「電子書籍」と「図書館司書」
2022年。八洲学園大学に入学してからまだ半年も経たないある日。私は科目履修試験に向けて勉強をしていたのだけども。
夜勤から帰ってきた姉が放った一言にカチンときました。呆れて逆に言葉が出なかった、って書くのが正しいんでしょうかね。
「電子書籍が増えてるのに、図書館司書って必要なん?」
「司書」は国家資格です。誇れる(はずの)専門資格のはず。社会福祉士とか臨床検査技師とかみたいに「資格取得試験」を受験する必要はないんですけど、取得方法は3種類しかありません。
司書の資格は「最速でも20歳を超えないと取ることができない」ということです。実務経験を積めるといっても、図書館への配属は門が狭すぎます。運よく配属されても数年のうちに違うところへ行っちゃう職員が多いと思うんですよね。ほら「公務員=異動するもの」みたいなイメージがついちゃってるので。
今でこそ図書館情報学を学べる大学は増えてきたけど、少し前まではこんなに存在しなかったようです。
図書館業務は地方公務員の扱いだから、採用されない限り正規職員として働くことはできないとされています。公共図書館なんかは必ず1人は公務員がいます(と思います)。学校図書館もそうで、司書教諭は教員免許が必須、これは必然的に「教員」が請け負うからなんですが(学校司書だと、また変わってくる)。大学図書館はまた違うみたいですね。
図書館の勤務は専門性の高いものである、ということがこの本に書いてありました。「十年勤めてやっと一人前の仕事ができる」とあるし、これだけやれば立派な専門職。スペシャリスト。年々増える利用者数から見ても少数の職員だけですべてまかなえるはずもないから、非正規雇用とか非常勤とかで職員を雇っている現実問題もあります。
異動しない公務員ってあんまり聞きません。上にも書きましたが公務員は「数年で異動する」イメージがありますよね。希望を出せば残れるのかとか、逆に希望したところに行けるのかとか考えたこともありましたが、地方公務員の知り合いなんていないから、このあたりはよくわかりません。警察官とか消防官みたいに、司書も別枠で設定すればいいのにと思ったこともありました。といっても警察官だって数年で異動しますもんね。
異動するしないにかかわらず「図書館司書」は専門職なんだって書いてあるのが久保さんの本で。他にもいくつか同じようなことが書いてある本があるから、気になった方は図書館で探してみてください。
八洲学園大学の「レポートの書き方入門」で、これを題材にしてレポートを書きました。戻された時「問題が大きいかも」「問題意識については全面的に賛同します」とコメントをもらったので、ちょっと書き直して再提出しました。
1回目に戻された時「これが卒論だったら話は別ですが」とも書いてあって。なんだっていきなり卒論レベルのことを書こうとしていたのか私は。それとも問題を大きくしすぎたから「卒論でどう?」と誘っているのか……
「レポートの書き方入門」で図書館司書の資格の重要性を訴えたって仕方がないのはわかっています。だけども2回目の課題が「自分で調べたことを報告型レポートにまとめて提出」というもので、早いうちから「図書館概論」「図書・図書館史」を履修したからかなーなんて思います。でもそのおかげでレポートが書けたし、評価も悪くなかったから、卒論はこれで書いちゃおうかな。
結局のところ「司書」の資格がちゃんと活かされているかどうかなんて、誰にもわかりません。わからないんですけど、調べれば調べるほど「実態不明」の資格に見えてきて不安になっちゃった、が正直なところかもしれません。だから姉も「図書館司書(ふーん)?」みたいな感じで鼻先で笑ったんでしょうね、きっと。機能しているしていないの前に「資格試験が必要ない国家資格だから」「司書の資格がなくても働けてしまうから」余計なのかもしれません。
私が「図書館司書の資格を取る」と言った時は、司書の説明を、なんでかわからないけど私の代わりに喋ったのに(学校で働けるってところだけ)、その時と態度が違うのがすごく気になりました。そこまで言うことないじゃないか。ねえ。
「司書資格は国家資格です」図書館で働いていなくても、有資格者が胸を張って言えるようにならないかな。あと、地方公務員以外でも図書館の「正規職員」として働けるようにならないかな。
私が公務員試験に間に合わなかったから足掻いているわけじゃなくて、これは心からの願いです。司書の資格を持っている人はたくさんいても、結局のところ資格を活かしきれていない人がたくさんいるというのを「図書館概論」のレポートを書いた時に感じまして。上にも書いた通り、年間の取得者が1万人を超えているのに図書館への採用は超絶厳しいときています。理由は「欠員が出たら募集」で、職員の増員をする気配が一切ないからなんですけど、そこで欠員が出たら「司書の仕事がしたい」人が一気に集まります。有資格者も無資格者も関係ありません。だから必然的に倍率も跳ね上がります。
資格を活かせる場所って図書館だけでしょうと聞かれても、本がある施設って大抵が自治体管理の児童館とか資料館とかが多いんですよね。となると必然的に地方公務員になっちゃいます。実際に働いている人に「資格は持っていますか」と聞いたとして「実は持っていないんです」と返ってくるかもしれない。学芸員は資格がないとだめだったような気がするんですが、どうだったかな。
「司書」資格は年間の取得者も多いし、図書館以外で活かし方があればいいなと思っているのだけども。だから教員にあんな感じで聞いてしまったのかもしれないです。すみませんでした。
「問題意識については全面的に賛同します」
司書資格の専門性と正規職員の採用枠を増やしてほしいのと、ほんとうに地方公務員じゃなきゃだめ? ってことが今の「最大の疑問」。調べてみたら、学芸員(博物館とか資料館とかにいる専門職の人)も、司書と同じような境遇に立たされているらしいことを知りました。
どっちも誇れる文化遺産を保管しているんだから、非正規だろうが正規職員だろうが有資格者を積極的に使ってほしいな〜、なんて。
一応、法改正は求められているようで……いい方向に進んでいってほしいです。でも「求められている」だけだから、希望は薄いのかもしれません。
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司書資格についてあれこれ書いたけども、タイトルをガン無視しているわけじゃないですよ。
デジタル化が進む今、電子書籍のほうが需要がある、みたいな感じになりつつある気がするんですけど、情報発信媒体は「紙」と「電子」、正直どちらでもいいと私は思っています。要は「わかりやすくて見やすいもの」が好まれるんじゃないかなと。2つともメリットがあって、デメリットもあるし。
紙…
・本という感じがある、実際に手で触れる、書き込める、ブックカバーをつけられる、「読んでいる」感覚がある、帯が楽しい、いつまでも持っておける(保存環境がよければ)
・紙特有の弱点がある、経年劣化する、物理的に保存場所を取る、書籍によっては重量がある
電子…
・持ち運びが楽、物理的に保存場所が気にならない、手軽に購入できる、現物に直に触れる心配がないので劣化を遅らせられる
・出力媒体がないと読めない、「読んでいる」感覚が薄いorない、突然「読めなくなる」リスクがある
私の頭で考えられるだけのものをあげてみました。まだありそうなんですけど、これ以上書いたら「読み書きに障害がある人のための」まで書かないといけない気がするからやめておきます。
お出かけするのが難しい今みたいな時は、電子書籍って結構便利だなーとは思います。同期の人は電子書籍で何冊も読んでいるそうで。それでも手が出せないのは「読んでいる感覚がない」からです。紙をめくる時の「ぺら」という感覚が好きなんですよ。音も好き。
こうは書いたけど、紙でも電子でも「書籍の形を取っている」なら、それはもう立派な「本」。本である以上、司書だってこの「本」の存在を気にしなくちゃいけない。
「電子書籍が増えてるのに、図書館司書って必要なん?」
こんな言葉は二度と聞きたくないですね、ええ。
むしろ電子書籍が増えても、司書の必要性って昔と変わらないはずなんです。この発言をそのまま取っちゃうと「電子書籍の時代だから図書館は不要だ!」って言っているのと一緒です。
そんなことはない。さっきも書いたけど「書籍の形を取っている」以上、電子でも紙でも、それは立派な「書籍」なの。形が違うだけで「本」なの。管理する人は必要なのってこと。
電子書籍オンリーの世界になったって、図書館がなくなることはあっちゃだめなんですよね。図書館がある限り司書も必要。司書は図書館のスペシャリストなんだから、電子書籍系だってなんだって関係ない。というか、保存しているのは「本」だけだと思っていませんか?
私は本が好きです。学生の頃より読まなくなったけど、それでも本は好き。だから司書の資格を取りたいんです。公務員として働けなくても、司書の資格を活かせる場所があったら行きたいもの。
図書館業務以外でも「司書」の資格が活かせる仕事、あればいいのにな〜。どこかに落ちていないかな〜