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ひとりで美術館ハシゴ旅/8.兵庫県ーArtとTalk㊾ー

皆さんこんにちは、宇佐江です。
今週も、1つの都道府県に的を絞って美術・博物館を複数めぐる「ひとりで美術館ハシゴ旅」!第8弾は兵庫編です!
ちなみに前回はこちら↓

先週お送りした大阪旅の翌日に行きました。兵庫も魅力的な施設が多すぎて、エリアをどこに絞るか迷ったのですが、今回は行きたい企画展を中心に選びました。
けれど実際に行ってみたら、この行程にしてほんとに良かった。兵庫は華やかで観光地としても有名ですが、県立美術館には、忘れられない震災の歴史も深く関わっていました。

いざ、出発!


☆「ひとりで美術館ハシゴ旅」について☆

・記事の内容は宇佐江個人の主観や感想に基づくもので、公式とは一切関係ありません。
・タイムスケジュール優先の旅ですので、各展の最適な鑑賞時間より短い場合があります。(※記載は観覧時間でなく、その施設での滞在時間です)
・施設に関する情報は、各施設のHPや広報等を一部参考にしております。
・館内写真はスタッフさんに確認の上、写真撮影しております。
・情報は当時のものです。実際に行かれる際は各公共交通機関や施設の最新情報を必ずご確認ください。


(本文はエッセイ形式でお送りします)


①10:40~12:30/神戸市立博物館

◆開催していた主な展示『デ・キリコ展』

まるで神殿のような。

訪れた日:2024年9月の平日
移動①…JR/新大阪→三ノ宮(約30分)→駅から徒歩約10分

さすが観光の街、至る所に周辺地図がありとてもわかりやすい。この日も暑くて汗だくになりつつ、到着したのが神戸市立博物館。

外観が、開催中の企画展「デ・キリコ」に似合いの神殿みたいだなあ~と思ったけれど、かつては銀行だったそうで、昭和初期の名建築として登録文化財にもなっている(公式HPより)。美術館としては1982年開館。
珍しいなと思ったのが観覧券。
私の今までの経験上、美術・博物館は企画展料金を払うとコレクション券もついてくることが多いが、ここは別料金だった(ただし両方観ると割引はある)。企画展の『デ・キリコ展』は8月まで東京の都美でも開催されていたが、ぜひ神戸市博に来てみたくて、巡回を待っていた。
すごく良い展示だったのでこちらのれぽは、また後日。

別料金の有難みも加わって拝見したコレクション展ではすごいものがあった。かつて教科書で見た、「聖フランシスコ・ザビエル」の肖像画!!えーー!ここの所蔵なんだ!作品保存のためこの時はレプリカ展示だったけれど、それでも貴重なものが見られて得をした気分。
1階には建物の雰囲気を味わえるゴージャスな休憩室もあって、とてもゆったりと過ごせた。


②13:20~15:35/横尾忠則現代美術館

◆開催していた主な展示『レクイエム 猫と肖像と一人の画家』

ぱんだ、かわいい。

移動②…徒歩で駅まで戻る。JR/三ノ宮→灘(約2分)→駅から徒歩約10分…のはず。

灘駅から歩き始めて「失敗した…」と大後悔。
公式アクセスによると、本来なら徒歩約10分で美術館につけるはずなのだけれど、ちょうど途中の道で工事をしていてすご~く迂回してヘロヘロになった。JRも遅延していたし、よく考えたら三ノ宮から阪急に乗って王子公園駅で降りれば良かった…(そこからだと徒歩約6分)。

まずは座りたい…と館内の「ぱんだかふぇ」へ。

入り口に、スタッフが少ないので大変お待たせする場合がございますと貼り紙があったが全然構いません…と思いながら椅子に座れて極楽気分に浸っていると、爆速でカレーが出てきた。横尾忠則の皿で、ぱっと見はふつうにクラシックなお皿だけれどよく見たら、ガイコツの絵柄。野菜がたっぷりでおいしかった。

お昼ごはんの野菜カレー
(お皿に注目)



エネルギーチャージをして、いざ展示へ。この展示も、すっごく良かったのでまた別記事で、ツー。

今回は、建物について。

訪れるまでは「横尾忠則」のイメージからしてものすごく奇抜な美術館なのでは…?と想像していたけれど、意外にもごくシンプル。白を基調とした清潔感のある建物だった。そして、隣の「兵庫県立美術館王子分館」と書かれた建物と繋がっていた。

あれ?兵庫県美はこのあと行く予定だけれどここにもあるんだ?

実際隣の分館に行ってみると、すごく広いが、どうやら貸しギャラリー。こんなに大規模な建物で?どういう経緯なんだろう?

これは後でそれぞれの公式HPなどを調べてわかったことだけれど、もともとこの場所には「兵庫県立近代美術館」があって、その建物や収蔵品が1995年の阪神・淡路大震災で被災。県立美術館としての機能はその後、海に面した現在の「兵庫県立美術館」(2002年開館)に移り、残った旧・県立近代美術館の建物は分館の名で貸しギャラリー(原田の森ギャラリー)としてオープン。
その後、老朽化による改修なども経て、地元・兵庫県出身の美術家・横尾忠則から寄贈された作品を展示する空間として、西館部分を2012年に「横尾忠則現代美術館」として開館させて今に至る。

震災のあった頃、私はまだ小学生で、ミュージアム愛にもまったく目覚めていなかった。だから知らなかった。兵庫県の美術館にこのような深い歴史があったことも。それも、たぶん情報として読んだだけでは心に残らなかったかもしれない。実際に行ってみて、初めて実感するものがある。
それは、このあとの道中でも思ったこと。


ミュージアムロード

県美へはもともと歩くつもりだったが、先程の横尾忠則現代美術館で「ミュージアムロード」のパンフレットを発見。このすぐ近くの王子動物園から県美までを繋ぐ一本道(約1.2㎞)の愛称だそうで、道中さまざまなパブリックアートが楽しめるとある。
パンフレットを見ながら進んでいくと、カラフルな阪神岩屋駅を通りすぎたあたりで前方に、あるものが見えた。
あれは!!
兵庫県美の「美かえる」(《Kobe Frog》)!!

あれが見えるということは、あの建物が兵庫県美か~。まもなくだな~!とわくわくしていたら、
「あれっ」
と立ち止まる。

ここにも美術館、発見。

③15:50~16:15/BBプラザ美術館

◆開催していた主な展示『フランスの作家たちの物語』

さりげなく、しかし中は豪華。

移動③…横尾忠則現代美術館から徒歩約11分

BBプラザ美術館。
ミュージアムロードのパンフレットにも記載があったけれど、ネーミングの印象からして市民ギャラリーっぽいところかな?と思っていたら、なんか、良さげな展示をやっている…。入ってみよう!

株式会社シマブンコーポレーションの創業100周年記念事業の一環として、2009年に開館したというこの美術館。「暮らしの中にアートを」(公式HPより)という理念の通り、展示室に入ると、日本人好みの印象派作家たちが豪華に並んでいる。驚いたのは、それら全てがこの美術館の所蔵品で、1900点ものコレクションがあると紹介されていたこと。
BBプラザという施設の2階にあって、フロアにはレストランや貸しホールなどがある。習い事教室でもあるのか、子どもたちが沢山出入りしていた。まさに、市民の暮らしの近くにある良質なアート空間だった。


➃16:25~17:45/兵庫県立美術館

◆開催していた主な展示『コレクション展』
移動➃…BBプラザ美術館から徒歩約7分

デ…。


デ、

デッカ~~~!!!

カエルに目を奪われて、その足元に来るまで気づかなかったけれど、兵庫県立美術館はめちゃくちゃでかい美術館だった。
青森県美も大きいな~と驚いたけれど、こんなに、放心するほど度肝を抜かれたのは初めて。ただ大きいだけじゃなく、その建築空間の全てに圧倒される。いやほんと、美術館は、来てみないとわからない……。

凄いのもそのはずで、ここの設計は世界的建築家・安藤忠雄氏。パンフレットにも、延床面積・約28,000㎡で西日本最大級とある。
この日は企画展の準備中でコレクション展のみだったけれど、それでもすごく充実した展示数で大満足。むしろ企画展まで観てたら倒れてたかも…。この美術館は、ハシゴのラストにするにはボリュームがありすぎる。
ちなみに、どうやらここも神戸市博と同様、企画展とコレクションは別料金みたい。横尾忠則の美術館チケットを見せたら少し割り引いてもらえた。情報コーナーも充実していて、レファレンスまであり驚いた。


展示を観終えて外へ出ると、目の前に海があった。

ほんのり海の匂いと、気のせいか、焼きそばの匂い。
海に向かって微笑んでいるのはヤノベケンジ作《Sun Sister》通称、なぎさちゃん。野外展示も充実しているからついウロウロしてしまう。作りが迷路みたいで、
あれ?あそこに戻るにはどう行けば?
と戸惑ったり、敷地が広いからかなりくたびれるけれど、この、探りながらみていく体験がとても良かった。


震災からの文化復興のシンボルとして開館した美術館。
訪れたことが、一生心に残りそうな美術館だった。



その他の兵庫おすすめ情報

出掛ける前の朝食(in大阪)

兵庫はほんとにたくさん美術・博物館があるので、今回泣く泣くリストから外したところも是非また、訪れたいと思います。姫路の方も行ってみたい。

で、もし私のように兵庫方面をハシゴする方がいたらおすすめなのが「せとうち美術館ネットワークパスポート」
私は出かけるまでその存在を知らなかったんですが、小冊子に兵庫、岡山、広島、山口、徳島、香川、愛媛、高知、大分の主な美術・博物館情報がまとまっていて、割引クーポンもついてます。
これ、せっかく神戸市博で見つけてゲットしたのにカバンに入れたまま忘れてて、その後の美術館で使い損ねていました…。勿体なかった…。

今後の西日本ハシゴではぜひ活用しようと大事に取っておきます。

そして、兵庫といえば私が以前から推している六甲ミーツ・アートも現在開催中ですよ~!こちらもぜひ!







今週もお読みいただきありがとうございました。2週続けてハシゴ旅でしたが、充実した、ほんとに良いコースでした。
兵庫の美術館事情に関しては、先に知っていたらまた感じ方も変わったかもしれないけれど、やっぱり現地に行ってみるって大事だな…としみじみ思いました。ネットで情報みているだけでは、あの熱量は受け取るの難しい。それは、展示に関してもそうですが。
横尾忠則の展示、素晴らしかったです。

皆さんは、連休の多い秋、どこかおでかけされました?

◆次回予告◆
3週連続「ArtとTalk」!ついに50回の記念回!
今回のハシゴ旅で良かったキリコ展&横尾忠則展の展覧会感想。

それではまた、次の月曜に。


*ハシゴ旅シリーズ。過去回はこちら↓


*今回訪れた施設↓


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