『ミュージアムの女』を続けられる理由ー雑事記②ー
noteで定期連載を勝手に始めておよそ2カ月が経つ。前回の雑事記①では、週1にすることによって良いサイクルが出来て結構結構みたいな調子のよいことを書いていたが、そこからさらに1か月経ち、いや、そんなに簡単なものではないぞ。依頼もなく、ひとりでコツコツ、毎週話題を選んで言葉を綴っていくのはことのほか難しい…と痛感している。
(そして今週はついに、締め切りを超えて月曜日から火曜日へと時計の針が今…ああ、またいでしまってごめんなさい…。)
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こんなダメな私でも、現在連載4年目(初期連載から数えると5年)になる『ミュージアムの女』だけは続けられているのは、ひとえに、美術館のSNS担当Aさんのおかげである。 公立美術館のアカウントで発表する以上、4コマの内容は私の好き勝手だけで描いているわけではない。毎回必ず、まずAさんに下描きを見せ、コメントをもらい、OKならば他の職員にも問題ないかをチェックしてもらって初めて原稿の清書にとりかかる。
学芸員から専門的な細かい訂正が入ることもたまにあるが、修正のほとんどはAさんの気づきによるものが大きい。私の操る日本語のおかしさを指摘してくれるばかりか、言いたい内容がいまいちわからない、という読者目線の率直な感想もくれるが、極めつきはこれ。
「これに似た話、以前もありませんでしたっけ?」
ああっ!……さすがはAさん、おそるべし……!!
そう。長く続けていれば、同じ職場を描いた4コマの漫画という制約上、どうしても「状況」や「オチ」が似てしまうことがある。言い訳めいているが何も私自身、(同じ手を2度使ってしまえ…くくく)と端から企んだわけではなく、ぜんぜん違うものを描いたつもりが、読み返したら
(ん?…そういえば、以前あんなのを描いたな…似てるかな?まあ別物だしいいか…)と思いつつ提出したものを、Aさんにズバリ見透かされてしまうのである。
もうひとつ、Aさんが投下する爆弾がある。
自分的に「あっ。これいいな。」とすんなり下描きがまとまって、意気揚々とAさんのもとへ持っていく。
「Aさん、描けました!」
「おっ、ありがとうございます!!」
笑顔で元気良く受け取ってそれを読み始めたAさんが、真顔でじっと黙る。
おや?と思うとおもむろに、「ん-、意味はよくわかるんですけど…」
「なんか、“いい話”すぎません?」
ちゅどーん。これはネタの使い回しよりも恥ずかしい。無意識に感動を誘うような“いい話”としてまとめただけで実は中身がスカスカ、というサムイ漫画を世間に公表するまえに止めてくれたAさんに、もう、私はその場でひざまずき「A様、ありがたや…!」と拝みたくなってしまう。
かように、毎週の『ミュージアムの女』連載にはAさんの存在が欠かせない。もし、Aさんが美術館を去ってしまうことがあったら、その時は連載を終わろうかと私は常々本気で考えている。
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今週もお読みいただきありがとうございました。冒頭でも申しましたが、月曜のうちに配信できなくて誠に申し訳ありません…。先週は予期せずフライングしてしまったし、やはり継続には相応の工夫と覚悟が必要ですね…。
さて来週は、ArtとTalk。絵描きはなぜ女の人の裸を描くのか?という話題をしたいと思います。
それではまた、次の(今度こそ!)月曜に。
◆今週のおやつ◆
苺
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