140字小説 21日目~30日目

ネタ切れがすごいですね。よく続いてるよ…

21日目『パチモン』

「見てぇ~。新しく買ったの」
彼女は体からきつい香水の匂いをさせながら、私にバッグを見せてきた
「旦那さんからお金もらってね?グッチのバッグ。20万もしたのよ」
彼女のマウントに適当に相槌を打ちながら、紅茶を啜る。

グッチのロゴはGUTTIじゃなくてGUCCIよ…という言葉はグッと抑えて


パチモンという言葉は標準語なのでしょうか。まぁ、ブランドのロゴってわかる人にはわかるし、分からない人にはわからないですよね。



22日目『夜空を見上げて』

「彦星と織姫星は会えたかな?」
ロマンチックな雰囲気にしたくて、彼に聞く
「そうだね……」 彼は逡巡して、眼鏡をくいっと上げた。
「確かその二つの星はベガとアルタイルという名前でその星間距離は14.4光年で光の速度で駆けても14年半かかるね」
彼は自慢げだ。私は彼と別れることを決めた。


こういうの最適解は「夫婦のあの二人よりも僕らはこんなに近くにいるんだから。なんかドキドキするね」とかでしょうか



23日目『戦争』

親父の遺骨を拾いながら、俺は呆然とした。
生前、デカく見えた親父は案外小さい。こちら喉仏です、骨盤です、と葬儀場の人に次々に説明されても心が追いつかない。
親父の葬儀より大事なことが、今日はあるからだ。
「さぁ、戦争だ」
今日集まった親族は21人。親父は死んだ。膨大な遺産を残して。


戦争だ、ってワードが強すぎて、文章全体の印象が薄まってる気がしますね。もっと別のワードを使うべきでした。



24日目『省略』

「彼女のことですか?
(評判を下げるような報道をされている私たちが)
可哀想ですよね。いじめ
(なんてかまちょをする彼女)
は許せません。私たちがもっとちゃんと
(彼女がいじめられてたと言って自殺しないよう)
見ておくべきでした。彼女のことを思い出したくないので、取材はやめてください」


報道とかってこういうことかなと思って書きました。口に出さなければいいし、心の中が見えないからいいんでしょうね


25日目『常連の救急車』

「こんにちは、よく会いますね」
「えぇ。呼び寄せてるとかで噂になってて辟易しますよ…」
「すいませんね。目立つ音と見た目なもんで」
「謝らないで下さい!こちらとしてもありがたいんですから」
「では死亡確認と葬儀屋への連絡完了したので」
「救急隊員も忙しいねぇ、老人ホームは暇です。では。」


救急車がよく来る老人ホームが舞台です。なぜよく来るのか。とか、昨今の状況で何故老人ホームが暇なのか、とか考えていただければとか思いましたが、分かりにくいですよね。



26日目『それだけの話』

この前さ図書館で本を借りたんだ。なんてことない普通の、ミステリー。連続殺人鬼が出てきて、それを追う刑事視点の話でさ。ミステリーは普通に面白かったんだけど、犯人が分かる瞬間から先のページが読めなかったの。
赤茶色の染みがべったりついてて本のページが開けなかったんだ。それだけの話なんだけどね。


怪談が好きで、よく他人には聞くんですけど、自分の持ちネタがこの話しかないんです。ほかに怖い体験するのは嫌なんですけどね。
ちなみにこのミステリーの犯人は虐待を受けていて、愛着障害を抱いてしまい、精神的におかしくなり、犯罪を犯しています。



27日目『キミを見上げて』

馬鹿と煙は高いところが好き、なんて文句を思い出した。
昔から、お前は縁石に乗ったり、木に登ったりしていた。馬鹿だなぁ、と俺が笑うと決まってお前はトップの奴は一番高いところにいるだろ、と口を膨らませた。
「やっぱり、お前は馬鹿だよ」
首を括って死んだお前を見上げながら、俺は泣いた。


今回は順当に。驚きもなく普通の展開。面白くない。もっと頑張ろう。ネタを考える。


28日目『お見送りは当ホテルで』

このホテルは最高級のサービスをお客様に提供する。
お客様がフレンチを望めば五つ星のフレンチを、クラシックを望めば世界的に有名なオーケストラを用意する。
だからお客様は笑顔でこのホテルを発つ。
「それでは、逝ってらっしゃいませ」
ここは最高級のホテル。ただしこれから死ぬ人専用の。


できるだけ解釈が分かれるものを描きたくて書きました。想定解としては自殺者もしくは死刑囚です。まぁ死ぬことが決まっている人なんてそれくらいですかね


29日目『摩耗する時計』

この時計は使うほど、白くなる時計だ。だからどんどん時間が分からなくなっていく。
君たちは不便だと思うだろうが、体感で大体の時間は分かるし、時間に縛られなくなり、ストレスから解放されるのだ。
ただ、電車の運転士の私としては、遅延や早着が常となり、上司から叱られ続けているのだけは難点ではあるが


ちょっと情報が錯綜しすぎていて面白くないですね。もっとわかりやすい時計にすべきだったかな


30日目『まける』

「お前には負けねぇ!!」
小さい頃、近所に住んでいたガキがよく勝負を挑んできた。そいつよりも3つ年上の僕はもちろんそいつに負けることはなかった。チビだし、細いし、馬鹿だし。僕はもちろん適当にあしらっていた。
「八百屋さん、まけてよ?」
そいつは今では値引き上手な僕の奥さんだ。


同音異義語って面白いですよね。ふと思いつきました。最後の締めの文に少し違和感があります。




ここまでお読みいただきありがとうございました。いつも感想をくれる先輩や、ファボをくれる皆様のおかげで1か月、何とか続けられました。これからもできる限りは続けていこうと思います。どうぞ温かい目で見守ってください。


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