2023年に読んで面白かった本

2023年も残すところ後わずか。
今年読んで面白かった本を挙げていく。

「綿の帝国」

「換金作物を栽培すると儲かるよ!」という話はよくあるが、主食である穀物やイモ類の栽培をやめると綿花相場が少し下落しただけで食べるものが無くなる。後は債務漬けだ。

綿花栽培の普及と帝国主義はセット。サトウキビ、コーヒー、カカオと同類である。

「エジプト近現代史」

スエズ運河を建設する時に外債で資金調達をしたのが間違いの元であった。
借金のカタとしてスエズ運河はイギリスに取られることになる。

これをわかってイギリスはスエズ運河をエジプトに建設させたのはある。
スエズ運河があればインドまでの航路が喜望峰ルートと比較してかなり短縮できる。

資金調達をしたい時に外債で発行するのはやめようと教えてくれる。


「インドカレー伝」

カレー、タンドリーチキン、紅茶とインド料理全般に関する歴史本。

インド料理の歴史についての参考書では一番詳しい。
タンドリーチキンと紅茶はインド料理の中では新顔。

ムガル帝国やカースト制についても触れているので「インド史について勉強したいけど、小難しい歴史の本はちょっと…」という方におすすめ。

「アメリカン・プリズン」

米国の刑務所ビジネスとその歴史について書いた本。米国では刑務所でさえ民営化されている。民間に任せた方が安いと政府は言っているが、その実態は怪しい。

著者が刑務官として潜入して民間刑務所の闇について暴こうとする。潜入記事はやはり読んでいて面白い。
著者が少しずつ狂っていくのが尚面白い。スタンフォード監獄実験は誰でも起こりうるのだと実感する。

「巨大債務危機を理解する」

凄腕投資家のレイ・ダリオ氏の本。
世界恐慌、ドイツのハイパーインフレ、リーマン・ショックと金融危機が起きた時のデータに基づいて展開していてわかりやすい。

恐慌が起きた時の新聞記事も横に書いてあるので、当時の評論家や民衆がどのように捉えていたかがわかって面白い。

金融緩和のやりすぎで、返せもしない金を貸し付けて債権が焦げ付くと金融危機が起きる。金融危機の前にはコモディティーが値上がりするのも特徴の一つ。

市場は一気にクラッシュするのではなく、時々+40%程度上がってダラダラと下げ相場が続く。底で買いを入れるのは難しい。

「掠奪されたメソポタミア」

イラク戦争時に発生した古美術品や古代遺物の掠奪を書いた本。
フセインのバース党政権が考古学に対して補助金を手厚くしていたのは意外だった。メソポタミアの遺物はイラクのナショナリズム高揚に便利だったのだ。

古代遺物のブラックマーケットや盗掘についても書いてあって面白い。
珍しい遺物を探して売れば、BMWの新車を買えるだけの金が稼げる。そりゃ皆盗掘する。

米国のコレクターがフセイン政権転覆後のイラク政府に対して、古代遺物の輸出規制緩和の圧力をかけようとしていた事実がある。
金持ちの言い分は「豊かな者が美術品を管理しないと美術品は永久に失われてしまう」とのこと。納得はできる。

まとめ

本を読んでも知識自体は役に立たないが、文章を理解する能力や要約してまとめる力は色々な場所で使えるので便利。

今年読んだ本は80冊程度。一冊2,500円と仮定して2,500×80=20万円相当の知識を得たことになる。大半を図書館で借りて済ませたので20万円の税金を取り返したも同然。

高額な専門書は図書館借りるとお得。試し読みしたい時にも図書館は便利。


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