25枚目の前に
君はもう忘れてしまったかもしれない
そもそも君の記憶の中に最初からそれは居場所を作らなかったかもしれない
カレンダーを24枚破る前に息をしていたその日は
確かにこの世界に在ったけど
君の背中を見送るだけのつもりだったのに
君が振り返ってくれるなんて思ってなくて
けど振り返る君の姿は
スローモーションで再生し過ぎて今にも手が届きそう
曇り空に星なんて見えなくて
そもそも屋根に覆われて空なんて見えないのに
星が瞬いたような気がしたのは
星は君の中にあったから
どれだけ美しい星を見つけても
どれだけ眩しい星に出会っても
僕は君の中に揺れる星よりもそれが綺麗だと思うことはもうないのだろう
たったひとつでいい、一番星はひとつきりでかまわない
僕の中にも星は揺れているけれど
君には星が何処にあるのか見えないかもしれないし
星の存在すら気が付かないかもしれないし
気付いても見つめようとは思わないかもしれない
君と同じようにリズムを刻んで揺れるその星は
君と本当によく似た色をしていて
君が見つけさえすれば名前をつけて夜空に解放されるのかもしれないけれど
このまま世界のおしまいまで硝子の箱の底で眠ったままなのかもしれない
硝子の箱ごと海に沈めてしまうつもりだったのに
君が振り返ってくれるような気がして
今度こそ、本当に振り返ってくれるような気がして
僕の中に揺れる星を見つけに来てくれるような気がして
明日にはまた硝子の箱を片手に海へ行くのに
僕は僕の願いを幻にしてしまうことができずに
破られるカレンダーはあと何枚
息をしていてほしい
君の記憶の中で
あの曇り空の夏が
僕の魂の欠片を置いていったあの夏が
どんなに嬉しかったか、君はきっと知らないけれど
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主にフィギュアスケートの話題を熱く語り続けるブログ「うさぎパイナップル」をはてなブログにて更新しております。2016年9月より1000日間毎日更新しておりましたが、現在は週3、4回ペースで更新中。体験記やイベントレポート、マニアな趣味の話などは基本的にこちらに掲載する予定です。お気軽に遊びに来てくださいね。
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