小説『ヌシと夏生』28_駕籠
夏生の部屋には神様が住んでいる。
出張先からどういうわけか一緒について来て、そのまま居座っている。
名前は知らない。
本人もよくわからないらしい。
ヌシと呼ばれていたというから、夏生もヌシと呼んでいる。
神様やら宇宙人やら、異世界の住人が、何らかのきっかけでこの世で一般人と生活を共にするというのは、小説、映画、アニメ、そのほかあらゆる娯楽作品の設定においては定番すぎる定番で、珍しくもなんともない。
こうした設定の多くでは異文化交流というか、お互いの生活習慣や知識のギャップ