汐留的、売り子の心得

割引あり

(本文はすべて無料で読めます!)

やあ皆様こんにちは。
ゲムマの2日間とも夜ごはんをラーメンにしてしまった罪深き妖精です。

いや〜ゲムマ!終わってしまいましたね!毎回一瞬だった!と小並感なことを言っていますが、今回も本当に一瞬でした。3秒で終わったよね?ほんと。会場を駆けずり回っていた汐留ですが、「メロンパンが通ってった!」「色んなとこで見かけた」「実は3人いる?」など様々な感想を頂きました。真偽は伏せておきます😉

さて、ここからが今回の本題となります。
皆様、今回のゲムマ、

どうでしたか?

…アバウトすぎて草。

いや、具体的にいうと、自分が納得できるゲムマだったでしょうか?
出展者の方々は自分のボドゲは売れましたか?そして、面白さを伝えられましたか?来場者の方々はビビッとくるボドゲに出会えましたか?素敵な制作者様とお話できましたか?売り子だけの方は自分のブースのお手伝いが精いっぱいできましたか?

2023年秋のゲムマ、来場者数も増え、ライト層の方々、女性やお子さんもよく見かけるようになりましたし、今回初出展!というサークルさんも多かった印象が強く残っております。
(この記事ではボードゲームをやったことがあるないは関係なく、ボドゲ垢を持っていない、ボドゲ会やボドゲカフェに行ったことがないなど、深くボードゲームが日常に入ってきていない方々のことを、総称してライト層と明記していきます。認識とズレがある方もいると思いますがご了承ください。)


そんな中で私が少し感じたこと、それは

売り方のアプローチが惜しいサークルさんがあった

休憩時間をもらった際にさらーっと会場を一周いたしました。気になるゲームがある場所は立ち止まって軽く概要やインストを聞いたり、チラシをいただいたり…ただそんななかで、アプローチの仕方がもったいない!!!と思うサークルさんが、今回とても多かったように感じたのです。上から目線になってしまい申し訳ないですが、制作者様に説明をしてもらっているのにそのゲームの面白さが全く伝わらない!!!なんてこともありました。

ただ、そんな気持ちになった後、冷静に考えてこう思ったのです。

「…まあそりゃそうか。」

そんなのあたりまえなんです。ボードゲームの制作者が接客が得意、人と話すのが得意、伝えるのが得意、なんて方程式は1ミリも成り立たないのです。ゲムマだけにとどまらず、
・人に刺さる(面白い)ものを作るスキル
・わかりやすくインストをするスキル
・面白さ自体を伝えるスキル
・相手に合わせたアプローチで売るスキル
はまっっっったくといっていいほど別物です。

それらをすべて一人で担わなければいけない制作者はもう本当に大変だともちろんわかっております。ボドゲなんて作って製品化して売るところまでできている時点で優勝です。そんなところまで考えられないよという気持ちもあると思います。

だからこそ売り子という存在がいるのです。

私はここ5回くらいのゲムマをすべて売り子専門で参加してきました。実は今通っている大学でも、少しばかり接客や対人スキルの勉強をしております。いつもは自分のことをその辺のほこりと同じレベルだと思っていますが、そんな私でも売り子のスキルだけは自信をもってあると言い張れます。

……嘘、ちょっと自信ないけどね、ほんとは。

なので、今回この記事は~汐留的、売り子の心得~と題しまして、普段私が売り子(接客)をする上で考えている事、意識している事、売り込むための方法やコミュニケーションのコツなど、頭の中をすべて書いていこうと思っております。ここで、いくつかの注意事項だけ列挙させていただきます。

・あくまでも汐留の主観100%で書いていきますので、それは違うよ…と思ってもそっと心の中に秘めておいてください
・これを読んですべて実行したらうまくいく!という保証はございません。そんな考え方もあるんだーくらいで読んでいただけると嬉しいです
・私はボドゲ制作をしたことはございません。その点で間違えた解釈がありましたら申し訳ないです
・容赦なくボドゲの専門用語を使います。そこまで複雑なものは出していませんが、わからない場合はググッてくださいごめんね。
・一番最後におまけをほんのちょっとだけ用意しておりますが、基本、記事の9割9分は無料でご覧いただけます。もしすべて読んでいただいていいな!と思っていただけた方は、そちらもチェックしてみてください。

では、死ぬほど長い前置きはこの辺にして目次と行きましょう!


前日までにやっておいた方がいいこと

大まかな準備

まず、ゲムマの事前準備についてです。ほかのところの売り子さんがどうかは分かりませんが、基本的に私は
・基本知識の把握
・ルールを把握(出来たら試遊)
・推すポイントを決める
の3点は外さずに行っています。
まずは基本知識を把握しておくこと。当たり前ですが、自分のサークルのボドゲの名前、おおよそのプレイ時間、人数、どんなジャンルか…などは頭に入れておきます。ゲムマでは思ったより何人で遊べるかが気になる方が多いので、その辺の情報は漏れないようにしておきましょう。あとは、複数ボドゲを出しているサークルの場合、どれが新作で旧作か、どれを売りたいかなども何となく聞いておきましょう。
そしてルールの把握。一番理想的なのは、制作者と一緒に試遊をすることですが、それができなかったとしても最初から最後までルール説明自体はできるようになっておきます。サークルの運用によっては、インストは制作者がするぜ!という方針のところもあるとは思いますが、残念ながら人間は分身できないのです。一人に説明している間に他の方が来てくれた際、説明できずにわたわた…なんてあってはいけません。100%とは言いませんが、一連の流れくらいは人に説明できるようになっておくことが必要だと思っています。

そして、推すポイントを決める。これが一番大切です。自分が読んだ、遊んだ中でここがこのゲームのおもろいポイント!と思う点を一つに絞って決めておきます。ここで私が意識しているのは、制作者の推しポイントと被っていなくてもよい、というところです。ボドゲの制作者からすると、だいたいここを楽しんでほしい!というポイントがありますよね。もちろん、そこが一番楽しいんだ!!と思ったらそこを相手にアプローチしていくのが正解。しかし、自分がこのゲームで面白いと思うのはここなんだよな…と思うなら、そこを推していくことをお勧めします。やはり自分も相手も一人の人間なので、心から思ったことを前面に出す方が相手に伝わりやすくなります。そして、会話していく中で自分の感情の説明が何よりしやすいのが利点です。
「ここが○○で△△なのが面白くておすすめです。」
よりも、
「ここが○○で△△なのが私的に面白くておすすめです。」
の方が、なぜかより面白そうに聞こえませんか?()
一般的に面白いとされるものの説明よりも、自分の感情を説明する方が明らかに伝わりやすく、硬くなりづらいです。この人は本当にお勧めしてくれてるんだなという信頼度が上がるような、そんな気がします。なので、私は前日までに、伝えたいポイントはできるだけ用意しています。

……………まあ後はよく寝ようね。ほんとに。みんな前日ぎりぎりまで頑張っているけど、結局睡眠って大事なんだよね。当日の接客のクオリティも変わるし顔色悪いと心配になっちゃうからね。できたら6時間以上は寝ようね。

SNSでの運用の仕方

ここからは少し脱線しますが、売り子の人がSNSの広報もするよ!というサークルさんもいるのかなと思いますので、そこでのポイントを少しだけ…!
(正直な話、個人アカウントとサークルアカウントを一緒にするのは、わたし的に全くおすすめできません。個人と仲良くしたい方からしたらサークルの宣伝ばかりに普段ツイートが埋もれるのは寂しいですし、サークルを見に来たのに日常ツイばかりになっているアカウントだとさくっと欲しい情報が出てこなくて困ることもありますし…。今回はその辺をあまり考慮に入れないポイントだけ抜粋致します。)

SNSで拡散する際には
・投稿時間
・ツイートの見た目の印象
・投稿内容
さえ押さえておけばたぶん何とかなります。

まず、朝一番にツイートしている皆さん。今すぐやめましょう。基本的にツイ廃の一番息をしている時間は19時~24時あたり。そして、大体私がこのツイートいろんな人に見てもらいたいな…と思ったら、21時あたりに投稿しています。そのあと、22~23時あたりにリプか引用でもう一度TLに流すと、より漏れがないかなと。深夜4時とか、14時とか、だれも見ないのよ。ちゃんと人がたくさんいる時間を意識しましょう。

そしてツイートの見た目!これも基本的ですが、商品画像を絶対貼ること。何回も使っている画像でも何でもいいです。これは私調べですが、Twitterは画像ツイートの方が間違いなく人の目に留まります。これは絶対にそうです。なので、おすすめは1枚どん!とメインビジュアルを貼って、リプ欄に説明やプレイしているときの画像…ですかね。そして、できるだけ絵文字を使うこと。TLで目立たせるためにはカラフルな絵文字が必須。商品のイメージに沿って(海モチーフなら魚や水、機械モチーフならビルや歯車など)1文に1つずつ入れるだけでも効果があると思います。おじさん構文にならないよう注意してください。

投稿内容については、タイトル、値段、ブース名、ゲムマのハッシュタグ、キャッチコピーや一文での説明が入っていない物はお話になりません。欲を言うと予約フォーム、説明書、人数、時間、ゲムマのHP…とかかな。添付している画像に載せて、ツイート自体はすっきりとさせる!というのもいいと思いますが、そのツイートひとつで基本情報がさらえるようにしておきましょう。
ツイート内容で思ったより大切なのがハッシュタグ!これは初出展の方ならぜっっっったいにつけましょう。0から見つけてもらうきっかけは、大体ハッシュタグか自薦のふたつしかありません。タグをつけておけば、とりあえず事前に見てくれる人の母数が段違いになるとは思います。
後、自薦ツイートってあんまりするとしつこそうでいやだな…と思っている皆さん。実際当日売り子をしている際、自薦していただいて気になったので来ましたって方、います。しかもそこそこいます。自薦してください!のツイートには、条件があてはまっていたらリプをしていくのがいいかな~と。そのために、ひとつのツイートで簡単に概要説明できるテンプレを作っておくと楽かなと思います。

最近のTwitter、いっぱいツイートしてる人、いっぱい反応してる人のツイートを優先してTLに流すようなシステムになっています(たぶん)。普段から空気が薄いアカウントになってしまうと、全然おすすめに表示してくれません。ツンデレだなあ…。なので、ゲムマ前1ヶ月くらいは、できるだけ毎日なにかしら言っておいた方がいいのかな〜とはおもいます。まあこれは保険のようなものです。
SNSは運用が苦手な方多いと思いますが、カタログをペラペラめくってたまたま見つけてくれる…なんて本当に珍しいです。ゲムマ前期間はできるだけ頑張ってTwitterを動かすことをお勧めします!!!ちなみに、ゲムマHPもしっかり作っておくのがいいです!TLは流れますが、HPは流れないので…

…ここまで読んで、もうTwitterじゃなくてXだし、ツイートじゃなくてポストだし、ツイ廃なんてねえよと思った皆さん。うるせえよ。

当日の動き

当日まで来てしまえば、あとは来てくれたお客様に売るだけ!…ですが、まあ当日が1番考えることが多いわけで。ここからがこの記事の本番ですからね、細かく区切って書いていきます。

ブースでの振る舞い方

この章ではブースにいる時の振る舞い方について書いていきます。まあ、ここは接客について基礎の基礎になるので皆さん分かりきっていると思いますが…。少し深掘りしていきます。
笑顔で話す、声を高めにハキハキと…などは普段言われている事だと思いますが、私が意識しているのは
・パーソナルスペース
・通る声
・相手を見る
の3つです。

1つ目はパーソナルスペース。近すぎても遠すぎてもダメです。…そりゃそうだろ、ってなりますよね。ただ、だいぶ大事なところではあります。大事なポイントは、真正面から迫らないこと。基本的にブースと通路の関係上、目の前になってしまいますが、意識的に直線からは少しズレて話しかけた方が圧が少なくなりますし興味が薄いお客さまがはけやすくもなります。なので、斜め前辺りから声をかけると良いと思います。お店などで接客をする際は横から話しかける、というのが一般的なのですが、ゲムマなりに落とし込むとこうなります。人が思ってるより距離は近く感じるので、基本的には一歩引いて対応しましょう。そこのあなたに言ってますからね。あなたに。

2つ目は声。声なんか人によるし、汐留の声はよく通るし、そんなのどうしようもねえよ!となるのは分かります。音階のソの音で話すといい…とか色々言われていますが、汐留が今すぐできることとして挙げるなら、語尾を上げることですかね。
語尾が下がってしまうと、テンション的にとても低く聞こえます。私でもそうです。なので、語尾を意識的に少し高めに発音すると、聞き取りやすくもなります。後はハキハキ喋る。これも意識的にですね…声を大きくすることを考えるより、1音ずつ伝えるのを、意識する…言葉を区切る………まあここまで来ると売り子と言うより接客の話になっちゃいますねw

3つ目は相手を見る。この後の声がけやチラシの章でも書きますが、敢えて悪い言い方をすると人を選びましょう。どういうことかと言うと、
・バタバタとメモを見ながら早歩きの人
・イヤホンをしながら、ほかのブースもキョロキョロしている人
・明らかに自分のサークルのボドゲと違うジャンルの戦利品を抱えている人
このあたりの方は、だいたい話しかけても自分のブースのターゲットでは無い方が多いです。逆に、
・近づいてきてくれる人
・こちらのブースに指を指している人
・まったり見て回っていそうな人
には積極的に声をかけたいですよね。何を言いたいかと言うと、100人中100人に話しかけていたら、こちらの体力が持たないと言うことです()
もちろん、自分たちのゲームに興味がなかった人に広められたら本望ではありますが、出来るだけこちらからのアプローチが効きそうな人かどうかを伺っていきましょう。接客の対応を人によって変えるのは良くないですが、接客の段階を人によって変えるのは、失礼とは異なります。あんまり長々話されるのが嫌いな人にインストを1から100までやるのは愚行ですし、興味がある人を挨拶だけで流してしまうのも大変もったいない。ここのポイントは正直慣れもありますが、できるだけ自分のエネルギーを割くポイントを見分けられるとお客さんにとっても見やすいブースになるのかなと思います。

客引きのコツ

客引きと言うと聞こえがそんなに良くないな?w
お客様への声がけの仕方です。ブースに呼ぶと言うより、通路の人の気を引く、という点について書いていきます。何を言えばいいの?という話ですが、私がいつも言ってるのは、
・挨拶
・キャッチコピー
・ゲームジャンル
の主に3つです。

まあ挨拶は挨拶ですね、こんにちは〜とか。これ、わりかしやらずにそのままボドゲの宣伝にいく方も多いですが、挨拶がある方がブースとしての印象も上がります。そして何より、1番の利点は向こうからレスを返しやすい点にあります。ゲームの説明やいかがですか〜などの声がけは、私たちからの一方的な情報にすぎませんが、挨拶は30%位の確率で向こうからの発声が返ってきます。ただの音声情報から、コミュニケーションになるわけです。コミュニケーションになった時、人は多少なりともこちらに視線、そして気が向きますよね?そこから気になってこちらに来てくれる方も多いです。お客さまと売り子、という関係を変えないまま興味を持って貰うには、最適解だと考えています。そして、挨拶に関しては、目を合わせに行くのも大切です。「あなたに対して話しています!」という気持ちが伝わると、「立ち止まるか~」という意欲を引き出すことが出来ます(多少強引ですがw)。こちら是非近くでご覧下さい、などのセリフも、大衆向けの宣伝というより、コミュニケーションの初めとしてターゲットを決めてその人あてに声をかける、というイメージの方が上手くいくのかな〜と思います。

次はキャッチコピーです。例えば、全く新しいゲームとして、将棋を売ると仮定した時、
「20枚の持ち駒を交互に進めて相手の王様を取るゲームです〜!」
より、
「敵国の王様を追い詰めてみませんか〜?」
「王様の首、取りたくないですか〜?」
の方が、興味が惹かれませんか?キャッチコピーはシステムではなく、多少大袈裟であっても、そのゲームのテーマやモチーフ、ストーリーを紹介するのがいいと思います。あとは、自分の口に馴染むくらいの長さであること。ゲムマでは、基本的に自分のブース前での滞在時間が3秒ほどです。その中で情報を聞いて欲しい時に、だらだらと説明をしていても、その中の一部分しか脳みそに残りません。例の場合、上のセリフの方が、分かりやすく説明をしていますが、売り子の呼び込みで大事なのは説明よりも印象に残るかどうかではないかなと思います。後で戻ってきてくれたりしやすいのはもちろん印象が強い方ですし…。なので、ひと言でこのゲームを印象づけるセリフは、当日までに用意しましょう。

後はジャンルです。まあ、こちらは簡単な説明、という形です。将棋だと、「中量(重量)級2人専用アブストラクトです〜」など。これも、上記した相手を見る、ということに関わってきますが、ボドゲをよく分かっていそうな人や、スーツケース、大きいリュックを抱えてる人などが通る際は、ひと言で説明できて、好きな人は寄ってきてくれるいい宣伝文句と言えます。ただ、ライト層の人が多めな時にこれを伝えても何も分からず逆効果ですので、そこはしっかりと見定める必要があります。

売り子の皆さんがよく言いがちでわたし的に別にいらないんじゃないかなあ…と思うのは、
・ゲームタイトル
・面白いですよ!などやんわりとした褒め文句
です。タイトルは、印象に残すために必要ではありますが、ボードゲームを購入する際にタイトルが悪くて買わないという人は、そうそういないのではないでしょうか。(タイトルでやることが分かる、ダジャレなどでかかっている、語感がよく宣伝文句によい!などは例外です。)

そして、面白いですよ!1分だけ見てって!お姉さんお兄さん良ければ!という、気を引くためだけの声がけ。これは、あまりにも視野を狭めすぎです。相手が聞くのはせいぜい2文ほど。そのうちひとつをこれに使ってしまうのはとても勿体ないし、売っているものの情報がさっぱり入ってきません。(これを言うのであれば、挨拶の方が強引さが薄いかな〜と。)せっかく売り子としてブースにいるのなら、ターゲットを決めた上でそれ以外の方の耳に入っても有益な情報を積極的に流していきたいですね。

チラシ配布のコツ

これ!困ってる方も多いのではないでしょうか。今回から通路に出ての客引きやチラシ配りが禁止になったため、どうしたものか…と私もなりました。そんな中で、そこそこの数のチラシを配った私から言うと、立ち止まった人には渡す、これにつきます。声がけに反応してくれた方、もれなく全員に渡す気持ちでいましょう。チラシは、自分の手に取りやすい裏に半分、お客様の手の取りやすい表の場所に半分置いておくといいかなと思います。しかし、表に置いてある分なんて、自主的にはほぼ持っていって貰えません。
よって、

1、自分から持っていってもらおうという気持ちを無くす
2、お客さま自身で立ち止まってくれた場合、表に置いてあるものからすっと渡す
3、自分から声がけした場合、裏からすぐ渡して、すぐに立ち去ってしまってもチラシだけは持っていってもらう

というのがスムーズな流れかな〜と思いました。チラシは、思ったよりみんな貰ってくれますし、断る人も別に嫌な気持ちにはなりません。そそくさと立ち去ってしまいそうな雰囲気がする人ほど、すぐに渡す必要がありますし、ゆっくり見てくれてる人には印象を強くするためにそっと渡しておきたいですよね。そこも上記した相手を見る、という点になりますが、正直ターゲットを絞る必要はないため、積極的にばらまいて行きましょう。通路側に立てない以上、歩き途中の人には渡せないため、近づいてきてくれた人は逆にそこそこの確率で受け取ってくれます。

そしてチラシを渡す時の声がけですが、だいたいはインストへの導入としています。例えば、
「もしよければ簡単に説明致しましょうか?」
「ざっくりとした流れだけでも聞いていかれませんか?」
「こちらイラストはかわいいのですが、ゲーム自体はかわいくないルールとなってまして…w」
「この中で気になるゲームがあればインスト致しますので仰ってくださいね。」
など、チラシを配るときに声をかけることによって、立ち止まってくれたという利点を最大限活用し、その流れのまま概要を聞いてもらう方に誘導できるのがベストです。チラシは、あとから見返せる、ものとして残るという利点の他に、少しでもブースに気を引くための手段だと考えるといいのかなと。正直、聞いていかれませんか?というよりも、これはこういうゲームで…とその流れのままインストを始めてもいいとは思いますが、別に興味ないなと思っている方に長々とした説明をするのは逆効果なので、少し上級者向けかなと思います。

インストの最適解


さて、ここまで長々と自分のブースへの気の引き方を書いてきましたが、ようやく立ち止まって興味を持ってくれた方の話をしましょう。アクションゲームや、見てすぐ盤面がわかるゲームなどは少し特殊ですが、大体は簡単なインストを求められます。そこで、私が意識しているゲムマでのインストのコツについて書いていきます。
(ここでは、インスト自体のコツというより、ゲムマでの伝え方を主に書いています。インストはこの世に上手い人死ぬほどいるからそっちに聞くんだぞ。)

まず私がいちばん意識しているのが、


ルール説明しないこと


…は???ってなりましたよね。書いてる私もなってます。ではどういうことか。ゲムマでのインストは"説明書を読む行為"でも、"プレイ出来る所まで完璧に理解させる"行為でもなく、

売っている物の面白さを伝える

行為です。お客様に買ってもらうために必要なのは、細かいスタートからのセットアップではなく、このゲームの1番の面白いポイントで心をつかむことです。またもや将棋を例にあげますと、

「まず、20個ずつ駒をこのような並びで置きます。そしたら先攻後攻を決めて、ゲームが始まります。お互いにひとつずつ異なる動きをする駒を動かしていって、最終的に相手の王将をとったら勝ちです。」

確かに簡潔に説明は出来ています。出来ていますが、これだけを聞いて、あの将棋の奥深さや頭を悩ませる戦術たちが思い浮かぶ人はなかなか少ないのではないでしょうか。これは、説明書を素読みした、ただそれだけの状態です。
しかし、売り子はこのゲームが面白いので買ってください!というプレゼンをしなければなりません。もし仮に、私が将棋をゲムマで売るとすれば、

「このように並んだ駒を先手と後手が交互に動かして、王を取る、もしくは詰ませることが出来たら勝ちのゲームです。まあやることはこれだけです。簡単ですよね?しかし、この駒たちはそれぞれ特殊な動きをする子達で〜」
「なんと、この駒はこうなるとひっくり返って動ける方向が増えるのです!これによって戦術が広がり〜」

など、ルールの細かい説明は一旦置いておいて概要だけをさらいます。そこからは面白い、このゲームにしかない特徴的な部分をひたすら推します。正直ここまでは、聞いてもまだそのゲームが遊べないかなくらいの概要だけで大丈夫です。大体のお客様はそれを聞いてもう少し興味が出るか、買っていただけるか、ノットフォーミーだなとなるかの三択です。興味が出た方は大抵もう少し詳しく聞かせて!と言ってくれますので、そこまで来て初めて細かなルールは説明すれば良いのです。

ここまで色々と書いてきましたが、ゲムマにおいてのインストは、段階をふむということがとても重要になってきます。上記した、相手を見るということも少し関係していきますが、最初から100%の説明をするのではなく、相手の興味の食いつき方を見て、少しずつ深く掘り下げて行く作業と言うとわかりやすいかなと思います。ライト層の方に最初からがっつり重いルールを詰め込んでも困ってしまいますし、よくボドゲを遊ばれる方に「手番といって、順番に自分がアクションできる番が来て…」みたいな初歩的な説明をするのも時間がもったいないですよね?簡単なボドゲなら一言二言で説明するという統一が出来ますが、そこそこ説明に文章量が必要な場合、一番最初に普段ボドゲはどれくらい遊ばれますか?など聞いてから、レベル感に合わせてインストの内容、推すポイントを変えていく、がもっとも安全策かなと思います。あくまでも、売り子は説明書の代わりとして居るわけではありません。ゲームが遊べるように、ではなく、魅力が伝わるような説明を心がけましょう。
そして、もうひとつ重要なのが、深追いをしないこと。だいたい売り子をしていると、説明している間に、「(あっ…この人もう興味無い…)」となること、あると思います。そういう時は決してどうにかこうにか伝えようとせず、すっと引き下がりましょう。正直、説明を聞き始めてこの人がもう買わないなとわかる感覚は、半分くらい慣れなのかもしれません。しかし、お客さまはもう興味が無いのに無駄に引き止められて、私たちは売れる見込みがないのに説明をし続けて…どちらにも全く利点がありません。人間、1度もういいやとなったものは基本気持ちが戻りません。噛んだあとのガムとか、元カレ元カノとかと一緒です。知らんけど。よって、向こうがもういいかな〜という雰囲気を出していたら、「またなにか気になればお気軽に聞いてくださいね〜」等軽い声掛けをして、そっと離れましょう。経験上、そのまま説明し続けて買ってくれたパターンは1度もありませんので…………
後は、逆にめちゃくちゃ深堀りしたい方がいらっしゃった場合です。もうそこそこ説明しきったな〜と思っても、まだこういう場合が気になる…プレイ感が…など、全て確認してから買いたい方ももちろんいらっしゃいます。そういう時は、

制作者に投げましょう

まあそりゃそう。そこまで聞いてくれる段階まで来たなら、売り子の役目は果たしております。そこからは、100%分かっている専門家に投げるのが正しいでしょう。無理に頑張るより、相手の満足感も絶対に上がりますし、曖昧な返事をして相手にもやもや感を残す方が避けるべきことです。というかそこまで来たら制作者もその人と喋りたいでしょ…自分のゲームにそこまで興味持ってくれてるんだもん………大人しく引き継ごうね…………。

これまでの一言まとめ

ここまで色々書いてきましたが、皆様いかがだったでしょうか。さくっとまとめておきます。

・前日までに、基本知識とルール、自分なりのおすすめポイントを決めておく

・相手(周り)をしっかりとみつつ、パーソナルスペースを大切に、真正面に立たない

・客引きは一方的な声がけではなくコミュニケーションに持っていく

・チラシはただの宣伝ではなく、インストやコミュケーションへの導入に使う

・インストは説明をせず、段階を踏み面白さを伝えるためにする。深追いをしない

今回のnoteはとても真面目に説明しましたので長文となってしまいましたが、このあたりさえ押さえておけるだけで格段に売り子としての立ち回りが上手になると私は考えています。本当に私が考えていること全て書きました!!!秘伝のレシピをテレビで公開したみたいな気持ち…。

まあそれでもなお全て公開したのは、接客は慣れと経験と人間観察力だと分かっているからです。これを今全て読み通しても、今すぐ私と全くおなじ売り子ができる訳では無いですし、結局慣れが1番大きいです。私は何年も前から接客が好きで、人と話すのが好きで、人間をよく見てきましたのでね。多分。しかし、今まで考えていなかった点に気づいてもらって、皆様のゲムマライフがほんの少しでも豊かに、納得のいく物になってくれたら、妖精冥利に尽きます。みんなの面白いゲームを少しでも知って欲しい!少しでも売れて欲しい!!少しでも盛り上がって欲しい!!!そんなお手伝いが出来たらなあと、noteを書いている今思った私です。良ければゲムマ前や、イベント前、人といっぱい話すという日の前にふと思い出して、この文章を上手く使っていただければ幸いです。

でもね、結局、1番売り子が必要なことは、


ゲムマを心から誰よりも楽しむこと

ですよ。私は、誰よりも楽しんでます。ふふん!😊

では、また次のゲムマで!🍈🍞



あとがきと感想

売り子だけにフォーカスが当たっている文章は中々ないのではないか、そして私が珍しくしっかりと考え、私にしか書けないこともあるのでは無いか…。そう思い立ち書きなぐった結果、12000字を超えてました。はわ…。
この文章は、様々な人からの応援、支えから産まれました。note書きたいけど…うーん…と悩んでいた際に、背中を押してくれた皆々様、改めまして感謝申し上げます。本当にありがとうございます!

この後に、有料コンテンツでちょっとしたおまけとして、売り子汐留からみた、ゲムマの楽しみ方や、お客さん目線でどう動いているかの話、印象に残りやすい人の話など、ほんのすこしだけ書こうと思います。お金を入れていただいた方へのおまけです。ただ、ほんとにちょこっとだけですし、本文で書きたいことはここまでに書ききりましたので、もしこのnoteがほんとによかった!役に立った!と思っていただけたなら、この続きもお楽しみください。

添削、誤字脱字チェックなどしていただきました。
・ぴゅんさん
・めめめのアトリエ(きいろのさん、んぎょさん)
・たまたま会っていた今日誕生日の友人
・たまたま会っていた半年前に誕生日の友人
ありえないくらい誤字があったし、ありえないくらい間違った表現を使っていました。短い期間での協力、本当にありがとうございました。



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