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ひとりで美術館ハシゴ旅/3.愛知県ーArtとTalk㉗ー

皆さんこんにちは、宇佐江です。
今回は、1つの都道府県に的を絞り美術館を複数めぐる「ひとりで美術館ハシゴ旅」第3弾、愛知編をお送りします!
ちなみに前回はこちら↓

私の地元であり現住所でもある愛知県。間違いなく、全都道府県で一番詳しく語れる県です。
なので今回は、県外の方がすでにご存じであろう超王道は外した個人的おすすめエリア、「西三河にしみかわ」と呼ばれる岡崎&刈谷かりやをハシゴします。

大河ドラマ『どうする家康』でも話題の同地は、実は魅力あふれる美術・博物館の密集地。
ちなみに、「愛知王道プラン」を知りたい方には、最後の章でご紹介しますのでそちらをどうぞご覧ください。


☆「ひとりで美術館ハシゴ旅」について☆

・記事の内容は宇佐江個人の主観や感想に基づくものです。公式なものとは一切関係ありません。
・タイムスケジュール優先の旅ですので、各展の適切な鑑賞時間より短い場合があります。
・美術館に関する情報は、各施設のHPや広報等を一部参考にしております。
・情報は当時のものです。実際に行かれる際は各公共交通機関や施設の最新情報を必ずご確認ください。


それでは出発~!


(本文はエッセイ形式でお送りします)


①9:15~11:00/おかざき世界子ども美術博物館

◆開催していた主な展示『はしもとみお木彫展』

広い公園に囲まれた美術館

訪れた日:2023年5月の平日
移動①/名鉄…名古屋8:11発→美合8:55着。タクシーで現地まで10分弱

現地まで行けるバスは生憎なく、最寄り駅からタクシーで。「歩いては…無理ですよね?」と運転手さんに訊くと、30分くらいはかかるのではないかとのこと。ほとんど一本道なのだが、左手に住宅、右手に田園。ひとっこひとり通らない…。確かに、慣れない者は素直にタクシーが良さそう。
「帰りも呼んでいただけばすぐ来ますんで」
と気さくな運転手さんに見送られ、うんと伸びをして、緑豊かな敷地へと入った。

「おかざき世界子ども美術博物館」という長い名前の同館は、私が生まれたのと同じ1985年、日本で初めて子どものための本格的な美術博物館として開館した(岡崎市ホームページより)。世界的有名作家の10代のころの作品が所蔵されていたり、建物内には「親子造形センター」という、とても充実したものづくりのための設備もある。手作り感あふれる雰囲気はまるで学園祭の模擬店みたい。通るだけでもわくわくした。

2階にあがると、世界の絵本が揃う図書室や、子どもたちの描いた力作が展示されている。驚いたのは、フレスコ画や版画など、本格的な絵画技法の説明がずらりと廊下に並んでいたこと。
美術博物館って、各館コンセプトがちゃんとあるのに、訪れた人になかなか伝わらず勿体ない…とよく思うのだけれど(大抵パンフレットやHPを見て後で知る)、ここは「THINK(考える)」「SEE(見る)」「DO(作る)」という同館のコンセプトが、行くだけでちゃんと感じられてすごいなあ~と思った。
交通はやや不便だけれど、子どもたちはもちろん、おとなにもぜひ来て欲しい。

ちなみに、企画展『はしもとみお木彫展』の感想はとてもここでは語り切れないので、次回の記事であらためて。


ーお昼休憩(11:15~11:40)ー


美合駅近くで味噌ラーメンとキムチ炒飯、なんと790円セット。


②12:20~13:10/岡崎市美術館

◆開催していた展示…ロビー展示のみ

茶色のインパクト!

移動②/名鉄…美合11:44発→東岡崎11:48着。バス…東岡崎→岡崎警察署前(約7分)

美合から東岡崎は隣駅なのであっというま。しかし、最寄りのバス停「岡崎警察署前」からは徒歩3分のはずなのに、美術館らしきものがまったく見当たらず焦る。来た道を少し戻ると、岡崎警察署があり、その裏手に「わっ」と想像以上に大きくて立派な美術館が見つかった。

岡崎市美術館は意外にも、県内では愛知県美術館に次ぐ2番目の美術館として1972年に誕生。当初は同じ敷地内にあった図書館が移転したのをきっかけに、その建物を美術館の「東館」として活用。昨年からは、2階部分に現代作家の公開制作などが行える「岡崎アートヴィレッジ」がオープンしている。

ホームページを観る限り、展示室がたくさんありそう…と思っていたのだけれど、私の調べ不足で、この日はほぼすべてがクローズしており、観られたのは本館ロビー展示のみ(無料)。地元出身の天才画家・村山槐多かいた直筆のピンク色のラブレターなどをじっくりと鑑賞した。
村山槐多と並んで紹介されていたのが、同じく岡崎出身の山本かなえ(村山槐多が従弟なのだそう)。子どもたちに、お手本を真似る絵ではなく、自由に絵を描かせようという「児童自由画教育運動」を全国に広め、誰でも描きやすい画材として、あの「クレパス」をつくった美術界の偉人である。

東館には《ミロのヴィーナス》の立派な実物大複製を始め、たくさんのデッサン用石膏像が並んでいた。画塾に行けない学生には、ありがたいだろうなあ。
まちなかにある美術館らしい、市民が美術に親しむための居心地よい施設だった。

(予想外に時間が余ったので、バスが来るまで近くのイオンモール岡崎のロッテリアで小1時間休憩。)

③15:15~16:15/刈谷市歴史博物館

◆開催していた主な展示『北斎漫画』

住宅展示場のような佇まい。

移動③/バス…商工会議所前(岡崎警察署前の隣の停留所)→東岡崎(約10分)。名鉄…東岡崎14:18発→(知立で乗換)→14:41刈谷市駅着。駅から迷いながら徒歩約20分


名鉄刈谷市駅(「刈谷駅」もあるので注意!)からバスも出ているようだけれど、徒歩でも行けるみたいなので歩く。亀城公園という大きな公園を通り過ぎ、刈谷市体育館の先に、真新しい刈谷市歴史博物館が姿をあらわした。

2019年にオープンしたばかりの同館。ホテルのような玄関を抜け、チケット売り場へ。内観も美しくて、思わず「ロビーの写真、撮ってもいいですか」と係の人に訊く。大丈夫とのことで、しばし撮影タイム。

天井が、すごい!

おちついて洗練された雰囲気といい、木のにおいといい、博物館や美術館というよりは、能楽が行われる音楽ホールのよう。
企画展『北斎漫画』もおもしろかったけれど、常設が印象的だった。特に、1階にあった「お祭りひろば」。薄暗い展示室に、笛や太鼓のお囃子が大きく鳴り響き、はっとするほど美しい山車や祭り道具がぼわんと神秘的に浮かび上がる。圧倒される空間に、しばし放心。
この部屋を訪れるだけでも来て良かった、と思った。


その他のおすすめ2館!

今回、すごくおすすめだったのに日程の関係で休館だった、同じエリアの美術館をあとふたつご紹介。

ひとつは岡崎市美術博物館。今回訪れた「岡崎市美術館」と名称が非常に似ていて間違えやすいけれど、場所的には、世界子ども美術博物館の方が近い。東岡崎駅からバスが出ているので、わりと行きやすいと思う。
ロケーションがとてもすばらしく、建物もうつくしい。
※2023年の6月末までは改修工事のため休館中。

もうひとつが、刈谷市美術館。公立美術館らしい落ち着いた佇まいだが、展示ジャンルがけっこう個性的。近現代の美術の他、ポスターアートや絵本、イラストなどのコレクションが豊富。JRと名鉄が隣接している、便利な刈谷駅が最寄り。

今回のハシゴ旅は時間的にかなり余裕があったので、本文の①~③の施設の他にこのふたつも組み合わせて、4館くらいはまわれるのではないかと思う。


もし「王道ハシゴ」をしたいなら

最後に「愛知の王道旅」をご所望の方へご紹介。

アクセス抜群なのはやはり、愛知県美術館&名古屋市美術館。企画展も充実。雰囲気が素敵だな~と思うのは、ヤマザキマザック美術館メナード美術館。どちらも落ち着いた空間で、ゆったり観られる。
名古屋市内から1ヶ所足を延ばしたいなら、現代アートの豊富な豊田市美術館、カーブした壁の展示室がおもしろい清須市はるひ美術館、地元画家の名を冠した一宮市三岸節子記念美術館
他にも観光客に大人気の徳川美術館や、碧南にある藤井達吉現代美術館は長い工事を経て先日リニューアルオープンしたばかり。

ぜひ皆さん、愛知にお越しの際「何もないなあ~」と感じたら、美術・博物館においでませ!




今週もお読みいただきありがとうございました。今回訪れた施設が気になった方は、下にあるウェブサイトをどうぞご覧くださいね。

◆次回予告◆
『ArtとTalk㉘』ときめきまくり、はしもとみお木彫展感想。

それではまた、次の月曜に。



*今回訪れた施設*


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