#52 転職エージェントとして働く醍醐味
人材紹介企業で働きながらも、転職エージェントに否定的な記事ばかりを書いている僕ですが、
実際のところ、本業ではやりがいを有難く噛みしめながら働く毎日を過ごしています。
もし人材業界に興味のある方がいれば、参考にしていただきたく、
僕個人が考える、「人材紹介だからこそ感じられる醍醐味」について触れていければと思います。
企業×求職者のWin-Winに立ち会える。
まさに人材紹介のビジネスそのものという感じですが、世のマッチングビジネスに共通する面白みかと思います。
よく言われているように、キャリアアドバイザーとして働いていると、
「売上目標と顧客志向との板挟み」といった類の葛藤は少なからず存在します。
また、企業側の人材需要、求職者側の志向性は双方ともに激しく変化することが多く、
「お互いにとってベストな転職へ導く」というのはほとんど不可能なのが現状です。
(むしろ、どこまでいってもベストは存在しないというのが正解な気がします。)
ただそんな中でも、我々転職エージェントが少しでも理想の実現を追いかけ、
企業・求職者双方の個別ニーズに応じた、マッチングや選考のサポートを行うことで、
ベストは叶えられずとも、「ベターな落としどころのお手伝い」は十分に可能です。
こういった、答えのないミッションの成功を目指すことが、人材紹介をはじめとしたコンサル業の難しさであり、面白みでもあると思います。
企業・求職者双方に一度に貢献ができ、感謝いただけるという、非常にオイシイ立場だと思っています。
第一線で活躍する求職者から得られる多くの学び
日々、転職活動のサポーターとして伴走し、
「おかげで素晴らしい転職できました。ありがとうございます。」と感謝される仕事ではありますが、
むしろ僕の方が感謝すべきなんじゃないか?と思うくらい、求職者の皆さんには多くの学びをもらっています。
キャリアのプロとして働く我々も、全ての業界・職種・家計のリアルを知っているわけではありません。
そういったリアルを知る求職者さんから、(表にはなかなか出ないような)生の情報を仕入れることができたり、
第一線で活躍する1人のビジネスパーソンとしての考え方、価値観、仕事への姿勢を伺う中で、サポーターである自分が自分を見つめなおす機会をいただいていると感じます。
そういう意味で、エージェントと求職者の立場はあくまで対等であると考え、お互いがお互いをリスペクトし合えるような関係性を築くことで、非常に気持ちのいい仕事ができていると感じます。
無事に転職を決定した後は、「お互いに頑張りましょう!」という気持ちで送り出し、
「今日もどこかであの人は頑張っているんだろうな~」と、勝手に切磋琢磨する気持ちになれます。
転職活動という1つのプロジェクトを通して、広く緩い関係が広がっていくことは、僕にとってはかけがえのない財産ですし、
そうして得た知見を新たな求職者へのサポートに役立てることで、好循環が生むことができており、これも1つの役得だと感じています。
幅広い業界へのアンテナが立つようになる。
僕が事業会社の法人営業をやっていた頃は、
新聞を読んでいても、自分の関連する事業や業界の記事にしか関心がありませんでした。
キャリアのプロとして働くようになってからは、
どの業界がどんなトレンドになっていて、今後どういう動きが予想されていくのか?というのは、ざっくりでも頭に入れておく必要が生まれました。
業界知識はビジネスの共通言語なので、無知が過ぎると、カウンセリングや商談で相手をされなくなります…。
最初は大変なこともありましたが、業界の横断的な知見が深まることで、難しそうな経済のニュースも楽に頭に入ってくるようになり、「社会人になるってこういうことなのかな…。」と、社会人3年目で遅まきながらも痛感したことを覚えています。
必要性が無ければなかなか学ぼうとしない僕個人としては、この仕事によって自分自身の世界を広げることができたと感じています。
そんな醍醐味を感じながらも、これからの僕自身は、「どんな人のキャリアをサポートしたいか?」という、専門分野を徐々に狭めていくフェーズにあると感じています。
年代や年収など幅広い層に関わる機会は残しつつも、「この分野で差別化するんだ!」という点は、キャリアアドバイザーとして働く誰しもが、一定の時期を過ぎればブランディングという意味でも考えなければいけない時期にあると思います。
そういった各キャリアアドバイザーの強みを開示した上で、求職者自身が適切な伴走者を選んでいく。そんな社会の一員であり続けたいなあと思うものです。