えます。1分66.7円。
「ラーメン食べたら、食後も満腹感が持続するよ」という方は、良き映画を観た後の余韻がどのくらい続くか、考えてみてください。
気に入ったシーンやセリフは、何年も、何十年も心の中に残って生き続けます。1,500円を、上映時間だけでなく自分が生きる残りの時間で割ったら?(あと、どのくらい生きられるのかはわかりませんが)1円は切ってくれると思います。
ラスト1本だけなら割引も
さらに、「忙しくて1本しか観れないよ……」とか、「映画2本観続ける体力ないよ……」という方も、悲しむにはまだ早いです。
多くの名画座では、2本立てで上映しており、映画1本分の値段で2本観れるとそれだけでもお得なのですが、たいていの名画座で最後の1本だけを観る場合には入場料が割り引かれます。
「通常は2本観れて1,500円だけど、ラスト1本だけだから1,000円で良いよ。だから楽しんでってね~」という感じです。
いかがでしょう?
名画座のコスパがいかに良いか、感じていただけたでしょうか?
上映作品が選び抜かれている
ネットで行動心理学関連の記事を見る(記事を「読む」のではなく、「見る」レベル……)と、人は選択肢が多すぎるとかえって何も選ばないそうですね。
総務省統計局「世界の統計2024」を見ると、日本の映画制作本数は年間、594本(2017年)とあります。また、「映画上映活動年鑑2023」によると、2023年には1,232本の映画が公開されているようです。
これだけの映画の中から、今日観たい映画を選ぶのって大変ですよね。
しかも、映画のライバルは映画だけではありません。
テレビやネットでも、たくさんのコンテンツが流れています。そうなるともう、何が何だか分からない、膨大な数の中から、今日観るものを選ばなければならなくなります。
人間の脳は何かを選択するときに、ものすごく疲れるといいます。
「どの映画、またはコンテンツを観ようかな?」と迷っていたら、映画を観るころには脳はもうすでにへとへとになっているのです。
そんな時、映画館というのはある意味、数あるコンテンツの中から「これはおすすめですよ」という映画を選んでくれているわけです。
さらに、名画座となると、「(新作だけに限らず)これまでに公開された数ある映画の中から、さらに選りすぐりの作品」を選んでくれているというわけです。
なので、名画座を信じることができれば、映画の選択に迷う心配はありません。
どのようなルールなのかは分かりませんが、名画座ごとに上映する映画の選択基準には独自のルールというか、特徴があると思います。
なので、お気に入りの「マイ名画座」を決めておけば、時間が空いたらいつ行っても、失敗することなく自分が楽しめる映画に出会えるというわけです。
名画の組み合わせにも注目
さらに、上映作品だけでなく、組み合わせも名画座ならではのこだわりを感じます。
同じようなテーマで選んだり、同じ監督の作品を2本続けたり、同じ俳優の作品を並べたり。この辺りは各名画座の企画担当の方はとても考えていらっしゃるのではないかなと思います。
以前、目黒シネマだったと思いますが、ジム・ジャームッシュ監督の『ナイト・オン・ザ・プラネット』と松居大悟監督の『ちょっと思い出しただけ』の2本立てを観た時は、あまりのことに腰が抜けるかと思いました。
『ナイト・オン・ザ・プラネット』は若いころに観たことがあって(たぶん)懐かしいなあと、当時のことを思い出して感傷に浸っていて。
その後に観た『ちょっと思い出しただけ』は、物語の中に入り込み過ぎてしまって、いまだに抜け出せません。
仕事の昼休みに独りカラオケして、クリープハイプの『ナイト・オン・ザ・プラネット』を歌い続けていました(最近はあまり行ってないけど)。
昼休みに入ると、急いでご飯を食べて、全力でカラオケに行き、同じ歌を何度も歌い、時にはうたわずに画面を眺めるだけでウーロン茶一杯を飲み干し、30分で走って職場に戻る日々。
たぶん、『ちょっと思い出しただけ』だけを観ていたら、ここまで堕ちなかったと思います。
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自分一人では出会えなかった作品に出会える
また、名画座だからこそ出会える映画というのもあると思います。
新しい体験をしたいなと思いながらも、気が付いたらいつもと同じような行動をとっているなんてこと、ありませんか?
私の場合、自分で観たい映画を探すと、どうしても好みもあって同じような作品に偏りがちになってしまいます。
しかし、選択を名画座に任せてしまえば、これまで気が付かなかったような「え、こんなに面白い映画あったの?」というような出会いがあります。
公開期間が短かった作品、話題になってはいたけれど見逃した作品だけではありません。
若いころ観てもう一度観たいと思っていた作品は、観返してみると全く違う作品に感じられることも多々あります。
また、自分がまだ生まれる前に上映されていた作品など、時間を越えた出会いも、ものすごく普通に、当たり前のようにあります。
どうでしょう?
名画座に行くだけで、自分の人としても幅も広がるような気がしませんか?
残念ながら2022年11月に閉館してしまいましたが、飯田橋にあったギンレイホールは上映作品が2週間ごとに入れ替わっていました。
さらに、1週間ごとに上映の順番も変わっていたので、仕事が少し早めに終わったときには何も考えずに寄らせていただいて、たくさんの出会いをいただきました。
それぞれの映画館の特色が出ている
名画座では、上映作品だけでなく、サービスや館内の造りや、もっと言えば名画座のある街の雰囲気も含めて、いろいろと特色があります。
サービスでいえば、割引制度です。また、各名画座で独自のいろいろな取り組みもあるので、ご紹介します。
5回観たら1回無料!目黒シネマのポイントカード
JR目黒駅から徒歩でだいたい5分もかからないところにある目黒シネマでは、1回映画を観るとスタンプを押してくれる、ポイントカードがあります。
ポイントが5個たまると、1回無料!
入場の際に、受付でお願いしたら、その場ですぐに無料で発行してもらえます。
しかも、ポイントカードには有効期限がありません。自分のペースでポイント貯めることができて、しかも「ああ、1年たってしまった……」なんてこともないのです。
個人的にすごく気に入っているのは、スタンプにもいろんな種類があるということ。これも楽しみの一つです。
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目黒シネマの入場引き換え券には100円割引券も!
さて、目黒シネマのお得な情報をもうひとつご紹介しましょう。
それは入場引換券です。
入場の際に受付で、上映している映画のタイトルとか、今後の上映作品の情報とかが書いてある小さな2つ折りの引換券をもらうのですが、その隅っこに三角形の100円割引券が2枚付いています。
次に訪れたときに、100円引きで観れてしまうというもの。
これも、なかなかポイントが高いと思います。
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スタンプ40個で映画館貸し切り!?キネカ大森の名画座KINECARD
大森駅東口から歩いて、やはり3分くらい?スーパーの5階にあるキネカ大森にも、ポイントカードがあります。
こちらは、発行するのに1,100円くらいかかったと思いますが、このカードさえあれば、1,400円の入場料が1,100円に!
4回観れば余裕で元が取れて、おつりまで来てしまうカードです。
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さらに、6回観たら、1回無料!もっとすごいのが、スタンプがたまると、ランクアップしていき、特典ももらえるという点です。
以下に、公式HPから引用させていただきました。
【スタンプを貯めてランクアップ】
ゴールド会員になると…(年30回鑑賞)
特典① ロードショー作品を3回無料鑑賞できる招待券1 をプレゼント!
特典② コンセフード全6種類2 引換券をプレゼント!
【有効期限】特典①②共にゴールド会員になった月から半年間
プラチナ会員になると…(年40回鑑賞)
招待券&フード引換券をもう1枚プレゼント!
さらに、スクリーン1回貸切権*3 をプレゼント!
【有効期限】プラチナ会員になった月から半年間
スクリーン貸し切りって、どんな世界でしょう?
有効期限があるので早いペースで通う必要はありますが、夢が膨らみますよね。
キネカ大森のショートムービー『もぎりさん』
キネカ大森でご紹介したいもうひとつの特徴というか楽しみが『もぎりさん』です。
映画が始まる前に流れる、片桐はいりさん主演のショートムービーで、舞台はキネカ大森です。
なんか、ちょっと懐かしい感じがして、これ観ただけですごく得した気分になります。
こういう遊び心のある作品を、きっと本気で楽しみながら、全力で作ったんだろうなあと思うと、キネカ大森に対する愛はますます深まります。
こだわりの早稲田松竹
高田馬場駅から徒歩5分くらいの早稲田松竹では、会員制度的なサービスはありません。
でも、上映する作品は、ほかの映画館とは一味も二味も違うというか、かなりのこだわりを感じます。
名画座では珍しいと思うのですが、チケットを購入する際に座席も選べるので、上映前に我先にホールに入ろうという焦りはなくて良いですね。
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早稲田大学が近く、歩けば飲食店はもとより、古本屋とかもあって映画だけでなく街全体を楽しめるかなと思います。
私も早稲田大学のキャンパスを散歩させていただきました。
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今は無き、ギンレイホールのシネパスポート
先述の飯田橋ギンレイホールでは、シネパスポートという年会費1万円くらいで、何度でも無料で映画を鑑賞できるカードがありました。
映画館で買うと1万円くらいだったのですが、最寄りの駅にある書店で購入するとさらに安く買えたり、というのも面白かったです。
当時は1回の入場料が1,000円と少しだったと思います(正確な数字を忘れてしまいました)。ので、10回くらい観たら、あとは無料で映画を観ているようなそんな感じです。
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終わりに
さて、いろいろと名画座の魅力について考えてみましたが、今回、ご紹介しきれなかった名画座もたくさんあります。
思えば、今年、2024年は1月1日に池袋の新文芸坐で『ローマの休日』を観たところから始まりました。念願の御成座にも行けたし、楽しい1年でした。
来年は、川越スカラ座にも行ってみたいし、九州の名画座にも行ってみたいです(昔、出張で映画館の前を通りかかったのですが、アポがあって中には入れなかったのが悔やまれる……)。
三軒茶屋シネマとかギンレイホールとか、身近だった名画座が閉館してしまうのは、時代の流れとは言え、寂しいです。
ひとりのファンとして、少しでも名画座の魅力をお伝え出来たらいいなと思います。
最後まで読んでくださってありがとうございました。