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山は恐いがそれでいい

登山は、僕の趣味の一つである。淡々と身体を動かすのが好き、且つ山が好きなので、登山が好きだ。

山のいろんな表情を見るのが楽しい。だからキャンプより断然、登山だ。泊まるなら山荘泊も楽しい。日々のランニングもスッキリするけれど、なにより登山は完全に非日常の楽しみなのだ。そして、精神と身体が揺さぶられるスリリングな遊びでもある。今日はその事について書こうと思う。


基本的には、木立の中をてくてく歩くだけでも僕は幸せな気持ちになる。登らないハイキングでも十分ワクワクする。

登り始め

でも、登山は危険と隣り合わせの(そしてそこがまたなんとも興奮する)スポーツなのだ。


つい先日の登山。天気予報は午前曇り、昼晴れ、3時頃雨。早めに登って晴れているうちに下山して2時くらいには車に戻る計画を立てた。
登り2時間半、休憩1時間、下り2時間半の6時間コースだ。

しかし、登り1時間過ぎた頃にパラパラと雨が降り出し、直ぐにブッワァーーーー!!!!と降り出したのだ。一気に霧が立ち込めて、雷の爆音が頭上に鳴り響く。

想像出来るだろうか。この時の気持ちの揺さぶられ方は、平地のそれとは全く異なる。雨、風、音、それに温度と湿度の変化がどれも生々しく全身に触れてくるのだ。

爆音の雷と濃霧(でも美しい…!)

直ぐに防水透湿性の優れたゴアテックスのレインウェアを着込む。慌てず素早く判断し行動する。


濃い霧。レインウェアに激しい雨が打ち付ける。
頭は回転する。このまま登り続けて大丈夫か。体力はあるか、時間はどうか、コース変更の余地は。

そう、こういう時だ。アドレナリンがぐわんぐわん出るのは…!!!ゾクゾクする。
雨の中でも登りたい!雨の山を体験したい!頂上まで登って疲れを感じたい!

実際、十分な装備を持っていれば、雨が降ったくらいでは登山を中止にしなくてもいい。でも、やはり雨と汗で身体が濡れると、体力と体温は早く奪われる。体力と気力の両方が、下山完了まで保持されるかどうかをよく見込まなくてはならない。

ここが大事なポイントだ。安全無事な時は気づかないのだが、登山とは本当に「行って、その後無事に帰ってくるまで」が登山なのだ。

登山口に一歩踏み入れてから再びここに帰ってくるまで、己の肉体とザック一つだけで何とかやり通す。そういうゲーム。ゲームに負けたら死んでしまう。

身の危険を感じる登山を経験する度、その事をヒシヒシと感じる。


平地では小さなことでも、山中では大きなことになる。例えば、動いている間は発熱しているからいいが、10分も留まっていると途端に身体が冷えてくる。下界は26度でも、山中は16度。汗と風で体感は恐ろしく寒いのだ。運動、発熱、気化熱、体温の変化にこれ程敏感になるのは山だからこそ。それ故に、レインウェアやフリース、着替え、ガスバーナーなどは実際に生死を分ける持ち物になる。

今回も、頂上で新しい乾いた服に着替え、熱湯で作った「カレーメシ」とウインナーを食べたあとの無敵感と言ったら、言葉で表現するのも難しい。地上で食べるのとは意味も価値も違うのだ。

ショボーン😥からテッテレー!!!!💪☺だ。
(語彙力が無さすぎる)

当初は雨の中を進む脚が重く、濡れて疲れたので、もう来た道をピストンで引き返そうかと思っていた。しかし着替えてご飯を食べたら生まれ変わった笑。元気と笑顔が戻ってきた。
お陰で、予定通りの周回コースを進めた。小降りになったタイミングで景色のいい稜線伝いを満喫し、再び降り出した雨にも負けず、無事下山することが出来た。

楽しい稜線伝い!連なる山脈が遠くまで見渡せる!

とは言え、雨で増水した谷川付近の岩場を降りる時は本当にゾクゾクヒヤヒヤした。ここで滑ったら本当に終わる…と思いながら一歩一歩進んだ。
車に続く舗装道路に出た時の安堵感。安全というのはこんなに有難いものかと、改めて実感する。そして、このギャップでまた山に惹かれてしまうのだ。


山において、「温かいこと」と「乾いていること」は死ぬほど重要だ。空腹で濡れて寒い状態が長く続くと、体力が無くなり、ついには気力が無くなり、動けなくなってしまう。そうなってしまったら終わりだ。遭難して、救助が必要になる。

大事なのは、気持ちが折れないようにタイミングを図ること。お腹がすく前に食べる。こまめに水を飲む。雨が降り出したら直ぐにレインウェア。足がつる前に止まってストレッチ。そうやって、危険な状況を先先に予測回避することで、無事にゴールまで辿り着けるのだ。油断&過信は禁物。気力が一度折れたら、山で再度立て直すのは大変なのだ。



それにしても、なんでわざわざこんな危険な所にすき好んで向かうのか。

それは多分、危険だからこそ生きていることを感じ、非日常に身を置くことで日常の価値を最確認出来るからでは無いだろうか。


山は不便で危険で恐ろしい。だがそれでいいのだ。日常は便利で安全で平和だ。その有り難さが、たまに分からなくなり、小さいことでウジウジし出す。そんなことだから、また山に向かうのかもしれない。


山は、いいですよ~笑

山頂の三角点と登山靴


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