エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス を観てきた
これは、賞が発表される直前くらいに(ミーハーではないアピール。ミーハーだけど。)
ネタバレ感想です。
俺が見たかったアントマンって感じだった。マルチバースとか可能世界の話をするなら、このくらいやってくれ!っていう想像を超えてきて、すごくよかった。
近傍世界の自分が持つ能力をダウンロードできるっていう設定は、新しくて好きだった。SFとカンフーを食い合わせて迫力のあるアクションにつなげてるとこはマトリックスっぽくもあったけど、マルチバースを標榜する世界観でそれをやるっていう真新しさがあったと思う(僕が映画とかSFを知らなすぎるだけかも)。
ギャグセンスも終始独特なんだけど、個人的に一番好きだったのは、ポメラニアンを鎖鎌みたいに使うとこ。鎖鎌ならぬリードポメ。アジア人が主演の映画として受賞したことが快挙とされる映画の中で動物が愛護されてないとこはポリコレの人々が黙ってなさそう。僕は爆笑したけど。
指がウインナーみたいに進化する可能世界っていうのもね。何なの?どういう理屈でそういう世界を思いつけるのかマジでわからない。しかも、そういう荒唐無稽なギャグの裏でシリアスな夫婦の愛情やらマイノリティやら貧困やら移民やらの話をやってめっちゃ刺さるしおもろいのもね。何なの?(n度目) クレヨンしんちゃんの劇場版とかでギャグの世界にいきなりシリアスな展開を持ってきて異常な面白さをたたき出す理屈と似てると思う。バランスが難しくなりそうなところを本当にうまく作ってて感動した。
あと、序盤で何が起きているかをわかりやすく丁寧に説明しないのも良かった。しばらくしてサブスクで流れ始めたときとか、我慢できないで観るのやめる脱落者が続出しそうだけど。マジで何が起きてるかわからなくてイライラする主人公の感覚と、完全にリンクした状態で観客もストーリーに没入していくことになる感じが良かった。
総じて、すげえ面白いかって言われると、個人的にはあんまりハマれた感覚があったり、何か大きな感情が残ったりするわけではなかったんだけど、ポップコーン残すくらい夢中にはなったっていう、不思議な映画でした。平凡な日本人だと刺さりにくい社会的なメッセージが多いんだろうな、っていうのは感じつつ。