知ることもないさようなら
高校入学の時に買ってもらった、ソーラー式の腕時計。
よくもったと思うけど、先日永眠してもらった。
窓辺に置くこともせず、棚の中にしまったということ。
窓辺に一日置いていても、時間が狂っていってしまう。
本当にだめになっちゃったんだな。
とても寂しかった。
ベルトを、何度付け替えたか覚えていないくらいお付き合い頂いた。。
単純な作りで、おしゃれでもなんでもない。丸い文字盤に数字が並んでるだけ。
ストーンや何かで、きらきらもしていないし、付け替えていたベルトも、ディスカウントストアや、ホームセンターで売っている、一番安いベルト。
こんなに長く付き合う時計だと思っていなかったから、かなりぞんざいに扱ってもいた。よく壊れなかったものだ。
でも今、その時計が使えなくなって、使える腕時計というものがまったくなくなって、あの時計の偉大さに気づく。
いつまでもあるというか、そこにあると思っていた。
いかに大事だったか、使えなくなるまで、分からないんだな。
そうやって失ってばかりいる。
そうやって喪失感を知って、自分の愚かさにやっと気づく。
どうでもいいものをたくさん、たくさん集めるのに、大事なものはいい加減に扱っている気がする。
腕時計がないと困るかというと、最近はあっても使わないので、次の腕時計を買っていない。
しばらく買わない気がする。
棚の中の、あの腕時計。
静かに狂った時間を、ソーラー電池が切れるまで刻み続ける腕時計。
電池が切れて、時計として力尽きた時も、私はその瞬間を知らないだろう。
棚のこちら側で知らずに、ご飯を食べていたりするんだろう。
私が時計だったら、薄情だと怒るだろうな。
知ることもできない、さようならを今ここで伝えておく。
ごめんね。
今までありがとう。
【今日の英作文】
彼女は20歳で事業を始めました。
She went into business when she was twenty.
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